【特集】主要工作機械メーカーの推し製品

OKK 自動計測と高剛性を追求。MC2台、鋼材加工機1台を出品

 OKKは加工対象物(ワーク)を3次元(3D)モデリングするソフトウエアを搭載した立型マシニングセンター(MC)や、使いやすさを訴求した鋼材加工機を展示する。マーケティング担当者は「コロナ禍でオンライン展示会にも参加したが、顧客が性能を体感しづらかった。展示会当日は新型機での実加工も行う」とし、意気込みは十分だ。またこのほか、初公開の立型MCも準備している。

金型、精密部品の高品位加工に対応

 
独自の環境熱変位補正ソフトを標準搭載した「VB53α」

独自の環境熱変位補正ソフトを標準搭載した「VB53α」

 「VB53α」は金型や精密部品の高品位加工を追求した立型MCだ。設計段階からの工夫で、加工時の残留振動を抑制。加工精度の向上と加工時間の短縮につなげている。各軸移動量はX軸1050ミリ×Y軸530ミリ×Z軸510ミリメートルで、主軸の回転速度は最大で毎分2万回転。30本の工具を収納できる。

 独自の環境熱変位補正ソフト「ソフトスケールCube」を標準装備しているのも特徴だ。MC内に取り付けた9カ所の温度センサーで温度変化を読み取り、リアルタイムで熱による加工点の変位を補正。加工誤差を同社従来品の約3分の1に低減した。

 展示会ではワークを3Dモデリングする新たなソフトウエア「3D MEISTER(マイスター)」を搭載して出展する。

加工前の芯出し作業を効率化

 
会場では「3D MEISTER(マイスター)」をタブレット端末で体感できる

会場では「3D MEISTER(マイスター)」をタブレット端末で体感できる

 3Dマイスターは専用カメラで撮影したワークのデータから、ワーク形状の3Dモデルを作成するソフトウエア。3Dデータを活用することでワークの基準点を決める芯出し作業を簡単に行え、生産現場の省力化に対応する。現在、OKKが特許出願中の新技術だ。

 赤外光を照射し反射時間から距離を算出する「タイム・オブ・フライト(ToF)」方式のカメラを工作機械内に据え、ワークを撮影し、3Dモデリングする。3Dモデルは自動的に機械座標とひも付き、ワーク計測プログラムを生成する。

 3Dマイスターは現在、同社の立型MC「VM-R」シリーズやVB53αに対応しているが、将来的には他社製MCへの適用も視野に入れる。会場では同ソフトの機能をタブレット端末で体感できる。

剛性と切りくずの排出性・操作性にこだわったワンパスプレート加工機

 
簡単操作の鋼材加工機「F300V」

簡単操作の鋼材加工機「F300V」

 「F300V」は機能をX軸(左右)とZ軸(前後)加工に絞った鋼材加工機。熟練者でなくても簡単にワンパス(1送り)でプレート加工できるのが特徴だ。片側傾斜カバーで切りくずを排出しやすくし、15インチタッチパネルを採用することで操作性にもこだわった。

 主軸の最大トルクは876ニュートンメートルを実現し、回転速度は最大毎分500回転。直径125ミリ-315ミリメートルまでのカッターで加工が可能。各軸移動量はX軸950ミリ×Z軸300ミリメートル。

 OKKの代名詞とも言える「高剛性」を追求。剛性の向上で振動を抑制し、刃物の寿命も伸ばした。また設置面積を3093ミリ×1812ミリメートルに抑え、省スペースも実現した。

 マーケティング担当者は「(簡易に操作できる同装置で)生産現場の人材・技術不足などの課題解決を支援したい」と話す。人材不足や技術承継で悩む担当者は要チェックだろう。

 (大阪・小野太雅)