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モノづくりの品質向上へ リークテスター

4月10日(金曜日)付 日刊工業新聞 11面

 リークテスターは漏れ(リーク)を検出するための装置。自動車用部品やガス機器部品など、高気密性が求められる製品の製造工程で行われる漏れ検査(リークテスト)に利用される。生産ラインにリークテスターを組み込めば、気密検査工程の自動化、検査時間の短縮化を実現することができる。リークテストは日本工業規格(JIS)の「JIS Z 2330(漏れ試験方法の種類及びその選択)」で規格化されている。検査対象とするワークの大きさや形状、素材などによって、方法を使い分けたり、組み合わせたりして実施する。

 高精度なモノづくりを行うために利用されている技術がリークテストだ。テストには「圧力変化による漏れ試験」「流量測定による試験」「超音波漏れ試験」「サーチガスを用いた漏れ試験」「空気などの気体を使用する漏れ試験」などの方法がある。一般的に普及している方法が「発泡漏れ試験」だ。ワークを水没させたときに発生する水泡や、ワークに塗布した発泡液から発生する気泡で漏れを目視で見つける。

 確認方法が目視であることから、わずかな漏れを見落としてしまう可能性があるが、手軽に漏れの有無や漏れ位置の確認ができるというメリットがあり、ガスの配管やコンプレッサー、真空機器などの各分野で広く利用されている。

 一方、ヘリウムガスなどのサーチガスを利用し、質量分析計で検知する「サーチガス漏れ試験」は検査対象にサーチガスを充填し、漏れがある場合、出てくるガスを質量分析計で測定する。

 ヘリウムガスは空気中に5ppm(0.0005%)しか存在していないこと、ほかのサーチガスと比べて、分子直径が小さく、隙間に入りやすいという特徴があることから、高感度、高精度の漏れ位置の診断や漏れ量の測定を可能にする。

 だが、ヘリウムガスは2012年末に世界生産の大半を占める米国での設備トラブル、新興国での需要増加などによって供給状況が悪化。危機的状況となった。現在もヘリウム不足の状態にある。しかし、ヘリウムを利用したリークテストは半導体産業向けで利用される薄膜製造装置や宇宙、医療産業などで利用される真空容器や圧力容器などにおける超微量のリーク量、リーク場所を検知するために必要な手段だ。

 エアリークテスターを利用する「圧力変化漏れ試験」は圧縮空気で加圧、あるいは真空ポンプで減圧し、時間経過によって発生する圧力変動や、マスターと試験体を同時に加圧し、その差圧からリーク量を検知する。テストに利用する気体が空気であることから経済面や環境面で優れており、信頼性も高い。シリンダーヘッドやシリンダーブロック、クランクケース、ミッションケースといった精密さが要求される自動車用ダイカスト部品などの気密検査に使われている。

 このほか、自動車産業向けにはオイルクーラーやコモンレールなどの燃料系から、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)のモーターやインバーター、足回り部品まで幅広く利用できるインライン水素リークテストシステムなども市場投入されている。
リークテストの精度、効率を上げるには試験体や条件に応じて、こうした試験方法の中から、最適なものを選択、あるいは組み合わせて行うことが重要だ。メーカー各社では幅広いリークレートの製品をラインアップしており、最適な方法、テスターの選択をアドバイスしている。また、リークテスターは計測器であり、導入後も高い精度を維持していくためには調整や校正実施といった、機器の定期的なメンテナンスを行わなければならない。

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