地域応援隊
1月25日(水曜日)付 日刊工業新聞 26面 地域特集から
<出稿企業一覧>
企業名 | 新聞広告 | |
---|---|---|
シバサキ製作所 | 自動車部品加工で徹底した品質管理 | |
垣堺精機 | 薄物金属箔向けスリッターマシンで世界に飛躍 | |
ケージーエス | 大地震対策の地震感知ストッパー発売 | |
豊島製作所 | だれない鍛造加工で好業績 | |
大槇精機 | 切削加工の駆け込み寺 | |
協同 | 瞬間発熱剤が好調な売れ行き |
あくなき職人魂
長期化する円高に加え、ユーロ不安などによる世界経済への不透明感が増している。そのため、国内景気の先行きは内需振興がかぎを握るといっても過言ではない。一般に、日本は輸出立国と言われているが韓国などと比べるとはるかに内需依存率は高く、製造業の裾野も幅広い。なによりこうした裾野を支えるオンリーワン技術の中小企業が数多く、日本の産業構造全般に厚みを与えている。ここに紹介する企業は、独自の加工技術や発明を生かし国内市場で飛躍、さらに海外市場にも着実な橋頭堡(ほ)を築きつつある元気印企業だ。各社の最新動向をリポートする。
【薄物金属箔に特化したスリッターマシン発売】
垣堺精機(埼玉県小鹿野町、垣堺正男社長、0494・75・3310)は、薄物金属箔に特化したスリッターマシン「KSL350HTC=写真」を発売した。ロールから金属箔を引き出しながら、1スリット幅2ミリメートルで、50スリットまでの切断・巻き取りが可能。箔厚は10マイクロ―200マイクロメートル(マイクロは100万分の1)に対応する。巻き取り速度は毎分150メートル。
きさげ加工などの部品すり合わせ整合の徹底により、装置のブレを数マイクロメートル以内に抑制し、箔切断の際に生ずる端バリの高さを5マイクロメートル以内にした。切断幅のバラつきは20マイクロメートル以内。電子機器向けトランスコア用材料箔の切断需要を見込む。
バリの高さを抑えることにより、後工程での切り粉の発生が減るため、「品質要求が極めて高い自動車用リチウムイオン二次電池の材料切断にも利用可能」だ。
同社では、年内にタイに営業拠点の開設を予定。現地におけるスリッター加工請負のための工場に発展させる考えだ。
【瞬間発熱剤の出荷、前年度比3倍増】
協同(埼玉県入間市、中島京子社長、04・2965・4221)が製造するアルミ粉末を原料とする瞬間発熱剤「モーリアンヒートパック=写真」が売れに売れている。密閉した樹脂容器などの中で同発熱剤に水を注ぐとたちどころに蒸気が発生し、食材を加熱調理する仕組み。使用後は可燃ゴミとして処分できるなど環境にもやさしい。発売から既に13年を経過し着実に売り上げを伸ばして来たが、ここに来て一段の大ブレークを果たした。
モーリアンヒートパックは協同の創業者の守屋勇治現会長が「科学技術は生身の人間をサポートするためにある」という信念に基づき開発した。最近は、自衛隊や福島原発事故に立ち向かう作業員向けに「それこそ猫の手も借りたい忙しさで、今年度は数百万個を納入」(中島社長)してきた。
また官公庁向けに加え、大手ショッピングセンターなどの民間企業が販売する「非常持ち出し袋」向け需要が急増。昨年度比3倍増の出荷が見込まれている。
海外でも台湾、ドイツ、オランダ、タイなどの軍隊がモーリアンヒートパックを導入。最近では、旅館での料理の温め直し用途でも需要が拡大中。発熱式燗酒缶メーカーなどとも新製品缶の共同開発に取り組んでおり、ますます普及に拍車がかかりそうだ。
【地震感知ストッパー発売】
▲キャスター付き重量物などの転倒を防ぐ
ケージーエス(埼玉県小川町、榑松武男社長、0493・72・7311)は、大型地震の揺れをセンサーで関知し、キャスター付き事務機器など重量物の転倒を防ぐ「地震感知ストッパー」を近く発売する。樹脂製平面床が使用対象。キャスター台の下部に取り付けたストッパーから、15センチメートル角の粘着ゴム付きプレートがソレノイド駆動で落ち、床に粘着ゴムで張り付く仕組み。病院の手術用キャスター向けなどとして引き合いが相次いでいる。
