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中国ビジネス-「量」から「質」のモノづくりへ

10月16日(金曜日)付 日刊工業新聞 11面

 2010年からの実質GDP(国民総生産)伸び率の鈍化、最近の上海株式市場における平均株価の下落など、中国経済成長のスピードは減速しており、世界経済に大きな影響を及ぼしている。そうした中、中国はこれまでの労働力と資源、資本を大量に投入することで成長を図る粗放型の経済成長から、新技術の開発や生産性の向上などによる集約型経済成長へと変化してきている。

 06年、中国国務院は産業構造を集約型への転換をさせるための方向性を示す「国家中長期科学技術発展規画綱要」を発表。20年における達成目標として「研究開発(R&D)支出の対GDP比2.5%以上」「発明特許数の世界5位以内」などを掲げた。発表から9年経った13年、R&D支出はGDPに対して約2%で、達成目前。特許出願件数はすでに世界1位だ。

 産業転換の先行モデルに近いのが深セン市だ。労働集約型製造業を主要産業に発展。近年、ハイテク産業への優遇税制などの政策を打ち出し、構造転換を図っている。現在、華為(ファーウェイ)技術、中興通訊(ZTE)といった情報通信機器関係のハイテクメーカーなどが拠点を置き、活発なR&Dを実施。その結果、13年の深セン市のR&D支出は市のGDPに対して4%。また、国際連合(国連)の世界知的所有権機関(WIPO)の発表では、14年における国際特許の出願数はファーウェイが3442件で世界1位、ZTEが2179件で同3位。深セン市は中国の産業構造転換を実現した地域だといえる。

 富士通総研経済研究所の趙上級研究員は深センのこうした現状を調査・分析。15年10月に「中国の経済成長モデルの転換の可能性―深センから見えたルートと課題」と題した発表を行った。その中で、さらなる成長を図るため、都市インフラにおいて行政サービスを含むソフト面の機能向上やイノベーションに不可欠な要素の人材確保、不動産をはじめとする生活コスト低減など、解決すべき課題を挙げた。また中国経済全体では知的財産権保護強化の重要性も指摘している。

 中国の経済成長はスローダウンしているが、深センのような新たな動きもでてきている。それにともない、日系企業の中国ビジネスも新しい局面に突入していくだろう。

立花エレテック

 立花エレテックの中国戦略のカギは、現地の技術センターとローカル人材の活用である。深センに半導体技術センターを開設したのは2000年。今ではモーター関連でローカル企業向けのデザイン・インも始まっている。深センにはマネージャーとスタッフ全員がローカル人材という営業チームもある。

 FA技術センターは13年半ばに上海に開設。これがローカル顧客の信頼獲得につながり、現地製造業から放電加工機を大量受注している。

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