業界展望台
11月1日は計量記念日
10月30日(金曜日)付 日刊工業新聞 18面〜19面
11月1日は「計量記念日」。計量の基準を定め、適正な計量を確保することが我々の日常生活を守るとともに、経済発展および文化の向上のために重要であることを再認識する日だ。"計る“ということはモノづくりの基本。計量に関する制度は経済・社会の最も基本的な制度であり、我々の生活の基盤にもなっている制度だといえる。今日の日本製品の高精度、超精密といったイメージは正確に"計る“ための制度があったから確立することができた。
■経済活動の根幹に計量法-基準を定め、適正な計量を実現
計量制度は計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保する。貨幣制度と同様に経済活動の根幹をなす制度といえる。計量法はモノの取引や、モノを証明するために利用する単位、計量器などについてを定めた法律であり計量法の施行によって、現在の適正で、なおかつ合理的で、また国際的にも整合性のある計量制度が確立した。
計量法が定められた目的は同法の第一条に、「計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的とする」と記されている。一方、計量制度における「計量」の定義は「物象の状態の量を計ること」とされており、「物象」として、長さや質量、時間、電流、温度、光度、面積、加速度、周波数、密度などを挙げている。
「計量記念日」は当初、6月7日であった。通商産業省(現経済産業省)が1951年6月7日、それまでの「度量衡法」を全面的に改訂した「計量法(旧計量法)」を公布したことにちなんで、翌52年に、6月7日を記念日として制定したためである。
その後、旧計量法は93年11月1日、国際単位系(SI)を計量単位に導入する「計量単位のSI化」、計量器の製造、修理、販売を届け出制にすることや指定製造事業者による製品の検定免除を行うといった「計量器規制の合理化」、さらには先端技術分野を中心とした高精度の計量に対応するための「計量標準供給制度創設」などが取り入れられ、現在の「計量法(新計量法)」に改正された。計量記念日が11月1日に変更となったのはこの改正によるものだ。
■何でもはかってみようコンテスト-今年は応募124点
計量行政に関しては計量法の適切な実施とともに計量思想の普及・啓発活動を実施するため、経済産業省が11月を「計量強調月間」と制定しているほか、毎年、計量記念日に合わせて「計量記念日全国大会」も開催されている。主催は経済産業省、計量行政機関や計量関係団体によって組織される計量記念日組織委員会。全国の計量・計測関係者が一堂に会し、交流を深めている。
大会では記念式典のほか、記念行事としては「計量啓発標語表彰」「何でもはかってみようコンテスト表彰」も行われる。2015年は11月4日に東京都港区のホテルインターコンチネンタル東京ベイで開催される。
計量記念日の式典で表彰式が行われる「計量啓発標語表彰」は正確な計量への意識を高めてもらうことを目的に募集したものだ。01年度からスタートし、今回で15回目となる。テーマの「正しい計量の大切さをアピールするもの」に対して、916点の応募があり、審査の結果、最優秀作品賞1点、優秀作品賞2点、佳作10点が選ばれた。
最優秀作品賞は川崎市の会社員による「確かめよう 信頼はかる 1目盛」。優秀作品賞は群馬県高崎市の中学生の作品で「身近だけど とっても大切 計量器」と、京都市の会社員による「品質は一目一目の心がけ」が受賞となった。
一方、「何でもはかってみようコンテスト」は計量に関する理解の向上、理科教育の推進を図ることなどを目的に05年から実施しているもの。応募の対象は日本全国の小学校の児童で個人または3人以内のグループ。小学生が学校や家庭生活などの中にある身近なものについて、さまざまなアイデアで何かを「はかった」作品を募集、審査したコンテストである。
今回の応募総数は124点。計量記念日実行委員会委員による1次審査、学識経験者による最終審査で、最優秀作品賞1点、優秀作品賞2点、特別賞1点、奨励賞19点が選ばれた。
最優秀作品賞に輝いたのは「『虫の息』をはかってみよう」というテーマ。神奈川県三浦郡の小学5年生による作品。また、優秀作品賞には福島市の小学1年生による「せんぷうきのはねは どのくらいはやく まわっているのかな?」、茨城県つくば市の小学4年生による「とくする電池はどれだ」の2作品が選ばれた。特別賞は広島県呉市の小学6年生による「容器のちがいと保冷力」となった。
日本計量振興協会は毎年、計量を啓発するパンフレット「計量のひろば」を発行しており、今回、受賞した作品は来年発行される「No.59」で、紹介される予定だ。
計量記念日は計量制度がわが国経済の発展や、国民の生活の安定、消費者利益の保護、文化の向上などに貢献していることを再認識する機会になる。ユーザーはこのタイミングで自社の計量システムが定期検査を受けているか、適正な計量システムとなっているか、国際計量標準に適合した校正を受けているかなどを確認してみるとよいだろう。
計測展2015TOKYO-12月2日から東京ビッグサイトで
JEMIMA委員会セミナーでJCSSのセッション開催
電気計測機器の最新情報を
「計測展2015TOKYO」が12月2日から4日までの3日間、東京・有明の東京ビッグサイト西ホール全館とアトリウムで開催される。開場時間は10時から17時まで。主催は日本電気計測器工業会(JEMIMA)。展示やカンファレンス、セミナーなどを通じて、電気計測機器に関する最新技術や製品が紹介される。入場料は1000円(ウェブでの事前登録者、招待状持参者は無料)。
