業界展望台
積極活用が期待される 都市資源開発
9月30日(水曜日)付 日刊工業新聞 13面〜15面
使用済みの家電製品には“都市鉱山”と呼ばれるほど有用な金属が含まれている。物質・材料研究機構によるとわが国に蓄積された都市鉱山の埋蔵量は、金、銀、インジウム、スズ、タンタルなどで世界現有埋蔵量の1割を超える規模があるという。天然資源に乏しいわが国にとって、レアメタル(希少金属)やプラスチックといった都市で発生するこれらの資源「都市資源」の開発と、より積極的な活用が求められる。
循環型社会実現へ
天然資源の消費を少なくし、環境への負荷をできる限り低減する「循環型社会」の実現のためには、廃棄物の発生抑制(リデュース)、再利用(リユース)、再生利用(リサイクル)の3Rの取り組みが不可欠だ。2013年5月に策定された「第3次循環型社会形成推進基本計画」では、リサイクルは順調に推移しているとし、より優先順位の高いリデュースとリユースの2Rを推進。また食品、家電、容器包装、自動車など個別のリサイクル法の実効性を高めるよう見直してきた。
小型家電リサイクル制度
都市鉱山は将来使用済みになってリサイクルできる資源と、これまでに消費した資源の蓄積。少ない都市鉱山からより質の高いリサイクルを実現することが理想となる。
13年4月には、これまで不燃物として埋め立て処分されたり、家庭に眠ったままになっている使用済み携帯電話やカメラなど小型家電から資源を回収・再利用する小型家電リサイクル法が施行された。自治体などが自主的に集めた小型家電を、国が認定したリサイクル事業者に売却する制度だ。
14年4月時点で小型家電リサイクル制度を実施または実施に向け調整中の市町村は約6割。使用済み家電の回収量は15年度までに14万トンの目標に対し、13年度は約2万4000トンと開きがある。実施市町村をさらに増やすとともに、金属市況が悪化した場合でも認定事業者が事業を継続できるような対応が求められている。
小型充電式電池回収・再資源化
資源有効利用促進法では小型充電式電池の無償回収・再資源化を義務付けている。小型充電式電池は電動工具やポータブル端末、ノートパソコンなどに使用されているニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池が対象。ニッケル、カドミウム、コバルトといったレアメタルが使われており、JBRCなどの団体がリサイクル活動を行っている。JBRCでは11月末までキャンペーンを行い認知度を高める。
回収した電子機器などの分別では、製品の環境配慮設計や破砕・粉砕・選別機器の高性能・高効率化なども重要になる。少ない都市鉱山を最大限回収・再資源化する一層の取り組みが望まれる。
有力企業の製品・技術<順不同>
■JBRC
一般社団法人JBRCは資源有効利用促進法に基づき、小型充電式電池の回収・リサイクルを推進している。会員企業は電池メーカー、使用機器メーカー、輸入事業者など約300社。
回収拠点は全国で協力事業者が約1万2000拠点、協力店が約2万1000拠点、協力自治体が約200拠点となっている。回収したニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池から、希少金属であるカドミウム、ニッケル、コバルトなどを再利用している。
■ホーライ
ホーライは半世紀にわたり、せん断式粉砕技術で環境保護に貢献してきた。あらゆる資源の効率良いリサイクルの推進を通じて循環型社会の実現を目指している。
同社の粉砕機は作業現場での効率性を追求。2段式粉砕機「KR−2060」「FG−2060」は、自動車のバンパーや内装材などの大型プラスチック成形品の粉砕を目的に開発された。本体構造やモーターの取り付けに工夫を凝らし、投入口を低くして作業効率を向上。コンパクトな設計で、省スペースも実現している。
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