【特集】主要工作機械メーカーの推し製品

芝浦機械 超精密と大型加工機の融合、使いやすさと付加価値を実現

 2020年4月に新社名でスタートした芝浦機械。同時に発足したのが、大物加工を得意とする工作機械事業部と超精密のナノ加工システム事業部が一つになった「工作機械カンパニー」。新体制となって初めてのお披露目イベントの場となるメカトロテックジャパン(MECT)2021会場で、門型マシニングセンター(MC)と超精密MCのスタンダード機を出展。「機械ユーザーの使いやすさや、付加価値向上、加工支援機能を伝えていきたい」(冨田佳一執行役員)と力が入る。

豊富な実績誇る門型MCとFSW提案

 「MPF―2614FS」は、自動車部品加工や金型の高能率加工用途として実績のある門型MC。会場では自動車ヘッドランプ用金型加工の粗加工から仕上げ加工までの一連をエアカット(切削面に工具が接触する手前での空転)で実演する。

 低速重切削から高速切削まで1台でさまざまな用途で利用できる。リアルタイムで加工状況を確認しながら干渉チェックする機能を備え、加工対象物(ワーク)と機械の衝突を防ぐなどトラブルレスの強みをデモで紹介する。

 また近年、応用領域が増え注目される摩擦撹拌接合(FSW)用専用工具を取り付けた事例を紹介。アルミダイカスト製品の重ね合わせや異種素材の接合など、軽量化や強度を保つなどの利点から採用が広がっている。例えば電気自動車(EV)用バッテリーケース加工などで活用されているという。「当社のFSWは門型だけでなく立型、横型などあらゆる自社製マシンで対応可能」(同)と、剛性に強い芝浦機械製ラインアップでの使いやすさとノウハウをアピールする。

 
低速重切削から高速切削まで対応できる門型MC「MPF―2614FS」

低速重切削から高速切削まで対応できる門型MC「MPF―2614FS」

専用工具を取り付けて行うFSW

専用工具を取り付けて行うFSW

先進分野の加工をサポート

 ナノ領域の超精密加工分野では立型MC「UVM―450D(H)」を紹介する。テーブルサイズ450ミリメートル角の小型マシンだ。芝浦機械独自の技術による振れの少ない空気静圧軸受主軸やリニアモーターなどを標準搭載し、信頼性を実現している。こちらもヘッドランプ部品における反射用の微細な溝加工事例など、自動車分野での実績を誇る。メディカル分野での血液検査用分析チップの溝加工、燃料電池用セパレーターのプレス金型用加工など先進分野でも使われている。

 
ナノ領域の超精密MC「UVM―450D(H)」

ナノ領域の超精密MC「UVM―450D(H)」

 オプションで付けられる総合支援ソフトウエア「トータル・サポートアプリケーション(UVM-TSA)」は、高速回転している工具の切れ刃摩耗を自動計測し、結果から補正値を算出して数値制御(NC)データの座標数値に反映させながら加工する。機械側で自動補正しながら加工するため、3Dモデル修正やデータ再作成などの後戻りが不要になるという。稼働率向上や工具使用本数低減が実現できる、かしこい最新機能だ。

 冨田執行役員は「工作機械カンパニーとして大型機械と超精密分野の融合を深めたような提案も増やしていきたい」とMECT後を見据える。コロナ禍でニーズが顕在化した仮想空間上での機械設計から加工テストなどのデジタル変革(DX)戦略は、神奈川県座間市の拠点で集中的に開発を進めているとし、今後の展開も注目される。

 (篠瀬祥子)