【特集】主要工作機械メーカーの推し製品

ジェイテクト EV向け部品加工に適したコンパクトな工作機械

 カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の実現に向けて、電気自動車(EV)の需要が本格的に拡大しようとしている。EVではパワートレーンの中核となる大型モーターや高効率の蓄電池はもちろんのこと、さまざまな新規の部品が必要になる。ジェイテクトはメカトロテックジャパン(MECT)2021において、モーターとその周辺部品を一体化したEV向け駆動モジュール「eアクスル」の構成部品の加工に最適でコンパクトな工作機械2機種を提案する。

円筒研削盤新モデル、砥石軸出力が従来比約2倍

 
IoEにも容易に対応できる「e300GPi-HYPER」

IoEにも容易に対応できる「e300GPi-HYPER」

 小物量産加工に適したコンピューター数値制御(CNC)円筒研削盤の新モデル「e300GPi-HYPER(ハイパー)」は、砥石軸の定格出力を同シリーズ従来モデルの3・7キロワットから7・5キロワットに向上。これにより砥石の周速を毎秒45メートルから同80メートルに高速化した。従来モデルに比べてサイクルタイムをほぼ半減できる。消費エネルギーは46%削減した。

 もちろん「e300Gi」シリーズの特徴は引き継いでいる。安定した加工精度、段取り時間の短縮などにより生産性が高い。豊富な加工対象物(ワーク)や研削スタイルにも対応できる。設備状態の見える化や設備診断などの高機能を持ちディスプレーも大きい制御装置「TOYOPUC―Touch(トヨプック・タッチ)」を搭載し、人、モノ、情報、サービスをつなぐIoE(すべてのインターネット化)にも容易に対応できる。

工程集約に適した省スペースMC

 
長時間の自動運転でも加工精度を保つ「FV7000Z」

長時間の自動運転でも加工精度を保つ「FV7000Z」

 立型マシニングセンター(MC)「FV7000Z」は工程集約に最適なマシン。ワンサイズ上のワークが扱える広い加工領域を持ちながら、設置面積が小さい。長時間の自動運転でも安定した加工精度が期待できるのも特徴だ。

 主軸ストロークはX軸700ミリ×Y軸700ミリ×Z軸550ミリメートル。5軸制御と4軸制御の2タイプがあり、5軸制御タイプは最大で直径650ミリ×高さ450ミリメートルのワークが加工できる。他社同クラス機種と比べて加工領域は1・5倍と広い。A軸を中心とする振りは直径900ミリメートルで加工の自由度も高い。4軸制御タイプは作業面寸法が700ミリ×400ミリメートルでA軸を中心とする振りは直径700ミリメートル。

 機械サイズを小さくするため小型の制御箱を採用し、機器配置を見直した。これにより奥行きは3880ミリメートルで、幅が5軸制御タイプで1880ミリメートル、4軸制御タイプで1700ミリメートルといずれも従来機より大幅にコンパクト化した。

 また連続加工精度保証のため、熱源対策と熱容量を均一化した低熱変位設計に取り組んだ。温度センサー測定と独自の解析ロジックによる熱変位補正技術も搭載し、熱変位を50%低減した。

 加工点直下で切りくずを確実に処理する機能も採用し、連続運転をより確実にした。量産型ラインに最適でフレキシブルなロボット自動搬送システムも構築できる。 

 (編集委員・村国哲也)