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機械工業デザイン賞・経済産業(通商産業)大臣賞 受賞製品

第36回(2006年・平成18年)

■「直接変換方式FPD搭載X線撮影システム RADIOTEX Safire DAR-7000/UD150B-40/CH-200/BR-120F/BK-120F」 (株)島津製作所

製品分野:医療・福祉機器

【受賞のポイント】
FPDが有する高画質でリアルタイムな診断をより確実で快適なものにするため、構成装置間の動作や情報を連動させ撮影スループットを大幅に向上させた。複数の機器から構成される製品の造形処理はシステムの利便性向上を意図した操作性の追求と安全で快適な検査環境実現を目指しきめ細かい対策がなされている。またフィールドサーベイや関連技術分野との密接な連携によって実現した点も、清潔感・安心感表出を意図したカラーリングや機器に求められる質感表現と相まって、好感の持てる内容となった。

■「薄膜評価用試料水平型X線回折装置 SmartLab」 (株)リガク

製品分野:測定機器

【受賞のポイント】
専門知識がなくても専門家に匹敵する高度な分析を行いたいという要求に応えた装置。X線解析における蓄積データを対話型画面ガイダンスに凝縮し、専門的知識という大きな障壁をクリアして迅速かつ高い精度の測定を可能にした技術開発は、難題に果敢にチャレンジした意欲的な取り組みとして高く評価できる。ハードとソフトを高次元で融合させた本製品は分析機器のおける今後のあり方を示唆したエポックメーキングな製品として位置づける事ができる。

第37回(2007年・平成19年)

■「3次元眼底像撮影装置 3D OCT-1000」 (株)トプコン

製品分野:医療・福祉機器

【受賞のポイント】
診断に必要な正確で再現性の高い病変部位取得という眼科医や検査技師からの要望を背景に、光断層干渉計OCTと無散瞳眼底カメラを世界で初めて融合した点は、医療の進歩に大きく貢献するものと期待できる。産学連携におけるOCTの新技術開発成果が活かされ、2次元断層撮影のタイムドメイン方式に替わり、0.05秒の高速スキャン(世界最速)を実現するフーリエドメイン方式を採用し、画像処理によって良好な3次元画像取得を実現した。また、治療計画の精度向上にも大きく貢献した。造形処理は開瞼動作を前提とした造形と、清潔感ある色彩に配慮した。

■「5軸制御立形マシニングセンタ NMV5000 DCG」 (株)森精機製作所

製品分野:工作機械

【受賞のポイント】
5軸機の多軸が重畳する構造の問題点をクリアした新機種である。高速・高精度、接近性・作業性・視認性の向上、自社開発DDモーターによる世界最速の旋回駆動の実現や楽な姿勢でワークや治具の交換ができるなど様々な要求に応えている。造形処理は安定感や信頼感を表出しながら威圧感の低減を図った。基本性能の見直し、マーケットニーズの徹底追求という姿勢は、機能・操作性、安全性、造形、経済性をバランスよく結実させている。

第38回(2008年・平成20年)

■「オフセットオープン式多目的イメージングシステム CUREVISTA」 (株)日立メディコ

製品分野:医療・福祉機器

【受賞のポイント】
本製品は、Patient Friendlyをキーワードに人への優しさと現場環境への配慮をコンセプトに開発した多目的画像診断装置。その特長は、まず、90°回転機構で検査目的や検査部位に応じたこれまでにない広い領域の撮影を可能としたこと。また、オープンスタイルの遠隔操作卓や移動操作卓が装置全体を集中制御し、搭載されているGUIも直感的で軽快な操作を実現している。さらに医療現場への配慮も充実。被験者が自然な状態で臨床に望めるように装置全体は柔らかくゆったりとしたラウンドフォルムを採用。カラーリングも検査室で暖かい雰囲気を醸し出すため、随所にスマイルイエローを施している。デザインは造形処理という認識から脱却し、機械工業デザインのあるべき姿を追求したことが、高い完成度に結びついた。

■「小型5軸複合加工機 INTEGREX i-150」 ヤマザキマザック(株)

