【特集】主要工作機械メーカーの推し製品
牧野フライス製作所24時間連続加工を実現する技術を提案、”自働化”がメーンテーマ
牧野フライス製作所の出展テーマは、自動化ならぬ「自働化」。24時間連続で加工でき、しっかり働く製品・技術をPRする。連続加工には停止要素となる工具のチッピング(欠損)やプログラムミスによる衝突の排除が不可欠で、工具や加工の状況を把握し動きを制御する技術で自働化を可能にした。今回はそうした技術を備える5軸と3軸の立型マシニングセンター(MC)を目玉に位置づけ実機展示する。主なターゲットとなる業界は「金型、半導体、試作部品」(藤沢敦名古屋支店長)だ。
業界ごとのニーズに対応、高剛性と高生産性を両立
牧野フライス製作所にとって、金型業界の顧客は柱であることは変わらない。加えて近年は、半導体製造装置を中心とした半導体業界の需要が増えている。さらに、巨大市場である自動車業界では、電動化に対応した部品の試作が活発だ。これら市場のニーズに応える製品・技術を打ち出す。
会場ではMCの実機を2台展示する。その1台、5軸制御立型MC「DA300(自動化パッケージ)」には、テーブル部の加工対象物(ワーク)保持のチャック部分に三角形のポリゴンテーパーパレットを採用した。高剛性と高精度加工を両立する。
また、半導体業界のニーズをくみ取り、40枚のワークパレットマガジンと、工具を118本収容するダブルリングマガジンを装着する。藤沢支店長は「DA300の高精度とスピード加工を生かしつつ、自働化による生産性向上に役立つ」と胸を張る。
作業負担低減に寄与する立型MC「v61」
実機展示するもう一台の立型3軸MC「v61」は、作業負担軽減と生産性向上を重視した機種。高い剛性も備えつつ価格を抑えて販売することにした。
今回は、金型、半導体、部品加工それぞれの加工に応じた技術を紹介する。半導体業界で増えるゲートバブルのシール面加工に使われるスーパーヘール加工を提案する。スーパーヘール加工は平らに研いだバイトを横方向に動かして加工する方式。厳格な密閉性が求められるシール面の加工に必須であり、ツールなどの性能をPRする。展示機以外の機種を含め、業界別に加工サンプルを並べ、加工精度の高さも訴求する。
オペレーターの負荷低減に役立つ最新技術も紹介
生産性向上に役立つ最新技術も参考出品する。機械にデータを取り込んでおけば、新しいワークを加工する際、自動でプログラムや工具を選んでくれる「マシニングプロセッサ」はオペレーターの負担を軽減する。
また、音声認識技術で機械のオペレーターとやりとりし、操作説明やマニュアルの表示といったものをサポートする「ATHENA(アテナ)」も先行して来場者に紹介する。藤沢支店長は「コロナ禍もあり、各産業の変化は激しさを増している。当社の技術で顧客の変化対応を下支えしたい」としている。
(相模支局長・石橋 弘彰)