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品質と精度の確保に不可欠な 金型補修・メンテナンス

7月10日(金曜日)付 日刊工業新聞 17面

 プレス加工やプラスチック成形は、金型があって初めて製品を得ることができる。その製品の良しあしも金型で決まる。硬い工具で造られ、きれいに仕上げられた金型であっても、使用を重ねると汚れが付着するほか傷みが生じたり、時には割れたり、欠けたりすることもある。このような状況になると、製品の品質は落ちる。洗浄や肉盛り溶接、再研磨など、金型の補修とメンテナンスは、成形製品の品質を維持するために欠かせない大切な作業だ。

■YAGレーザー超音波など活用

 プラスチック成形用金型は、高温で溶酸化した樹脂が高圧で圧入される。これを何度も繰り返すうちに、樹脂や添加剤から発生したガスが金型に焼き付いてしまう。樹脂などの種類によっては、腐食性のガスが発生し、酸化物が付着することもある。こうした汚れは、成形品質の低下を招くことがあるため、汚れを落とす手入れが欠かせない。

 簡単な手入れは洗剤とウエスによる手作業で行われるが、小さな隙間や深い溝の奥などの汚れはなかなか落としきれない。こうしたことから、複雑な金型の汚れを除去するため、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)レーザーや超音波洗浄機などが活用されている。

 YAGレーザーを用いた溶接は、パルス発振において高出力が得られ、焦点径を絞ることで、エネルギーを局所に集中できる。YAGレーザー溶接は、もともと医療機器や宝飾用途で用いられていたことから、非常に精密な溶接ができる。金型に熱影響をほとんど与えず、変形、歪み、酸化がないほか、予熱工程も必要としない。

 YAGレーザー溶接は非常に微細で精密な溶接が可能だが、作業内容によっては汎用性の高い精密TIG溶接の方が効率良く対応できる。機器の選定には十分な検討が必要だ。
金型の日常の手入れや簡単な補修・メンテナンスは、金型ユーザーが行う。しかし、難度の高い肉盛り溶接などでは、ユーザーの手に負えない場面も出てくる。このような場合は、金型溶接専門の技術者がいる金型メーカーに依頼することになる。

 ユーザーにとって金型はまさに生産の要だ。価格も決して安くはない。手入れをしながらできるだけ長く品質を保持したいが、金型を熟知した熟練工が不足傾向にある。一方、高度な補修ニーズは年々高まっている。こうしたことから、金型の専知識・技術を生かし、ユーザーサービスの一環として補修・メンテナンス事業を拡充する金型メーカーも増えている。

 生産活動がグローバル化する中、海外でも安定した高い品質の成形を維持するために、金型補修・メンテナンスの重要性は変わりがない。とはいえ、身近にある金型メーカーは限りがあるため、専門性の高い補修・メンテナンス技術に対するニーズは大きい。

中日クラフト

 中日クラフトはドイツのDSIと技術提携し、レーザーによる肉盛り溶接サービスを展開している。熱の影響力が少ないレーザー溶接技術は各種金型の設計変更による修正や生産中に発生した傷修正など、さまざまなところで使用されている。今後は、産業機械設備の摩耗部分の肉盛り補修にも展開していく考えだ。

 中日クラフトでは小物から大型設備20トンまで対応できるのが特徴。移動が困難な設備には、出張による溶接サービスも充実している。また最新機により、厚肉盛りも可能となった。中日クラフトはDSIとの交流をさらに強化し、マグネシウムなど、特殊金属への溶接にも挑戦している。

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