業界展望台
半導体産業
7月15日(水曜日)付 日刊工業新聞 24面〜25面
半導体はデジタル家電や自動車、鉄道や産業機器などさまざまなエレクトロニクス関連製品に搭載されている。スマートフォンやクラウドサービスに伴うデータセンター向けサーバー需要に支えられ、半導体や半導体製造装置関連は好調に推移している。
■IoT対応、需要拡大期待
半導体や製造装置、関連材料はスマートフォンが市場をけん引。今後はIoT(モノのインターネット)を背景に、さらなる需要拡大が期待されている。
特に半導体を支えているのがシリコンなどの材料、製造装置。製造装置には各種の材料膜を形成する装置、写真蝕刻技術を活用して材料膜を形状加工する装置、微量不純物を添加する装置、組み立て装置、検査装置などがある。半導体が進歩するためには製造装置の技術革新が最重要となっており、日本製の半導体製造装置は必要不可欠だといえる。
米SEMIによるとスマートフォンに搭載する半導体の高性能化や省電力化、パフォーマンス向上を背景に、製造装置は微細化要求の高まりに対応。シリコンウエハーサイズで300ミリが大幅に伸長している。IoT時代を迎え、あらゆるモノに半導体が搭載される。コストメリットと高品質の両立が条件とされ、200ミリサイズが再び脚光を浴びようとしている。日本が保有する200ミリサイズ設備と多様な生産品目の優位性に期待がもてる。
また日本半導体製造装置協会(SEAJ)は7月8日に、半導体製造装置の日本製装置販売高などの予測を発表した。
2015年度の日系企業(海外拠点を含む)の国内外の日本製装置販売高は前年度比12.7%増の1兆4557億円と予測。ファウンドリーやロジックメーカーの底堅い投資とメモリーメーカーの投資計画を見込んでいる。16年度は3年連続成長の調整局面とし、17年度は電子機器や半導体デバイスが緩やかな成長により、装置需要も回復に向かうとしている。
有力企業の製品・技術
■サーパス工業
サーパス工業は流量コントロールで世界をリードし、今年で創業33年を迎える。フッ素樹脂の特性を理解し耐薬品性に優れ、品質の高い流体機器を開発、製造、販売している。
半導体製造装置に向けて流量コントローラーや圧力センサー、カルマン式流量計、差圧式流量計、薬液用バルブなど流量制御に欠かせない製品を幅広くラインアップしている。注力製品は毎分0.1ミリ〜15ミリリットルの計測ができるタイムオブフライト式微小流量計「NTF型」だ。NTFを使用する微小流量ライン向けの「Nanoシリーズ」として「NNV(ナノニードル)」「NSD(ナノバルブ)」「NBT(ナノボトル)」などを展開している。
■ジャパンクリエイト
ジャパンクリエイトは半導体・液晶製造工程向け装置の製造を幅広く手がける。研究用小型機・量産用自動機まで納入実績も豊富で、サンプル洗浄などにも随時対応する。迅速な対応が持ち味で、自社装置のみならず、他社装置のアフターフォローまで行う。製造品目はウエハーや液晶表示装置(LCD)、LCD再生用、プラズマ・ディスプレー・パネル(PPP)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)、電界放出ディスプレー(FED)、発光ダイオード(LED)工程向け洗浄装置や、エッチング装置、スピンドライヤー、450ミリメートルまでのウエハーサイズに対応したスピンコーターなどを手がける。
■ネツシン
ネツシンは白金測温抵抗温度計を手がけて44年。「白金測温抵抗素子を限りなく点に近づける」という社是のもと、世界最小クラスの製品を相次いで市場投入してきた。
新たに絶対零度下においても温度測定が行える抵抗Pt1000オームのセラミックス筐体(きょうたい)式白金測温抵抗体温度センサーを発売した。0.01度C刻み以上の高分解能で、温度測定が可能。従来のPt100オームの白金測温抵抗体に比べ、10倍程度に感度が向上するため、マイナス273度Cの絶対零度下での温度測定が可能になった。高温域では100度Cまで、安定した温度測定ができる。本体サイズは幅4ミリ×長さ11ミリ×厚さ0.5ミリメートル。
■材料科学技術振興財団
材料科学技術振興財団(MST)は半導体の受託による解析と評価を行っている。透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察や、飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF―SIMS)など、さまざまな分析方法を用意。顧客要望に適したプランを提案している。機器分析では評価が困難な材料において分析データシミュレーションによる解析サービスを行うなど、技術開発に意欲的に取り組む。
コンペや相見積もりに応じるため他の分析センターと解析力、価格、納期の比較提案に対応する。ホームページ上で310件の分析事例を公開。分析事例集を配布し幅広く情報を提供する。
■クラボウ
クラボウは半導体産業の材料・準備工程から生産・検査工程までトータルでユーザーニーズに対応できるのが強み。耐熱性を高めた特殊ポリスチレン系フィルムや熱可塑性ポリイミドフィルムなどの「スーパーエンプラフィルム製膜技術」のほか、「薬液供給装置」の設計施工技術などを有している。
さらに独自技術をベースに基板やフィルム上の微細な傷や汚れなどを高精度に検出する外観検査装置、フッ素樹脂フィルターや金属イオンを化学的に捕捉する機能を不織布に付与した微量金属除去フィルターなど、同社先進技術を結集した高度な製品群をそろえ、各プロセスに最適なソリューションを提供する。
■ルネサスイーストン
ルネサスイーストンは2014年に設立60年を迎えた半導体技術商社。ルネサスエレクトロニクス製品をコアに幅広い商材を取りそろえており、営業技術力やソフト・LSI(大規模集積回路)開発力などを融合させたソリューションを提案。自動車、産業、民生、通信分野などあらゆる顧客の多様なニーズに応えている。
同社はグローバル化に対応した海外ビジネスの推進、特約店ビジネスの拡大、新規商材の拡充など積極的に事業を展開し、盤石な経営基盤の確立・安定的な利益確保の実現に向けて取り組んでいる。
今後もきめ細かなサービスで顧客の信頼に応え、半導体が実現するスマート社会に顧客とともに貢献していく。
■ダイヘン
ダイヘンは半導体関連機器事業を主力事業の一つとし、半導体/FPD製造装置用のプラズマ発生用高周波電源やロボット、アライナなどの搬送機器を製造・販売している。フルデジタル制御で高い出力再現性と安定性を実現し、パルス出力や可変周波数など、豊富な機能で多様なプラズマプロセスに対応できる高性能高周波電源「AVANCER」シリーズを開発。また走行軸なしで4ポートまでアクセスでき業界トップレベルのスループット(最大300WPH)および高所搬送(地上高約1.6メートル)を実現したウエハー搬送ロボット「ACTRANS UTM-R3700F」などの新製品をリリースしている。
■大陽日酸
大陽日酸はエレクトロニクス産業の高品質化、生産効率化へのニーズに応えるため、半導体デバイスの生産工場隣接地に超高純度窒素製造装置や電子材料ガス供給設備を備えたトータル・ガス・センターを設置、24時間体制で安定供給している。
また長年培ってきたガス供給技術を生かし、特殊配管施工や環境に配慮した精製・排ガス処理装置、シリンダーキャビネットなどの機器・装置もそろえる。化合物半導体の製造に用いられる有機金属気相成長(MOCVD)装置は国内のみならず、世界トップクラスの研究機関に採用されるなど、ハイエンドマーケットでの需要を確実に取り込みグローバル展開を加速させている。
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