機械工業デザイン賞・経済産業(通商産業)大臣賞 受賞製品
第31回(2001年・平成13年)
■「ウェーハレベル バーンインテスタ(ウェーハ スクリーニング装置)」 松下通信工業(株)
製品分野:測定機器
【受賞のポイント】
ウエハー段階で半導体チップを検査できる装置を世界で初めて実用化に成功した。バーンインテストのコスト削減やリードタイムの短縮、省資源化にも寄与できる。特殊機械ではあるがグローバルな視点からデザインを進め、職場にヒューマンインターフェースの効用をもたらす造形デザインの実現は評価が高い。
■「回診用X線撮影装置 MOBILEART(MUX-100シリーズ)」 (株)島津製作所
製品分野:医療・福祉機器
【受賞のポイント】
装置の主眼は容易な移動、装置本体のコンパクト化、やさしい撮影方法とし、患者に威圧感を与えないデザインの実現である。造形面は病院での患者の目に触れること、女性技師が取り扱うといった条件を踏まえ、全体に優しい印象を与えるよう配慮した。操作パネルの表示もわかりやすく、本体上面には筆記具、X線マーカー等の小物置きがあるといったキメ細かい配慮は現場の要望がよく満たされている。
第32回(2002年・平成14年)
■「クリスタルムーバー(APM車両)」 三菱重工業(株)
製品分野:その他の生産財
【受賞のポイント】
側方案内ゴムタイヤ方式で総合管理システムにより完全無人運転で運行。パンク時に備えタイヤにフランジを内蔵させて安全性を確保。単車運転が基本だが重連編成もできる。非常時においては乗客の外部脱出用梯子が車両前後に備えられている。線路上に降りた際、動力線は自動停電するようになっている。外観造形は地域やユーザーの意向とともに独自性を重視した。
■「菊全判高速多色枚葉オフセット印刷機 LITHRONE S40」 (株)小森コーポレーション
製品分野:印刷機械
【受賞のポイント】
世界最先端のハイテクマシンをコンセプトに開発された印刷機。IT・デジタル化対応や印刷品質、生産性の向上に成功した。環境への配慮は無給油軸受けや新スプレーパウダーの採用などにより環境汚染防止とともに印刷準備段階での損紙低減、紙資源の節約に寄与する。本機は人と機械と環境の調和に努める同社の考えを具現化したもので、極めて完成度の高い製品に仕上がったといえる。
第33回(2003年・平成15年)
■「スーパーマルチタスキングマシン INTEGREX e-1060V/8」 ヤマザキマザック(株)
製品分野:工作機械
【受賞のポイント】
立型MC、横型MC、ターニングセンタを融合させるとともに、経営者や作業者のための生産情報を装置に集約した「eタワー」を装備し、工程集約や納期の短縮、スペース削減、人件費縮小に貢献した。外観造形も近代的な感覚でまとめられている。伝統ある技術によって情報技術と製造技術を融合させた大型複合加工機を創出し、国際的製品に仕上げた開発努力に高い評価があった。
■「エンジン式フォークリフト LEO NXT109シリーズ FD25N-15」 小松フォークリフト(株)
製品分野:産業用車両
【受賞のポイント】
本機は1トンクラスに近い車体でありながら、2トンクラスの可搬能力を持つ世界最小のエンジン式フォークリフト。働く道具としての機能美をイメージする造形は信頼感と安心感を総合的に表現し、評価は高い。またメンテナンス性向上、操作性向上といった扱いやすさの配慮もみられた。デザインセクション主導での技術検討と処理がなされ、新しいイメージと快適な作業性をもたらす性能を創出した努力が高く評価された。
第34回(2004年・平成16年)
■「B縦半裁オフセット輪転機 システム35S」 (株)小森コーポレーション
製品分野:印刷機械
【受賞のポイント】
デザインコンセプトは、品質への限りないこだわり、生産性の徹底追及、さらなる小ロット化対策、人と環境に優しい印刷機に基づき、人と機械と作業空間の調和を求め、次世代オフセット輪転機の方向を表出することを根幹として具現化を図った。色彩は格調、信頼感、高級感を創出しており、人との対応に良いイメージを与えている。印刷機生産のリーダーとして遜色のない製品が仕上がったと評価された。
■「超電導式磁気共鳴画像診断装置 EXCELART Vantage MRT-2003」 (株)東芝
製品分野:医療・福祉機器
【受賞のポイント】
患者側、操作側双方の立場に立って、騒音の低減、撮影時間の短縮を重点におき、短軸化の技術的諸問題を克服し、開放性と診断性能というトレードオフ関係にある内容を高次の技術で実現したもので、静音効果とともに高く評価された。開口径を拡大し、長さを世界最短とした。開発者のチームワークと多くの努力の成果として評価された。
第35回(2005年・平成17年)
■「NCタレットパンチプレス EM Z 3510NT」 (株)アマダ
製品分野:鍛圧機械
【受賞のポイント】
生産性向上、安全性向上、少ないエネルギー消費で高生産性を実現しながら、駆動装置として世界初のACサーボダイレクト・ツインドライブ機構を新規開発し実現した。外観造形は高性能を表明するかのように、力強い信頼感をダイナミックに表現した。多様な機械要素を整理し、機能美と親近感をもたらした形態は、創造的で高度な性能と共に高く評価された。
■「リニア地下鉄3000系車両」 福岡市交通局、(株)日立製作所
製品分野:その他の生産財
【受賞のポイント】
車両デザインは「人に優しく、地域に根ざした公共機関」として開発され、リニア駆動方式を採用。この路線の全駅を直線ホームとし車両との隙間を最小化、安全性・利便性・経済性を図った。これは車両だけでなく施設全体を総合的に融合させた環境空間として極めて質の高い公共施設の実現であり、産学官のコラボレーションによるものとして高い評価があった。