地域応援隊
技術力で時代を先導する 埼玉西部地区企業
9月30日(水曜日)付 日刊工業新聞 31面
実体経済をけん引
不透明さが続く世界の経済情勢の中、日本経済は小康状態を保っている。米国経済は依然底堅いと見られており、政策金利引き上げは年内となる見込みだが、中国経済減速がリスク要因として浮上。実体経済の縮小はあふれた投機マネーの反乱を起こしやすく、株式市場の動向も気になるところだ。だが、日本には実体経済を守る”守護神“としての中小企業の存在がある。埼玉経済を支える技術企業各社の動向をリポートする。(順不同)
■本社工場を三芳町に移転-大和合金
近く埼玉県三芳町に取得した新本社工場に移転し、本格稼働に入る。同社は、1941年の創業。故萩野茂氏がアルミ青銅合金の実用化のために東京都板橋区で起業。戦後にいったん解散するも、53年に再度発足、以降銅合金一筋。写真は、戦時中に勤労動員で大和合金にやって来た旧制中学校学生らによる記念撮影。当時の仲間たちは、クラス会を定期的に開くなど、その絆を今も確認する。
■フルハイビジョン映像対応光通信機器-七星科学研究所開発センター
放送局などで使用される1秒間に60コマのフルハイビジョン映像を伝送するプログレッシブ方式に対応した光通信機送受信機。高速動作の解析を目的とするような監視カメラネットワークなどに向く。伝送距離16キロメートル、40キロメートル2種類および対応電圧直流5ボルト、7.5ボルト〜36ボルトの2種類を組み合わせた4機種。HD-SDI信号方式にも自動切り替え式。
■閉じ込め防止機構付きチューブラ錠が好評-長沢製作所
3年ほど前に開発した閉じ込め防止機能付き室内鍵(チューブラ錠)「TXS錠」が好評だ。錠内部に工夫を加えることで、壊れた場合はラッチボルトが引き込まれたまま(写真)になる仕組みを開発。「このところ指名による引き合いが急増中」という。一般のチューブラ錠は、衝撃などで内部が壊れると、ドアの留め金であるラッチボルトが固定されてしまい閉じ込めのリスクが伴っていた。
■深絞り加工で92年の実績-吉野プレス工場
1枚の鋼板をさまざまな形状に加工する深絞り加工に関して、1923年の創業以来、量産化に取り組んできた。深絞り対応の500トン〜200トン大型タンデムプレス機バリエーションを取りそろえ、燃料タンク・自動車部品・医療機器などの分野で、最適な工法を顧客に提案。また、近年主流になりつつある高張力鋼板のプレス加工にも対応する。
■樹脂ゴミなど減容再資源化装置で著名-タジリ
熱圧縮成形機「ウエストポーター」は、樹脂ゴミや紙ゴミなどを固形燃料(RPF)化する減容再資源化装置として、23年間で171台を出荷。1時間当たり最大で3トンの処理が可能で、圧縮減容能力に優れる。周辺工程となる破砕機やコンベヤーベルト、供給機などを含めたプラント一式をすべて自作可能。破砕機では、多数の破砕刃を取り付けたローターも、自社の門型5面加工機などを用いて内製化する。
■省エネ診断サービス-武州ガス
環境エネルギー部では「省エネ診断サービス」を行う。ガス空調などを利用している既存顧客向け中心に、無償でエネルギーの使用状況を1日〜1週間単位で計測し、省エネ診断および省エネ対策の提案を行う。ガス関連機器のみならず、電力や水道などについてもアドバイスを行う。顧客が国や地方自治体に対し補助金を申請する場合の事務処理なども支援する。
■高耐食のアルマイト処理-エムエフケイ
高耐食のアルマイト処理を手がける。独自の薄膜・高耐食アルマイト処理「MFコート」は、膜圧10マイクロ〜15マイクロメートル程度で、ステンレスをしのぐ高耐食性が得られる。「十数年来、顧客のクレームゼロ」という品質の高さが強み。同皮膜処理は2種類あり、一つはシルバーメタリック塗装調のきれいな発色と滑らかな被覆面を実現しており、シリンダー部品などの処理に向く。もう一方は、薬品やプラズマ、ハロゲンガスなどに対する耐食性が強く、半導体装置部品などに適している。
■どら焼き機で圧倒的なシェア-マスダック
ファインアップスチーマー
9月12日〜17日にかけ、ドイツのミュンヘンで世界最大級の製パン製菓関連機械展「iba2015」に出展した。日本で圧倒的な市場シェアを握るどら焼き機の現地仕様「サンドイッチパンケーキマシン」、海外向け人形焼き焼成機「マンジュウキャラクターケーキマシン」のほか、今回はトンネル蒸し器を用いたミニカップケーキも実演出展した。近年、蒸し菓子は低カロリー食として欧米で珍重される傾向があり、ブースは来場者であふれた。
■炭酸ガスレーザー加工機新規導入-野火止製作所
バリ取り機と三菱電機の炭酸ガスレーザー加工機「HV2−R」の各1台を新規導入する。電力関連向けに特殊ステンレス板を用いた部品加工需要が、前年同月比で1.5倍程度に伸びているのに対応。
現在、既存の炭酸ガスレーザー加工機3台を用いた切断加工と熟練工による手作業のバリ取りで間に合わせているが、効率アップのため、新たな設備投資に踏み切る。ステンレス、アルミで板厚8ミリ、アクリルで50ミリメートルの厚板まで加工可能。
