【特集】主要工作機械メーカーの推し製品

ヤマザキマザック デジタル化追求しカーボンニュートラルに挑む

 ヤマザキマザックのテーマは「カーボンニュートラルに向けた、マザックのデジタル製造ソリューション」だ。変革に直面する製造業を生き抜くためのトータルソリューションを提供する。段取り時間を大幅に短縮するデジタル段取りやデジタル化を支援するサービス「Mazak iCONNECT(マザック・アイコネクト)」、成長著しい半導体・電気自動車(EV)市場に向けた最新の製造技術、ティーチング不要の自動化システムなどを提案する。これら生産性向上への取り組みを通じた二酸化炭素(CO)排出削減についても紹介する。

省スペ―スな自動化システム構築

 
ユーザーごとに最適モデルを提案するCNC旋盤「QTE-200M SG」 

ユーザーごとに最適モデルを提案するCNC旋盤「QTE-200M SG」

 「QTE-200M SG」は、自動車部品をはじめとする中小型部品の加工に適したコンパクトな高速・高精度・省スペースのコンピューター数値制御(CNC)旋盤だ。加工対象物(ワーク)の状態や加工形態により仕様を選べるガントリーローダーやティーチングレス協働ロボットを活用することで、省スペースな自動化システムの構築が可能だ。

 同機種は旋削からミル加工、Y軸仕様、第2主軸仕様など、豊富なラインアップを準備している。チャックサイズ、心間も選択できるため、ユーザーごとに最適なモデルを提案する。ビルトインモーター主軸を採用し、高回転域でも安定した加工面品位を実現。さらに熱変位制御機能の搭載により、さまざまな環境下においても高い加工精度を維持する。

セットアップ、移設も容易な協働ロボセル

 
会場でCNC旋盤への接続実演する「Ez LOADER 10」

会場でCNC旋盤への接続実演する「Ez LOADER 10」

 「Ez LOADER(イージー・ローダー) 10」は協働ロボットによる省スペースな自動化セルだ。設備機ごとで生産量の変動が激しい現場では、導入後の移設に制限がある点でロボット導入が困難であった。そこでヤマザキマザックは、簡単にセットアップでき、導入後の移設にも柔軟に対応する同機種を商品化した。

 工作機械との接続は、軽くてスムーズに動かせる本機をケーブルでつなぐだけ。機械データを自動で設定し、機械マーカーとビジョンセンサーで設定位置を自動補正するため、わずか15分で設置可能だ。動作設定は規定のテンプレートにワークをセットして、ワーク高さなどわずかな情報を入力するだけで完了する。

 また、手動でロボットアームを動かすことで任意の動作経路を記憶させ、専用ソフトウエア上で作業内容を簡単に追加・変更できる機能を搭載した。メカトロテックジャパン(MECT)2021ではCNC旋盤「QTE-200M SG」への接続を実演する。

省電力、レーザーガス不要のファイバーレーザー加工機

 
高反射材も安定切断できる高精度レーザー加工機「STX-2412」

高反射材も安定切断できる高精度レーザー加工機「STX-2412」

 脱炭素社会に貢献する省電力、レーザーガス不要の高精度ファイバーレーザー加工機「STX-2412」も展示する。COレーザー加工機に比べ、軟鋼薄板、ステンレス、アルミニウムの切断生産性が大幅に向上し、銅や真鍮(しんちゅう)などの高反射材も安定して切断できる。

 レーザーガスが不要なため、ランニングコストを大きく抑えられるのもメリットだ。接近性に優れたテーブル駆動方式により設置スペースは一般的なレーザー加工機の半分以下。各種インテリジェント機能を搭載し、段取り作業を自動化できる。

 (編集委員・村国哲也)