トピックニュース
製造新ステージ MECT2021(上)EV加工“技あり”
工作機械との出会いの場が戻ってきた。ポートメッセなごや(名古屋市港区)で20日に開幕した展示会「メカトロテックジャパン(MECT)2021」(ニュースダイジェスト社など主催)は、国内で2年ぶりのリアルの工作機械見本市だ。426社・団体が1796小間で、次世代を見据えた製造技術を提案。商談の人だかりが各所で見られた。23日までに8万人の来場を見込む。(2回連載)
会場は自動車産業のお膝元。部品づくりが変わる電気自動車(EV)向けの提案がめじろ押しだ。ヤマザキマザックは送り速度毎分1000ミリメートル以上と高速の摩擦撹拌接合(FSW)の加工例を展示。「ノウハウがつまった実加工は当社で」(堀部和也上席執行役員)と個別商談に誘う。
アマダはグループで各工程に新製品を提案する。超精密ファイバーレーザー加工機、デジタルプロファイル研削盤などでEV用の部品や金型の安定・高精度加工を提案する。
大型の加工対象物(ワーク)も加工できる小型機をPRするのはスギノマシン(富山県魚津市)。主軸30番の新立型マシニングセンター(MC)「セルフセンタ SC―V30a」は機械幅1440ミリメートルながらX軸ストロークは700ミリメートルだ。豊和工業は作り方の最終形がまだ定まらないEV部品に対し、ユニット交換で機能を拡張できる主軸30番の新MC「HMP―350HC1」を展示する。
自動化も重要だ。牧野フライス製作所は5軸制御立型MC「DA300」とパレットチェンジャーの組み合わせで24時間稼働が可能な自動化を打ち出す。新タイプの治具なども展示し注目される。
「5軸複合化/自動化/デジタル化」がテーマのDMG森精機は「幅広い周辺技術を知ってほしい」(広報担当者)と、あえて工作機械を展示せず。協働ロボットを搭載した次世代搬送システム「WH―AGV5」などを国内初披露した。
デジタル変革(DX)もテーマだ。シチズンマシナリー(長野県御代田町)は機械の状態をスマートウオッチに知らせるサービスを実演。利便性をアピールする。
カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けた提案もある。オークマは熱変位に対応する機械づくりや、無駄な駆動を止める技術など同社製品では標準化している技術をあえて一押しにする。「脱炭素の対応策を提案」(角谷幸一ものづくりDXセンター長)している。
ファナックは主軸30番切削加工機「ロボドリル」で2機種、ワイヤ放電加工機「ロボカット」で1機種の新製品を出品。サイクルタイム短縮などの基本機能向上での省エネルギー化をアピールする。
(日刊工業新聞電子版 2021年10月21日付)