業界展望台
快適な研究環境に対応する ラボラトリー用設備・装置
6月18日(木曜日)付 日刊工業新聞 15面
ラボラトリー用設備・装置は、化学やナノテクノロジー、医薬品、エレクトロニクスなどの進歩に貢献している。幅広い製品群があり、研究施設内の実験室、研究オフィス、コミュニケーションの各エリアで活躍している。実験室の機器やインフラの改善とともに、コミュニケーションスタイルなど働き方の変革も進んでおり、快適な研究環境の構築にも対応している。
企業の新施設開設相次ぐ
研究施設は実験室、研究オフィス、コミュニケーションの3エリアに大別できる。3エリアを自由に行き来することで、研究者のリラックスと集中が有機的につながる研究施設。それを理想の空間とする見方がある。
実験室には局所排気装置であるヒュームフード(ドラフトチャンバー)や、実験台、保管庫、そして顕微鏡、光学検査機器、遠心分離機、真空機器、恒温器などの汎用科学機器がある。このほか、実験動物施設、クリーン関連施設、メディカル関連施設などが整備されている。
研究オフィスにはワークステーション、いす、収納システム、立ち上がると周囲を見渡せる間仕切りなどがある。
コミュニケーションエリアには、交流や気分転換に適したルームスペース、会議室、図書室、食堂などがある。
研究施設は安定した実験環境を確保するため、内装材の選定や、粉体を使った実験に悪影響を及ぼさない風速の給気システムなどが重要になる。省エネルギーの観点から効率の良さ、作業性の高さが求められている。
近年、顧客ニーズが高度化し、企業間競争も激化する中、自社の努力では解決できない研究開発上の課題に対して、社外から解決策を見つけ、研究開発を効率化する動きが広がっている。研究施設では領域横断、異なる研究機関との共同研究、産学連携などの研究スタイルが推進されている。
その中で研究者同士の出会い、“知の交流”、研究に集中できる環境などが求められている。
企業が研究開発環境を整備し、新しい研究施設を開設するケースが相次いでいる。
HIOKIは2015年3月に長野県上田市の本社工場敷地内で建設していた新研究棟「HIOKIイノベーションセンター」を完成させた。従来、本社工場内の複数カ所に分散していた技術・開発部門を同一階でフラットなオフィス空間に集約し、研究者同士が自然に出会う機会を多くした。これによって、イノベーションを促進するとともに、研究開発の効率向上を図るのが狙い。
協和発酵キリンも3月に、静岡県長泉町にある同社研究所の富士リサーチパークに新研究棟「IK8棟」を完成させた。同パーク内の創薬研究、および堺市堺区にある同社合成技術研究所の工業化研究の両機能を集約した。合成医薬品の研究開発・生産に必要となる一般合成化学、およびスケールアップ研究や合成プロセスの最適化を行える実験室を備えるとともに、安全面、環境面に配慮した研究棟とした。
サントリーホールディングスは、5月に京都府精華町で研究開発拠点「サントリーワールドリサーチセンター」を完成させた。3カ所に分散していたサントリーグループの拠点を集約したものだ。サントリーワールドリサーチセンター内の各社、各部門の壁を取り払い、分野の異なる研究者同士がコミュニケーションを図りながら研究を行える実験室「共用実験室」などを設置した。
■松本機械販売
松本機械販売の「LAC-2000」は、研究開発用遠心分離機である。薄型バスケット(特許取得済み)を装備し、少量のテスト試料で分離テストが行えるため費用と時間を大幅に減らすことできる。
バスケットカバーは透明なガラス製のため内部の分離状況が目視でき、データ分析が容易である。遠心分離と沈降分離ができる1台2役。バスケットに取り付ける濾過リングを試料に合わせて交換することで、1マイクロメートルの微粒子から抽出できる。製薬会社や研究機関、大学で活躍中だ。
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