ユニアデックス株式会社
代表取締役社長
高橋 勉
氏
日本ユニシス・ソリューション株式会社
代表取締役常務執行役員
氏
◆日本ユニシスに
社長が就任して1年半。経営改革に取り組んできていますが、グループとしてどう変わりましたか。
高橋:
スピード感を持って経営改革に着手し、顧客重視の姿勢や重点施策など方向性を打ち出した。慣行に流されず、客観的に物事を判断しようとする姿勢が企業文化としても浸透しつつある。
高木:
社長の経営スタイルは即断即決。景気やIT市場が常に変化するなか、まず実行し走りながら直していく感じだ。その根本には顧客第一主義がある。この情熱をグループにより深化させてゆきたい。
◆IT投資が好調のようです。注目する事業領域を教えてください。
高橋:
ネットワークは無論のこと、IT資産を一括して効率的に運用管理するニーズが高まっている。当社ではこの運用管理事業に重点を置く。05年5月よりマネージドサービスセンター(MSC)という、監視業務やコールセンター業務の統合拠点を開設し、運用管理業務の集中管理サービスを提供開始した。今後の事業発展が大いに期待される。
高橋:
ネットワーク事業では、画像を始め、音声や動画など、コンテンツ(情報の中身)が多様化するなかで新たな需要が生まれようしている。当社が特に注力しているのは無線分野である。NTTドコモやKDDIなどと連携し、ワイヤレスIP電話ソリューションに集中的に取り組んできた。引き合いも多く、事業として今年の下期から本格的な立ち上がりが見込まれる。
◆システム開発案件が増えるなか、技術の標準化が重要になっています。標準化への取り組みはどうでしょうか。
高木:
当社では技術の部品化・再利用に取り組んでいる。プロセス成熟度モデル(CMMI)やこれまで培ってきたノウハウを集約するものだ。顧客が要求する品質レベルも高まるなか、開発の品質も高められる。また、工数が削減でき、生産性向上や開発期間の短縮などに効果を発揮する。これまで技術の変化が急であったため、部品化・再利用という作業が遅れてきていた。まず金融業界などで先行して開発工程の標準化にとり組み、それを他業種にも横展開していきたい。開発案件が増加するなか開発手法の標準化は不可欠。再利用できるところは再利用し、新しい技術は部品化して次の案件につなげたい。
◆新しい取り組みも始められているようですね。
高橋:
当社は7月にグループ企業の日本ユニシス情報システムと合併した。日本ユニシス情報システムはこれまで、インターネット接続事業者(ISP)として、グループで唯一個人も対象として事業展開を行ってきた企業である。B2C分野での事業ノウハウと企業向けサービスを融合し、B2B2Cの新たなサービス提供ができると思っている。
高木:
当社も今年、システム構築の最新方法論『3Dビジブルエンタープライズ(3D―VE)』の提案活動も本格化している。これはストラテジー、ビジネスプロセス、アプリケーション、インフラストラクチャーの4層構造からなり、各層でモデル化技法を活用することで、現状や課題、解決策などを“可視化”し、把握するというもの。従来、障害となっていた上流工程(ビジネスモデル)と下流工程(情報システム)の連携も迅速にでき、整合性を取ることができる。
高木:
一部の業界で先行して試行導入をしている。顧客とコンセプトを共有でき、コミュニケーションも取りやすい。日本の市場に合わせて、形を変えていくとともに、コンサルタントや営業人員も増やしていき、今後、一般的に展開していきたい。
◆人材不足の補足や開発コスト削減などのためにオフショア(海外委託)を推進しているようです。
高木:
今年6月に大手ITベンダーでは初めてベトナムにオフショア開発専門の会社を設立した。これまでは中国が中心だったが、今後はベトナムも拡大していく。技術者などを育てながら活用していき、08年にはある程度の規模を発注できるようにしたい。中国と同等レベルの発注規模に拡大するのが理想だ。オフショアはコストを下げるのが目的だが、中国でも徐々にコストが上がり始めている。ベトナムに拠点を作ったのは、100%出資会社として管轄下に置き、セキュリティーも含めて、わが社の業務プロセスを徹底することで、戦力として確保したいからだ。
◆日本ユニシスグループのなかの中核企業として、それぞれの強さを教えてください。
高橋:
ユニアデックスには2つのミッションがある。1つはグループの顧客に対し、三位一体のワンストップサービスを提供する際のサポートサービス部門としての役割。もう1つは全国への24時間365日サポート、ネットワーク構築から運用・保守までの一貫したサービス、高い顧客満足度、といった万全の提供体制や高評価の強みを活かし、ベンダー中立の立場で新規事業拡大を図る役割である。これらのために10年前に日本ユニシスから分社し、事業も順調に拡大してきた。中立の立場で培った経験は、顧客やグループにもフィードバックされている。
高木:
当社はメーンフレームで培ってきた技術力がある。総合的なシステム構築(SI)を行う上では、汎用機を手がけてきた企業が優位性を持っている。システムの要素技術は多岐にわたっており、その全てを理解することは困難。当社としては技術の専門性を高めると共に、横串をさし横の連携を密にすることで、技術の“隘路”や“漏れ”を防ぐような体制を目指している。
高橋:
徹底的に親身になって対応するのが当社の自慢できる企業文化。私自身いかにお客様にご満足いただけるかだけ考えてきた。こうした文化を継承し、一層の信頼を得て、事業発展ひいてはグループの発展に取り組みたい。
高木:
ハードからアプリケーション、また開発から運用までワンストップで提供できる数少ないベンダー。それぞれが業務知識を持ち、基盤として技術を持っている。グループとしての専門性を高め、顧客に価値を提案していきたい。
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