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省エネ照明 10月21日はあかりの日

10月21日(水曜日)付 日刊工業新聞 22面

 きょう10月21日は、「あかりの日」。発明家トーマス・エジソンが1879年10月21日、自身が開発した白熱電球が40時間以上点灯し、世界で初めて実用的な電球を作ることに成功した日に由来して制定された。今年は1981年の制定から35回目。日常生活に身近な「あかり」だが、最近は省エネルギーも一層進み、ライフラインの一翼を担っている。 

【暮らし豊かに】

■LED普及へ

 1879年トーマス・エジソンは、白熱電球を初めて40時間以上、点灯させることに人類で初めて成功、偉業としてたたえられた。当時はフィラメント素材に木綿糸が使用された。白熱電球はその後、明るさや寿命などの性能向上を求められ、フィラメントの素材は改良されていったが、素材にタングステンを利用することで、2000時間の点灯が可能となった。

 エジソンの発明以来、照明は多くの分野で飛躍的な進歩を遂げ、暮らしの発展に重要な役割を果たしてきた。現在ではより少ないエネルギーで、より明るい照明が求められるとともに、快適性・生産性や効率の向上、交通安全や防犯など「暮らしを豊かにする照明」の実現にスポットがあてられている。

一般的な電球型LEDランプの構造例

 省エネルギーとして代表的な存在が、発光ダイオード(LED)を光源とする照明器具。LEDは電子の持つエネルギーを、光エネルギーに変換する半導体素子。その光は視認性、応答性に優れているのが特徴だ。

 このLEDを使う照明は半導体なので、例えば定格寿命4万時間の場合、1日当たり10時間の点灯で約10年間使用が可能と寿命が長い。また少ない電力で明るく点灯するので効率が高いという点で、省エネルギーである。代表的な電球形LEDランプを例に取ると、白熱電球の約5分の1程度の電力で同じ明るさを得られる。

 LED照明の普及拡大に取り組むLED照明推進協議会は、LED照明の拡大に向けたシンポジウム「『ヒカリ+α』で拡がるLEDの新たな潮流を探る」を、このほど都内で開催、LED照明の優位性を訴えた。

 当日は照明技術の最新動向に詳しい一色正男氏(神奈川工科大学創造工学部教授)や金田篤士氏(照明デザイナー、ワークテクト社長)が講演したほか、石田建一氏(積水ハウス執行役員)、花井架津彦氏(大光電機)らが参加したパネルディスカッションも実施された。

■普及啓発活動

 「あかりの日」は日本照明工業会、日本電気協会、照明学会の関係3団体が制定。「照明文化の向上による豊かな社会の創造とエネルギーの有効活用」を目指し、照明の持つ意義の認識と、正しい照明知識の普及、啓発活動を推進することを目指している。 

 関係3団体が構成する「あかりの日」委員会では、省エネ・快適・便利なLED照明について種類・特徴・選び方のポイントについてわかりやすく紹介した小冊子「住まいの照明 省エネBOOK 2015年版」を作成。電球形LEDランプやアンケートはがきなどとともに、8500袋を全国10カ所で配布。後日アンケートに回答した中から、100人にLED照明を贈呈する。

 また正しい照明知識の普及と啓発活動推進の一環で小学生を対象に「全国小学生ポスターコンテスト」を開催。15回目となる今回は「楽しいあかりのある暮らしを描こう!」をテーマに募集し、241点の応募があった。その中から9月9日に開催した最終審査会で、神奈川県小田原市立三の丸小学校6年生、小川彩香さんの作品が最優秀賞に選ばれた。ほかにも優秀賞10点、入選作品30点をそれぞれ選んだ。

■制御技術進化

 照明器具・システムの分野では、照明制御技術の進化も進んでいる。

 内田洋行は照明の調光制御に関する国際規格「DALI(ダリ)」に対応した、オフィス向けLED照明制御システムの発売に乗り出した。具体的には業務内容に応じて携帯型情報端末やスマートフォンを使い、照明の明るさを1台単位で調整することが可能なシステム。緊急地震速報を感知する専用警報装置と連動させれば、点滅して災害発生の危険を知らせることも可能。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、「戦略的省エネルギー技術革新プログラム事業」を進める中で、照明制御技術に着目、明るさ感指標を利用した光環境制御システムにブラインド制御能を追加して、都内のビルで実証評価を実施。その結果、晴天日の日中の消費電力を63%削減できることを確認した。

 このブラインド制御機能は、窓面近くに外向きに設置した魚眼式の輝度カメラの画像を基に、ブラインド面の明るさ感評価を実施するもの。このブラインドと照明の統合制御により、自然光を最大限に利用。室内光環境の快適性を向上させながら、消費電力の削減を可能にしている。NEDOは年間を通じた省エネルギー効果を実証するとともに、一層の制御技術開発にもつなげていく考え。 


有力企業の製品・技術〈順不同〉

ウシオライティング

 ウシオライティングが9月に発売したLED電球の「新10品種」は、色温度にフォーカスした「調光対応シングルコア」のバリエーション製品である。異なる光色を使うことで効果的な照明を期待するユーザーの要望に応えるもので、スムーズな調光、多重影のない光と輪郭が美しいグラデーション配光も実現した。同社ではハロゲンランプに近い電球色を用意していたが、ユーザーの選択肢を広げるために赤系電球色、温白色、白色、昼白色を製品のラインアップに加えた。今後は、同様にユーザーごとで異なる光の広がり、照度ニーズを満たすため、今以上に製品ラインアップを拡充、市場での優位性を高めていく。

プリンス電機

 プリンス電機は施設・機器照明の専門メーカーで、低炭素社会へ向け2008年に「スリムエコ」環境宣言をした。その一環で今、あかり(照明)のノウハウを生かし二つの施策を実践中だ。一つ目は地球温暖化防止活動の担い手やグリーンコンシューマー育成など、ステークホルダーを対象にした環境教育。二つ目は長年にわたり、高いシェアを持つ冷凍・冷蔵ショーケース照明へのLED普及。商品である食品の見せ方など、食品展示照明を熟知した専門メーカーだからできるグリーン化の分野と考え、パイオニアとして長年蓄積した技術を反映させ、省エネで食品に適したLED照明「ディーライン」をラインアップした。

エバーライトジャパン

 エバーライトジャパンは台湾・エバーライト(新北市)の日本法人として、2013年に設立された。同社ではLED業界で標準とされる横5.6ミリ×縦3.0ミリメートルサイズで、明るさ1ワット当たり205ルーメン(65ミリアンぺア当たり)の製品を開発した。15年9月からサンプル供給を開始し、12月に量産を開始する。
LED業界では、200ルーメンの出力が上位といわれている。同社では独自の技術開発と部品調達により、光の取り出しを最適化することに成功し、1ワット当たり205ルーメンの明るさを達成した。
台湾・エバーライトは世界に16カ所の拠点を持つ、世界第5位のLED専業メーカー。

内田洋行

 内田洋行のDALI(ダリ)照明制御システムは、LED照明1台1台をネットワーク制御が可能。時間や季節ごとに異なる窓際の明るさを自動的に調光する省エネルギー化、小さな単位で最適化調光することで、集中作業や会議などの共同作業など、働き方に応じたニーズに対応し、生産性向上にも寄与。また緊急地震速報などの警報を通知するハードデバイスとの連動が可能なため、騒がしい場所や携帯電話を持ち込めない研究所、あるいは聴覚障害の人にも、照明をフラッシュさせることで、緊急警報の情報を視覚的に知らせることができる。同社は繋げる技術で、メーカーの垣根を越えたソリューションを提供する。

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