計測展は東京と大阪で交互に開催されており、今年は東京開催。メーンテーマは「計測と制御で創る未来の地球」。日本電機工業会(JEMA)と日本電気制御機器工業会(NECA)の主催によるオートメーションと計測の展示会「システムコントロールフェア(SCF)2015」と同一会場・同時開催であり、両展示会の統一コンセプトとして「オートメーションと計測の先端技術が集う」を掲げる。
計量関連で注目されるのはJEMIMA委員会セミナーだ。今年は「広がる校正サービス2015~計量標準の利用促進と新たなJCSS~」。JCSSは計量法校正事業者登録制度であり、「計量標準供給制度」と「校正事業者登録制度」からなる。
JCSSがあったからこそ、日本のモノづくりの高精度・超精密を実現する計測の信頼性が確立されてきた。同セミナーは西ホール2階のセミナー会場J(西1商談室)で12月2日13時半から行われる。
有力企業の製品・技術<順不同>
■日本品質保証機構
日本品質保証機構(JQA)はマネジメントシステム・製品・環境などに関する認証、試験、検査を実施する第三者機関。全国15拠点で計測器の校正、ISO(国際標準化機構)などのマネジメントシステムやJIS(日本工業規格)マークの認証、電気製品や医療機器などの製品試験を提供している。1963年の校正業務開始以来の経験と豊富な実績に基づき、校正可能品目と範囲を順次拡大。日本の計量標準供給の一翼を担っている。また幅広い分野でJCSSや米国試験所認定協会のA2LAに基づく校正ができるのが特徴だ。
■ネツシン
ネツシンは白金測温抵抗温度計を手がけて44年。「白金測温抵抗素子を限りなく点に近づける」という社是の元、世界最小クラスの製品を相次いで市場投入してきた。こうした高度なセンサー技術を基盤に、トレーサビリティー(校正業務〈定点校正・比較校正〉)業務も手がける。
新たに、絶対零度下においても温度測定が行えるセラミックス筐体式白金測温抵抗体温度センサーを開発。測定感度を示す抵抗Ptを1000オームにすることで、従来困難だった極低温領域での測定を0.01度C刻み以上の高分解能で可能にした。
■大手技研
大手技研は米フルーク・キャリブレーションのハイエンド圧力校正機器専業総代理店。重錘型圧力天びんや、油・空圧圧力コントローラーなどの輸入販売、メンテナンス、校正サービスを行う。
また同社の校正部門は圧力分野の特定二次標準器を持つ第一階層のJCSS登録認定事業者で多国間相互認証の国際MRAに対応。優れた設備や品質・技術管理の下で、国内外の圧力計測機器の校正が可能。質量・温度分野のJCSS登録・認定事業者でもあり、重錘型圧力天びんに必要な圧力、質量、温度の3分野の校正をワンストップで受託できる。
■宝栄
宝栄は電子測定器や度量衡などの校正を手がけており、創立以来30年以上の歴史を持つ。多国間で相互承認する国際MRAに対応した計量法校正事業者登録制度(JCSS)の認定事業者として、電気(直流・低周波)にかかわる各種の校正事業を拡充している。
既存の登録認定である直流電圧の発生装置、測定装置に加えて、直流電流と直流抵抗、交流電圧、交流電流のそれぞれ発生装置と測定装置が認定された。これにより各種ニーズにワンストップで対応していく。将来は温度や圧力、質量なども対象にできるよう登録認定の追加を目指す。
■オーバル
オーバルはJCSSの気体および液体の区分で登録されている。また、多国間で相互承認する国際MRA対応も認定されている。気体流量JCSSでは定積槽を用いた臨界ノズルの校正技術を持っており、表示機構を含む出力を備えた気体流量計であれば、全て校正対応可能。石油JCSSは揮発油の取引用コリオリ流量計の器差試験にも使用されている、同社校正設備の一部の範囲で認証を得ており、最高測定能力はプラスマイナス0・09%である。同社はJCSS認定事業者として流量トレーサビリティーを確保し、より良い校正サービスの提供を行っていく。
■長野計器
長野計器の品質保証部門は1998年、圧力部門で最初のJCSS認定事業者となった。重錘形圧力天びん、デジタル圧力計および機械式圧力計の3種類でJCSS校正業務を担う。同社のJCSS校正事業の校正範囲に差圧校正が加わり、気体差圧5パスカル以上200キロパスカル以下の校正が可能。それ以外のJCSS校正範囲は絶対圧力5キロパスカル以上350キロパスカル以下、ゲージ圧力(負の気体圧力)がマイナス80キロパスカル以上マイナス10キロパスカル以下、ゲージ圧力(正の気体圧力)が10キロパスカル以上7メガパスカル以下。一方、ゲージ圧力(正の液体圧力)は200キロパスカル以上500メガパスカル以下となる。
■シンワ測定
シンワ測定はJCSSの登録事業者である。同社品証部は多国間で相互承認する国際MRA対応の「長さ」区分JCSS認定事業者として、直尺、鋼製巻尺、ノギス、マイクロメーターといった計測器の校正サービスを行う。同社発行の校正証明は相互承認署名機関・国の間で同等の校正証明として受け入れられる。また、同社は長さの測定器だけでなく、角度や温度など、幅広い分野をカバーする測定機器メーカーであり、「“はかるもの"を通じて職場や家庭に正確さと便利さを、確かな技術と企画力で提供すること」を使命にしている。
■守隨本店
守隨本店は創業1658年(明暦4年)の計量器メーカー。同社のポータブル簡易型トラックスケール「スーパーJUMBOII」は高機能、高精度で扱いやすく人気が高い。
スイッチひとつで静止、通過の切り替えができ、最大秤量(ひょうりょう)180トンまで対応可能。IP66防塵防水性能で液体計量や雨のかかる屋外、ホコリの多い環境でも安心して使用できる。またデータボックス(表示器・プリンター)への計量データ送信に無線を採用、煩わしい配線作業をなくし設置時間を短縮した。USBポート搭載で、データをUSBメモリーに保存し、持ち運びできる。
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