【特集】主要工作機械メーカーの推し製品
オークマ ロボ、無人運転支援、スマート化で未来の工場を提案
オークマが国内で本格的なリアル開催のイベントで工作機械製品を披露するのは2019年11月の自社展「オークママシンフェア2019」以来だ。コロナ禍で開催してきたオンライン展示会でも一定の手応えはつかんでいたが、リアル展でのユーザーとの新しい出会いに期する思いは強い。「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)やSDGs(国連の持続可能な開発目標)などの社会的な要求へのオークマとしての提案」(営業担当者)として3機種を出展する。
内蔵型ロボットシステム「アームロイドシリーズ」第2弾
「MULTUS(マルタス)B250Ⅱ ARMROID(アームロイド)」は、最新の小型複合加工機に内蔵型の次世代ロボットシステムを搭載し、自動化の新しい形を提案する。業界で注目を集め追従する他メーカーも生んだアームロイドシリーズの第2弾だ。
アームロイドは工作機械の加工室内に4軸駆動の多関節ロボットを持たせたシステムだ。加工対象物(ワーク)の投入・取り出し、長尺ワークの支持、クーラント液による加工室内の洗浄もできる。ロボットの導入では必須とされるシステムインテグレーター(SIer)の支援なしで使用できティーチング作業も不要だ。
アームロイドは発売以来、ユーザー層も広がり、同社の活用ノウハウも積み上がっている。「自動化できるところは機械に任せ、人はより付加価値の高い仕事に専念してほしい」と営業担当者。来場者は、自社の生産現場の実情に合わせた相談ができそうだ。
無人運転支える機能搭載、オークマ最大級の立型MC
「MB―80V」は加工範囲が幅1600ミリ×奥行き1050ミリ×高さ600ミリメートルとオークマで最大級の立型マシニングセンター(MC)だ。半導体ウエハーの大径化や樹脂成形品の大型化にも対応できる。
長時間の無人運転を支える機能も特徴だ。シャワーや排出コンベヤー、濾過機能などの性能を高め切り粉でのトラブルや掃除を排除している。誰でも簡単に機械精度を維持できる最新技術「3Dキャリブレーション」、実績のある熱変位補正技術「サーモフレンドリーコンセプト」も搭載。機械を“見える化”する自己精度診断、人工知能(AI)での主軸や送り軸の状態診断と合わせ、“止まらない機械”を提案する。
スマートファクトリー実現するコンパクトな5軸加工機
5軸制御立型MC「MU―4000V―L」は、オークマが提唱するスマートファクトリーの中核となるスマートマシンの一つだ。テーブルサイズが直径400ミリメートルと小型ながら直径500ミリ×高さ400ミリメートルのワークに対応し、生産ライン全体をコンパクトにできる。旋削もでき従来の複合加工機を超えた工程集約が可能だ。
同社はスマートファクトリーの要素として設備のコンパクトさも重要と説く。生産ライン全体のコンパクト化につながり設備投資額を抑えるだけでなく、消費電力も抑制できる。MU―4000V―Lでは、IoT(モノのインターネット)を活用した遠隔によるユーザー支援機能「コネクトプラン」などと合わせ、生産の高度化・知能化も訴える。
(編集委員・村国哲也)