高性能化でニーズに応える樹脂コンベヤーベルト

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高性能化でニーズに応える樹脂コンベヤーベルト

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10月15日（木曜日）付日刊工業新聞　32面～33面

軽量物搬送で需要拡大

　樹脂コンベヤーベルトは、主に食品や物流分野で軽量物の搬送用途で活躍している。需要の大半を占める食品分野では近年、異物混入などの事故が後を絶たず、製造現場の衛生管理が以前にも増して厳しく求められている。そのような中、食品を搬送するベルトにも抗菌・防カビ性やベルトの耳ほつれ防止など食品の安全性を維持する性能が不可欠となっている。ベルトメーカーはこれらのニーズに応える製品開発に力を入れている。

　食品分野における樹脂コンベヤーベルトの需要は、主に食品加工業向けと食品機械メーカー向けの二つに分けられる。食品加工業向けは国内需要が増加傾向。“食の安全”に対する意識が高まる中、日本製ベルトの品質や性能に対する信頼性が高く評価されている背景がある。そのため国内では安価な海外製品と競合することはないという。

　すでに国内の樹脂ベルト市場は確立されており、品質面やサービス面で海外メーカーが自社の優位性を打ち出すのは難しくなっているからだ。

　ただ、「海外製品でも付加価値の低い単なる搬送用のベルトが国内に入ってくれば価格面での競争は厳しくなる」（ベルトメーカー）と懸念の声もある。

　一方、食品機械メーカーでは設備投資の回復により輸出が好調。これに伴い、樹脂ベルトの需要も堅調に推移している。アジアなどでは現地の日系食品メーカーが生産効率を図り、価格が割高でも信頼性の高い日本製の採用を進めているからだ。

　今後の販売拡大に向けベルトメーカーが重視するのは、コンタミネーション（異物混入）防止性能の向上と欧州委員会規則（PIM　別名プラスチック施行規則）に対応した製品開発だ。PIMは食品と接触するプラスチック素材および製品に関する食品衛生規則。主に欧州を中心に施行されている。認証取得へのハードルが高く「PIMに対応した製品を製造することで技術力を広くアピールできる」（ベルトメーカー）と説明する。

　食品機械メーカーの欧州市場攻略の流れの中、ベルトにもPIM対応が不可欠となっている。大手ベルトメーカーでは対応が進んでいるが、さらなる高品質化に向けた製品開発に注力している。

　これに加えてベルトの点検やメンテナンスなど、アフターサービスを充実させる取り組みも活発だ。製品を売るだけでなく、その後のフォローを充実させることで顧客満足度を高め、より確かな食の安全を実現するというベルトメーカーの思いがある。

■バンドー化学

　バンドー化学は1973年に国産で初めてという樹脂ベルトとして発売した「サンラインベルト」について、製品体系をリニューアルするなど、食品市場向けのラインアップの強化を図る取り組みを進めている。リニューアルに伴い、軽搬送ベルトの総合カタログやサンプル帳、設計マニュアルなどを改訂。ベルト選定が手軽に行える「サンラインベルト選定サイト」も開設し、顧客の使いやすさ向上に努めている。

　今後は食品市場で強まる法規制への対応と市場ニーズの変化に応じた製品の投入を予定。国内では代理店を通じて販売拡大を図る一方で、中国や東南アジアでの展開と日系および現地顧客へのサービス提供を加速させる。

■三ツ星ベルト

　三ツ星ベルトは新しいモノづくりの形である「テーラーベルト」のコンセプトに基づき、6月に開催された「国際食品工業展」に出展した搬送用樹脂コンベヤーベルトの新製品と新工法が好評を得ている。製品として展示した、新素材の「ハイブリッドシリコーンベルト」は粘着物の搬送という難しい用途への対応が期待されている。

　また、カーブコンベヤーと急傾斜搬送コンベヤー用のブルーベルトの販売を開始したことにより、さらに広範囲なラインへのブルーベルト導入が可能になった。同時に、新たな加工技術によるエンドレス方法と桟加工も発表し、相乗効果で需要範囲の拡大を進めている。

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