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業界展望台

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アジアビジネス

5月29日(金曜日)付 日刊工業新聞 8面

 インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオスの10カ国で構成される東南アジア諸国連合(ASEAN)は2015年末までの共同体設立を目指す。ASEAN経済共同体(AEC)はビジネス関係者のビザ免除制度や域内関税の撤廃など、「ヒト・モノ・カネの自由化」が行われる。これまでアジアビジネスの中心にあった中国、台湾、韓国市場にASEAN市場が加わり、アジアビジネスは活発化している。

AEC設立でチャンス拡大−パートナー選びが成功のカギ

 AECが設立すると域内人口6億人、名目国内総生産(GDP)約1.8兆ドル、域内総貿易額2.1兆ドルという巨大市場が誕生する。すでに多数の外国企業が進出しており、ビジネスを展開している。自動車産業から電子部品産業に至るまで、幅広い分野の製造業が事業展開しており、ASEANでのモノづくり中心地、タイ。周辺のベトナムやフィリピンは最終品生産のための部品生産国として発展が期待される。また豊富な天然資源があるだけでなく、世界第4位の人口で市場としても期待されるインドネシア、国際的金融センターとしての役割を果たしているシンガポールなど、加盟各国にそれぞれ特色がある。

 ASEANの中でもIT、デジタル産業進展で注目されているのがマレーシア。1996年から進めている「マルチメディアスーパーコリドー(MSC)」は同国が2020年の先進国入りを目指して打ち出した計画。同国政府はクアラルンプールシティセンター、サイバージャヤなどの地域をIT特区として整備、優遇税制措置なども実施することで、企業誘致を進めている。その結果、マレーシアには多くのIT企業が進出。今やASEANのデータセンター(DC)拠点になりつつある。大手通信会社をはじめ、日系企業が次々とDCを設置。高いクオリティーのサービスを提供している。

5月には日系大手ITソリューションプロバイダーの現地子会社が3カ所目となる新DCを設置。16年度中のフル稼働を目指す。また、万一の災害や障害発生時に備え、DCに顧客のバックアップシステムを構築し、システム停止およびデータ損失を回避して業務継続を可能にするデータの回復サービス「リカバリーアズアサービス(RaaS)」の提供も開始した。マレーシアではこのほかにも日系技術商社が半導体デバイスの技術センターを設置するなどの動きがあり、IT分野の事業はさらに拡大していくだろう。

 ASEANに進出した日系企業は資材や原材料の調達、法務や労務問題、ITインフラなど、多くの問題に直面する。そのため、進出先でのパートナー選びがビジネス成功のカギとなる。すでにアジア市場でビジネスを展開し、実績をあげている日系企業をパートナーに選ぶことで、リスクを回避できるだけでなく、ビジネスを円滑に進めることができる。表面処理薬などを製造・販売している工業薬品メーカーではタイやベトナム、中国などで事業展開し、シンガポールやマレーシア、インドネシアなどをカバー。日系ならではの高品質製品・サービスを提供している。

 ASEANでのビジネスはさらに拡大する可能性がある。それがASEAN+6、つまり日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの6カ国がASEANとの経済連携を目指す「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」だ。11年11月、ASEAN関連首脳会合において正式に交渉がスタート。15年2月にはタイで7回目の事務方による交渉会合が行われている。AEC、RCEPなど、アジアビジネス、マーケットはさらに拡大する可能性を持っている。


有力企業の製品・技術<順不同>

■立花エレテック

 立花エレテックの中国拠点は、2014年度に現地製造業から放電加工機を大量受注した。背景には中国における人件費高騰で自動化投資が本格的に始まっていることがある。同社グループでは半導体デバイス事業でもローカル企業向けにモーター制御機器のデザイン・イン(顧客企業の設計段階から提案する)がスタートしており、同事業が軌道に乗りつつある。この事業には中国・深センに続いてマレーシアに設置した技術センターが寄与している。

 同社の海外全拠点は香港にある海外本社、立花オーバーシーズホールディングス社(TOH)の傘下となり、意志決定が迅速になった。14年秋には中国・青島営業所もスタート。海外事業の拡大を目指している。

■奥野製薬工業

 奥野製薬工業は今年で創業110周年を迎える工業用薬品の老舗メーカー。主力であるメッキ液などの表面処理薬品に加え、無機材料、製菓、食品の3部門を併せ持つ。アジアでは中国のほか韓国、タイ、ベトナムに拠点を持ち、多様なニーズに対応している。

 タイの現地法人「オクノタイランド」では2016年3月の操業開始を目指し、新工場を建設中だ。東南アジアに進出している、自動車部品や電子部品といった日本のメーカーから需要が高まっている付加価値の高い表面処理薬を製造する。敷地面積は1万6000平方メートル。日本人の駐在員2人と現地の従業員15―20人でスタートする予定で、月産500トンの生産を目指す。

■日立システムズ

 日立システムズは業務システムの設計・構築、強固なデータセンター(DC)基盤を活用したアウトソーシング、全国約300カ所のサービス拠点とコンタクトセンターなど、多彩なサービスインフラを生かした高品質な運用・保守サービスやソリューションを提供。

 海外では現地子会社である中国の日立系統(広州)、マレーシアをはじめ東南アジアをカバーする日立サンウェイインフォメーションシステムズ、インドの日立システムズマイクロクリニック、イタリアの日立システムズCBTを通じ、ITインフラ導入、アプリケーションサービス、マネージドサービス、DC関連サービスなどを行っている。15年5月に日立サンウェイがマレーシアで新DCを開設。万一の際のデータ復旧サービス、RaaSの提供も始めた。

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