生産者と消費者との架け橋－容器産業

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生産者と消費者との架け橋－容器産業

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7月7日（火曜日）付日刊工業新聞　15面

　一つの商品が消費者の手元に届くまでには容器が存在する。容器はニーズによってさまざまな形状・性質に柔軟に対応する。容器包装リサイクル法など環境負荷の軽減にも努め、安全かつ的確に内容物を守る容器産業を紹介する。

■環境にやさしく安全に

　あらゆる容器の中でも食品容器においては、内容物を劣化させる微生物、酸素や光などから食品を守るための技術が求められる。

　東洋製罐のオキシガード容器は、食品を劣化させる酸素透過を低減するだけでなく、中身の充填時に容器内に残った酸素を吸収することで、賞味期限の延長と、食品廃棄ロスの軽減ができる。

　東洋製罐は5月、日立財団と日刊工業新聞社が共催する第42回「環境賞」で優秀賞を手にした。伊藤園との共同で、容器の軽量化による環境負荷低減、香り保持・品質向上を目的に、緑茶飲料に最適な充填システム「新・飲料充填方式（NSシステム）」を開発した。NSシステムは品質向上を図りつつ、省資源、二酸化炭素（CO2）削減、水資源のリサイクルを一度に実現し、持続可能な生産・消費につなげる。

　容器産業は地球環境への配慮に積極的だ。ドラム缶は（1）使用されたドラム新缶を再生缶メーカーが回収（2）内部洗浄や再塗装を行い再利用（3）数回使用したのち、スクラップ化（5）新しい鋼材として市場へ―という手順でリサイクルする。

　日鉄住金ドラムでは環境を守るリサイクル商品の優等生といえるドラム缶を、あらゆる需要へ柔軟に対応させながら提供する。

　酸性度の高い内容物や腐食性の強い内容物などの充填に適している「内容器付複合ドラム缶」や鉄素地を嫌う内容物およびフェノール、香料、ワニス類の充填に適した「亜鉛めっき缶」、輸出用やワンウエーに適した「薄手缶」など多岐に渡って需要に応える。

　内容物の違いによってさまざまな適性（液体用、毒劇物薬品用、危険物用など）を持つ特殊容器も製造する。

　2016年春には、ドラム缶のハイレベルな技術開発を目指して、クレーム品解析などの品質管理、製造設備や新商品の開発を行っている技術センター（相模原市緑区）の新しい建物が完成する予定だ。執務・研究スペースを2倍近くまで拡張し、同時に設備部門や開発部門など組織の一体化や、顧客との対話による共同開発体制を築く。

■再商品化を推進

　日本容器包装リサイクル協会（東京都港区、03・5532・8597）は特定事業者や市町村、再商品化事業者を対象に再商品化の適正な実施を行う。講演会なども実施し、リサイクルの普及・啓発に取り組む。そのほか容器包装のリサイクルを実施する再商品化事業者の選定も行う。

　家庭ごみの約60％（容積比）が容器包装であった1995年、一般廃棄物の最終処分場（埋立地）の残余容量を回復させ、廃棄物の減量と資源の有効活用を図ることを目的に「容器包装リサイクル法」が制定された。残余容量は回復し、環境省の調査によると2013年度の家庭ごみ中の容器包装の割合は53.2％にまで減少した。

　同法では（1）特定容器利用事業者（2）特定容器製造等事業者（3）特定包装利用事業者の3事業者が再商品化の義務を負う。ほぼ全ての特定事業者は指定法人ルート。それ以外の特定事業者は自主回収ルートや独自ルートで義務を果たす。

　義務不履行の際には罰則が科せられる。経済産業省の発表によると15年3月、計7社が罰則を科せられ、社名が公表された。

　14年9月からは同法改正に向けた合同会合が行われ、年末にかけて方向性を決定する予定であったが、9月24日のパブリックコメントの集約報告などが行われた第14回会合以来、審議は停滞している。再開され、同法がより進化すれば、容器包装リサイクル促進への大きな弾みとなりそうだ。

家庭ごみ中の容器包装廃棄物の割合

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