製品分野:工作機械

【受賞のポイント】
省スペース、高生産性、使い勝手の良さを狙いに開発した小型の5軸複合加工機。「ユニバーサルユニット」と呼ぶ独創的な新機構を搭載し高い完成度を誇る。新機構は加工方法に合わせて機能が多彩に変化するメカニズムを持つのが特徴。これにより大きなフロアスペースの確保が必要だった従来機と較べ、コンパクト設計、高生産性、安全性を実現した。5軸複合加工機は、自動車、航空機、エネルギー産業などにおける複雑形状小物部品の需要増大(多品種少量生産)で、一つのカテゴリーとして地位を築きつつある。本製品は、こうした金属加工市場の要求に応えるもので、5軸複合加工機の地盤をより強固なものにすると評価できる。

第39回(2009年・平成21年)

■「工程統合・ビルトイン・コンパクト複合マシン LC-C1NTシリーズ」 (株)アマダ

製品分野:金属加工・処理機械

【受賞のポイント】
本製品は、従来のパンチングマシンにレーザー加工機能の付加という発想ではなく、パンチング加工とレーザー加工の複合という新コンセプトで開発された。多品種少量生産への迅速対応など顧客要求を実現する様々な技術開発をクリアし、総合的に完成度の高い製品に仕上げている。特に本体の造形処理では機電一体構造を採用。これによりコンパクトさを表現しながら周辺機器との一体感を実現した。まさにハード開発とそれを支援するソフト開発(自己診断機能、稼働監視機能、リアルタイム診断機能)とが一体化した製品として高く評価することができる。

■「全身用X線CT診断装置 Aquilion ONE」 (株)東芝

製品分野:医療・福祉機器

【受賞のポイント】
世界最大の面検出器の新規開発・実装など世界初となる諸機能を実現したX線CT診断装置。撮影時間の短縮や広範囲の撮影が可能で、患者と医師双方の精神的・肉体的負担を大幅に低減した。また質の高い診療情報の提供、省資源化や省エネ性(電力回生機能)の向上など様々な面で完成度の高い製品に仕上がっている。さらに診断の際に患者の安心感向上を目指した工夫として、コミュニケーションディスプレイを新規搭載し、プリスキャンや撮影といった各場面において患者の心理的負担を減らすために画像情報を提供する。こうした取り組みはハードとソフトを有機的に融合する検査環境への意欲的提案として高く評価することができ、最先端医療のあり方に一石を投じる内容となっている。

第40回(2010年・平成22年)

■「デジタル超音波診断装置 HI VISION Preirus」 (株)日立メディコ

製品分野:医療・福祉機器

【受賞のポイント】
本製品は、超音波診断装置の有効性や今後の可能性を提示しながら、最優秀賞に相応しい仕上がりをみせている。特に新機軸を盛り込んだ画像処理技術は、超音波検査の可能性を飛躍的に拡大するものであり、まさに「みえる、使いやすい、安心」の3点を極めたと言えそうだ。また操作者と被検者、双方にとって「やさしい」装置のありようも標榜。ゆったりとしたラウンドフォルム本体と、あたたかなカラーリングにより、安心感やキャラクター性を意識させるコンパクトな造形を実現している。医療現場の声を真摯に反映すべく、デザイン部門が開発の上流から下流にいたるまで技術と営業との調整役を果たし、一貫したデザインポリシーをつらぬいた成果は、次世代標準機を象徴している。

■「三菱汎用シーケンサ MELSEC-Lシリーズ」 三菱電機(株)

製品分野:電子機械

【受賞のポイント】
増加しつつある中規模生産設備をターゲットにした本製品群は、高性能でありながらコンパクトでコストパフォーマンスに優れた製品に仕上がった。トラブル発生原因を特定するデータロギング機能や液晶表示ユニットへのUD(ユニバーサルデザイン)フォント採用などは、まさに現場ニーズに応えた高度な機能性・操作性と言えよう。造形処理も電源ユニットの赤色(三菱色)がアクセントになり機能美を彷彿とさせる仕上がりを見せている。開発に際して、デザイン部門と技術部門が開発初期段階から協調作業を展開し、FA機器にUD開発手法を導入した。この成果は、デザインによる企業独自のバランス解創出として結実している。機械工業デザインのあるべき姿を追求した本製品群は、最優秀賞に相応しい仕上がりをみせている。

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