■精密梱包技術に強み-モスト技研
強化段ボールを利用した梱包(こんぽう)資材やパレット、発泡スチロール緩衝材を組み合わせた精密機器向け梱包ソリューションなどを展開する。顧客への梱包提案からCADを利用した設計・製作、実地試験まで一貫して行う。自社製品では、強化段ボールを利用した段ボールベッドや本棚、げた箱、椅子などの家具事業のほか簡易トイレや間仕切りなどの防災・被災グッズを展開。子供向けモノづくり教室(写真)なども積極的に手がける。
■プリント基板セル生産システムを発売-幸大ハイテック
プリント基板セル生産システム「基板組立ガイド屋台」と「自動ポイント半田装置」を発売した。両装置(写真)の連動により、はんだ付けを含むプリント基板への部品実装作業を一人でこなせる。同屋台は、組み立て指示を液晶パネルに表示し、足踏みスイッチで切り替えながら部品実装作業を行う。部品の実装箇所はレーザーポインターの自動照射で逐次指示。自動ポイント半田装置は、部品配置を終えた基板をセットすると、全自動ではんだ付け処理を行う。
■粉末スパッタ・粉末表面改質の受託成膜を開始-豊島製作所
マテリアルズシステム事業部では、富山大学の阿部孝之教授との共同研究の成果として、粉末スパッタ、粉末表面改質の受託成膜(図)を開始した。同表面処理は、触媒、化粧品原料、装飾用、セラミックス原料など、さまざまな用途に使用されるが、近年、リチウムイオン電池材料の作製技術として脚光を浴びている。粉末スパッタとは、一般的に、板状の試料や大きいバルクなどに対してのみ行われているスパッタリングを微粒子に対し行うために特化した技術。多角バレル中に基材となる粉末を投入し、回転させながら成膜を行うことで、均一的・効率的に粉末にコーティングを行うことが可能だ。
■タイの生産子会社が好調-日本伸管
2013年にタイに設立した生産子会社工場「日本伸管タイランド」が好調だ。15年7月期の同売り上げ規模は4億円前後だったが、相次ぐ増産や加工品種の拡大により、16年7月期には、同6億円超となる見込み。アルミ伸管加工により、事務機用コピードラムやマグネットローラーを生産しているが、これら以外にも自動車部品向け丸棒加工が伸びている。このほか、アルミ管を、主に農機具向けシャフトなどとして輸出向けに加工する計画も水面下で始動。
■自動運転除雪機を開発-東洋パーツ
夜間などに自動運転で除雪作業を行える充電バッテリー式除雪機の初期型試作機(写真)の運行試験を開始した。当面は無線運転実験などをすすめ、各種センサーを利用した自動運転につなげる計画。一定の積雪に伴い事前設定したエリアを除雪後、自動充電器に戻って自動充電しながらの除雪作業を繰り返す仕組み。今後、自動で水平を保つカメラ、GPS機能、対物自動停止機能、ショベルの高低調整機能などを付加し、自動制御化する。
■絶対零度下で0.01℃刻みの精度の温度測定-ネツシン
絶対零度下においても温度測定が行えるセラミックス筐体式白金測温抵抗体温度センサー「OTHC―0541」を発売した。0.01度C刻み以上の高分解能で、温度測定が行える。測定感度を示す抵抗Ptは1000オームと、従来品の10倍に向上した。高温域ではプラス100度Cまで、安定した温度測定が可能だ。
■ヘルスケア・バイオ関連投信取り次ぎ開始-武蔵野銀行
1日、世界主要先進国市場のヘルスケア・バイオ関連企業の株式を主要投資対象とする投資信託商品「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」の取り扱いを始めた。運用会社は三菱UFJ国際投信。同ファンドの愛称は「健次」。
<出稿企業一覧>
企業名 | 新聞広告 | |
---|---|---|
大和合金 | 銅合金製品のパイオニア | |
武州ガス | 埼玉西部の都市ガスはおまかせ | |
モスト技研 | 強化段ボール梱包の設計提案から試験まで | |
エムエフケイ | アルマイトでステンレス並の高耐蝕 | |
タジリ | 環境リサイクル装置を幅広く展開 | |
豊島製作所 | リチウムイオン電池材料に強み | |
長沢製作所 | 閉じ込め防止機能付きチューブラ錠が好調 | |
七星科学開発センター | 小型光通信機機器のパイオニア | |
マスダック | どら焼き機で圧倒的なシェア | |
野火止製作所 | 三菱電機製炭酸ガスレーザー加工機を導入 | |
幸大ハイテック | プリント基板セル生産システム発売 | |
日本伸管 | アルミ伸管品タイ工場が好調 | |
東洋パーツ | 自動運転除雪機を開発 | |
ネツシン | 絶対零度下で0.01度刻み精度で温度測定 | |
武蔵野銀行 | ヘルスケア・バイオ関連投信取り次ぎ開始 | |
吉野プレス工場 | 深絞り加工で92年の実績 |
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