同社では合わせて、OA機器などの底面に粘着ゴムで貼り付けるタイプの簡易型耐地震機器「ストッパープレート」を発売。粘着ゴムがついた105ミリメートル四方のステンレスプレート2枚が1セットで、双方をステンレスワイヤで接合。それぞれを被耐震機器の底面と床に貼り付け固定することで地震時の転倒を防ぐ仕組み。
両機種とも、UR都市機構技術研究所で東日本大震災「仙台波」震度6強の振動実験を行い、耐震性を確認済み。一度接着した粘着ゴムはねじるだけで簡単に取り外しでき、水洗いにより何度でも再接着できる。接着持続力は5年間が目安。
【加工歩留まりの高さが特徴】
▲ずらりと並んだNC自動旋盤
シバサキ製作所(埼玉県寄居町、柴崎猛社長、048・581・3001)は、自動車のエンジンやブレーキ、シート関連向けなどに月間300種類ほどの部品加工を行う。「万に一つも不良を出さない」という加工歩留まりの高さが強みだ。東日本大震災の影響で延期していた桜沢工場(同町内)増設棟(第2工場)の建設に、まもなく着手する。既存本社工場の機能を従業員とも全て移転することで生産拠点を桜沢工場に集約。6月の稼働を目指しており、生産効率を最大で2割アップする計画。
桜沢工場には、5年前に設置した第1工場棟があり、40台の数値制御(NC)旋盤を稼働する。新設する第2工場棟には、本社工場から100台超のNC旋盤を移設するほか、新たに同5台を導入。このほか、工程数の削減などを目的とする合理化設備投資を実施し、加工品目数の拡充に努める。
海外市場をにらんでは、東京鋲兼(東京都墨田区、築比地佑介社長)と連携。東京鋲兼が、シバサキ製作所製の自動車部品に関する海外向け総販売代理店となり、米国向けを手始めに順次各国に展開する計画だ。
【ステンレス板から肉厚0.1mmの立体サンプル箔を作成】
大槇精機(埼玉県朝霞市、大町亮介社長、048・462・0832)は、2輪車部品の試作や2輪車用レース部品の加工が主力。独ギルデマイスター(DMG)の同時5軸マシニングセンター(MC)6台などを用いた高難度加工に強みを持つ。
1年半ほど前には、DMGの同時5軸MCを用いて、アルミ塊から均一な肉厚0.3ミリメートルの複雑な集合管形状サンプルの作成に成功。先だっては、厚さ20ミリメートルのステンレス板から肉厚0.1ミリメートルの三次元形状サンプル箔(写真)の削り出しに成功した。同作成に要した期間はおよそ1カ月。「薄いために生じてしまうそりをどう押さえるか苦労した」という。今後、加工時間の短縮に努め、プレス金型加工に代わる、多品種少量向け切削加工品の受注を目指す考え。
同社ではこのほか、マグネシウムの厚板から削りだした重さわずか15グラム、長さ約50センチメートルの翼のリムモデルを作成した。最薄部分は厚さ0・3ミリメートルにするなどして大幅な軽量化を実現。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2020年に打ち上げる予定の火星探査機用の試作品だ。
【独自加工法で自動車部品事業に勢い】
豊島製作所(埼玉県東松山市、木本健太郎社長、0493・23・1213)が主力とする自動車部品事業が勢いに乗っている。7、8年前から独自工法の開発に取り組んできた成果がこのところ如実に表れてきた。同事業の売り上げに関して、リーマンショック後は東日本大震災直後を除き右肩上がり。2011年12月期が売上高24億円台、2012年同26億円台見込み、2013年には同28億円を超える見通しだ。
好業績を支えるのはトランスミッションやハイブリッド自動車のブレーキシステム関連などの部品(写真)。これらを製造する独自工法は主に、冷間板鍛造と全剪断の精密抜き加工によるもの。焼鈍やボンデライトがほとんどいらない点や、だれない加工により研磨の手間を大幅に減らした。このほか、側面押し出し成形加工法も独自に開発。「ファインブランキングなどの従来工法に比べ、半分近く加工コストを削減できる」という。
4月には、タイに生産拠点「トシマタイランド(チョンブリ県ピントン工業団地)」が稼働する見込み。佐久間特殊鋼(名古屋市緑区、佐久間貞介社長)との合弁。自動車向け変速機部品などの量産を手がける計画。
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