業界展望台
技術と意識で事故防止−食品の安全と品質管理
10月9日(金曜日)付 日刊工業新聞 21面
近年、日本の食文化は大きな変革期にある。料理をする家庭が減り、食生活の多くを外部の食産業に頼る機会が増えている。反面、異物混入や表示偽装など、食への信頼を揺るがす問題も後を絶たない。食品に対する不安を払拭(ふっしょく)するには、これまで以上に徹底した品質管理が求められる。関連企業では企業の社会的責任(CSR)を追求し、安全性の確保に取り組んでいる。
自給率4割
現在、日本の食料自給率は4割程度であり、世界各国から多様な食品を輸入する”食料輸入大国“といえるだろう。世界中のさまざまな食品を手に入れられる時代だからこそ、食品を手がける企業には原材料の調達先から製品出荷まで、製造工程トータルでの品質保証と管理が不可欠となる。
食品メーカーなどの取り組みとして主なものは、品質管理・保証の国際規格「ISO9000」シリーズの認証取得や危害分析重要管理点(HACCP)の導入と、これらに準じた独自の衛生・工程管理体制の確立などがある。原材料の入荷から製造、出荷に至るそれぞれの工程で予測される危害を商品ごとに分析し、適切に品質を管理する体制の構築が進められている。
未然に防ぐ
一方、食品への意図的な毒物などの混入を防ぐ対策も欠かせない。食品メーカーの多くは、人の出入りがある場所や作業現場内に監視カメラを設置し、不審者の侵入や作業状況をモニタリングするなど事故を未然に防ぐ取り組みにも余念がない。
最近では食品に異物を混入させたり、床に落とした食品をそのまま製造ラインに戻したりするなど人的な事故や犯罪も目立っている。食の安全を確保するには生産・品質管理に加え、防犯面での対策も重要である。
ただ、機械設備やシステムの管理・点検だけでは十分ではない。法令順守に対する作業者の意識と感性を高める人材育成も欠かせない。食品の安全・安心を確実なものとするには、機械設備やシステムなどのハード面と、従業員の意識・モラルなどソフト面の両面での取り組みが不可欠である。
有力各社の取り組み紹介(順不同)
■勝川熱工
勝川熱工は産業用熱交換器メーカーとして1934年の創業以来、加熱・冷却工程における幅広い顧客ニーズに応えてきた。
自動車や食品、医薬品、電化製品、建築資材など主要分野に加え、環境施設向けの熱交換器としてゴミ焼却場や下水処理場、発電所などに対して熱エネルギーを有効利用する製品を供給。さらに再生可能エネルギーとして現実性の高い地熱利用や、燃料電池のインフラに活用される熱交換器の開発にも取り組んでいる。
また、エネルギー分野での新市場創出に向け、今後の社会ニーズに適合した熱交換器利用の研究も官民連携で進めている。
■トヨックス
トヨックスは流体・用途別にホースとその専用継ぎ手を各種販売している。従来、ホースと継ぎ手はメーカーが異なり、それぞれが製造・販売している。そのため多くのユーザーから流体の漏れやホースの抜けなど苦情が寄せられていた。同社はホースに合った専用の継ぎ手を開発し、品ぞろえすることでホース配管の不具合を解消してきた。
さらに、食品安全に対する不安を解消するため食品衛生法各種に適合した食品専用配合のホースや、液だまりしにくい専用継ぎ手などを製造している。食品に対する安全性が高く、作業性も改善し生産効率向上を実現する商品を使用条件に応じて各種そろえる。
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