【特集】主要工作機械メーカーの推し製品

DMG森精機国内初出展の3製品、製造現場の自動化を後押し

 DMG森精機は、「5軸・複合化/自動化/デジタル化」をテーマに、加工対象物(ワーク)ハンドリングに関する自動化システムと、工作機械に搭載するミストコレクターの計3製品を出展する。いずれも国内展示会では初出展となる。

簡単移動・配置できる協働ロボ

 自動化システムでは、手押し台車に協働ロボットを搭載した「マトリスライト」と、ワーク着脱や搬送を行う自律走行型ロボット「WH―AGV5」を紹介する。

 
多品種少量生産の自動化に寄与する「マトリスライト」

多品種少量生産の自動化に寄与する「マトリスライト」

 マトリスライトは自由な移動が可能で、作業者が、使用中の工作機械の前に手押し台車を配置するだけで、短時間でワークの搬入出を自動化できる。使わない時は別の場所に移動させて、自動化が必要な時に必要な設備で利用できるため、多品種少量生産の自動化を短時間で実現する。

無軌道型AGV×ロボによる搬送システム

 
AGVと協働ロボットを組み合わせた「WH―AGV5」

AGVと協働ロボットを組み合わせた「WH―AGV5」

 WH―AGV5は、自社開発の無人搬送車(AGV)と協働ロボットを組み合わせた自律走行型搬送システムだ。従動輪が常に接地する構造で、走行ルート用の磁気テープやマーカーがなくても工場内を自由に走行し、最大高さ35ミリメートルの段差を乗り越えられる。工作機械へのワークの着脱や工場内の搬送に加え、生産計画変更に柔軟に対応できる。

 サイズは幅700ミリ×長さ1030ミリ×高さ1750ミリメートルで、作業台車と同等のコンパクト設計とした。AGVの最大搬送質量が200キログラム、ロボットハンドの最大可搬質量が5キログラム。ロボットアーム先端に搭載のビジョンセンサーによりプラスマイナス1ミリメートル以下の位置決め精度を実現した。また、レーザースキャナーによる検知で人や障害物への衝突を回避でき、安全フェンスを設ける必要が無い。

 走行レールの敷設が不要な無軌道型AGVは変種変量生産にも対応できるため、生産、物流現場で需要が高まっている。ただ、停車位置決め精度が数十ミリメートル程度で、高精度が求められる工作機械へのワーク着脱には導入が難しかった。今回、そうした課題を解決し、生産現場の自動化を実現するシステムとして訴求する。

工作機械にビルトイン可能な捕集ミスト装置

 
HEPAフィルターを採用のミスト捕集装置「ゼロフォグ」

HEPAフィルターを採用のミスト捕集装置「ゼロフォグ」

 ミストコレクター「ゼロフォグ」は、金属加工時に発生するミストを効率的に捕集する装置。サイズを従来比5分の1に縮小したことで、工作機械本体にビルトイン搭載できるほか、粒径0・3マイクロメートル(マイクロは100万分の1)の微粒子を99・97%以上捕集するHEPAフィルターを採用した。

 1次フィルターの自動洗浄機能の搭載などにより、メンテナンスの時間と費用も削減できる。高い捕集性能とメンテナンス性により、ミストによる設備故障などのリスクを低減しつつ工場内をクリーンに保てる装置として需要を取り込む。

 製造現場で自動化システムの導入が進む中、ミストに含まれる油分は機械の精度低下や作業員の健康悪化につながるリスクがあり、ミスト捕集が工程自動化における課題の一つとなっている。

 (編集委員・土井俊)