順送プレス加工自動化システム「ＳＤＥＷ―８０１０ｉⅢ＋アルファス―０３ＡＲＺ」

　アマダは電気自動車（ＥＶ）向けプレス機市場に参入する。ＥＶ用電装部品の高速プレス加工に対応した順送プレス加工自動化システムを開発し、１５日に市場投入した。プレス機の高い耐偏心荷重特性や材料送り速度の高速化により、ＥＶ向け部品加工に求められる高速・高精度の加工を実現する。世界的に活発化しているＥＶ市場でのプレス加工需要を取り込む。

　新開発の「ＳＤＥＷ―８０１０ｉⅢ＋アルファス―０３ＡＲＺ」は、プレス機や自動機を手がけるアマダプレスシステム（神奈川県伊勢原市）が開発し、国内外で販売する。価格は４３００万円（消費税抜き）。電池ケース絞りや制御ユニット、電池用配線材（バスバー）などの高速プレス加工向けに年間２０システムの販売を目指す。

　加圧能力８０トン、ストローク数が毎分最大２００のデジタル電動サーボプレス機と、板幅５０ミリ―３００ミリメートルで最大送り速度を従来比約４倍の毎秒６メートルに速めた数値制御（ＮＣ）ロールフィーダーで構成。操作・制御盤の一体化により、段取り操作の簡素化や作業負荷の軽減が可能となる。

　ＥＶ向け電装部品は複雑で非対称の形状が多く、加圧の際に左右・前後での偏心荷重に対する剛性を確保する必要がある。そのため、プレス機のスライド部の角８面にギブガイドを取り付けて垂直性を保たせて、二つのクランク軸で支える構造を採用。高い耐偏心荷重特性により、高精度加工につなげられる。

　ＮＣロールフィーダーは、サーボモーターとフィードロールを直結させることで送り速度を向上。ＥＶ向けに使用が想定される銅や電磁鋼板、アルミニウムなどの材料を考慮し、レベラーにはロール清掃がしやすい構造を採用した。

　またリリース駆動を、従来のエアシリンダー式からサーボリリース式に変更。フィードロールに加える圧力を材料の仕様に応じて調整でき、材料への傷や騒音の低減、エア消費量削減が見込める。レベラーを斜め方向に配置し、設置面積も従来比約４０％縮小した。

　今後、加圧能力やフィーダーの板幅が異なるシステムも順次投入し、ＥＶ市場向けの製品群を拡充する。

（日刊工業新聞電子版 2021年10月15日付）