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業界展望台

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幅広い用途で快適作業の味方
 産業用電動工具&作業工具

7月28日(火曜日)付 日刊工業新聞 10面〜11面

 自動車や建築分野での組み立て作業やメンテナンスから、家庭での日曜大工など幅広い用途で使用者の快適作業の右腕となる電動工具と作業工具。使いやすさの追求に加え、最近ではデザイン性も重視した製品開発が進んでいる。リーマン・ショック後に落ち込んだ需要も、現在では国内や米国、アジア新興国の市場で回復傾向。メーカー各社はこの流れを捉えるべく、省エネ・低公害化など製品の環境対応に力を入れている。

小型・軽量化が進展

 電動工具の需要は、国内では消費増税の反動減はあったものの、最近では設備投資や輸出の改善で回復基調にある。米国でも個人消費や住宅投資の持ち直しを背景に堅調を維持している。ただ、今後は先進国では大幅な需要拡大が見込めず、厳しい企業間競争を強いられることが予想される。アジアなどの新興国でも低価格製品へのニーズは見込めるが、国際情勢が予断を許さない状況にあり、楽観視はできない。

 業界全体として大きな期待はできない状況だが、アベノミクスの経済効果もあり市場規模はリーマン・ショック以前の水準にまで回復の歩みを進めている。電動工具各社はこのビジネスチャンスを逃さぬよう、作業性を高めた製品開発に力を入れている。

 中心となるのは、コンパクトで取り回しの良いコードレスタイプの充電式工具の性能アップだ。小型・軽量でも高出力で長時間の作業に耐えられるよう、リチウムイオンバッテリーやブラシレスモーターの高度化に取り組んでいる。現在、電動工具の中でコードレス工具の占める割合は50%を超えているという。工具メーカーにとっては、コードレスタイプの製品群の充実が売り上げを拡大する近道といえる。

 バッテリーとモーターの進化により、これまで充電式コードレス工具の領域にはなかった用途での使用も可能になっている。例えば、芝刈り機やチェーンソーなどエンジン工具との置き換えである。エンジン工具は、ガソリンさえあればどこでも作業が可能だが、コードレス電動工具では長時間の作業や、モーターに高負荷がかかる作業は難しかった。

 製品の性能向上を進める一方、海外での生産・販売の強化にも余念がない。省人化設備の導入や部材の現地調達比率を高めてコストダウンを図り、営業面では顧客に密着した提案やサービスを行える体制を整えている。電動工具メーカーがさらに成長していくには、より質の高い製品をいかに効率的に生産するかがカギとなる。

 

【主要各社の製品・技術<順不同>】

日立工機

 日立工機は高効率でメンテナンスフリー、延長コードの使用による電圧降下時でも安定した作業が可能な交流(AC)100ボルトのブラシレスモーターシリーズの拡充を進めている。

 深切り電子丸のこ「C6MEY形」、深切り電子造作丸のこ「C6UEY形」は切断スピードが約1・5倍(同社従来品比)で、軽量・コンパクトボディーで好バランス。サイレントモードを搭載し騒音を抑えたい作業にも対応する。

 電子ディスクグラインダー「G10VE/G13VE/G10YE2/G13YE2/G15YE2形」は細径・軽量・コンパクトボディーで取り回しに優れ、高効率モーターと電子制御で回転数の低下が少なく効率的な研削ができる。

水戸工機

 水戸工機の「インパクトレンチ用 タップ用ソケット」はハンドタップ(別売)を装着しネジさらいの作業用の工具である。四角駆動部とシャンク部を六角止めネジで固定するため作業中のガタツキが少ない。作業効率の向上につながり、顧客から高い評価を得ている。

 差し込み角が9.5ミリメートルで運用タップが7アイテム、12.7ミリメートルで13アイテムをそろえ、豊富なサイズに対応している。特殊なサイズでも製作が可能。
また同社ではタップ用ソケット以外にも特殊工具製作にも応じている。作業現場でのあらゆるニーズに応えるべく、顧客の声を大切にしている。

ニューレジストン

 ニューレジストンは新型弾性オフセット砥石(といし)「スーパーレッド」を発売した。騒音・振動・使用感を改善し、目詰まりを最小限に抑えた。

 総研削量は他社製品に比べ約1.8倍。厚みのある砥石にも特殊製法により柔軟性を与えており、耳障りな研削音が少ない。目詰まりを抑えているので、高い研削性能が最後まで持続。他社オフセットに比べ耐久性を60%(同社調べ)向上した。取り換え頻度が少なく、トータルコストが低減できる。

 一般鋼や高張力鋼・ステンレス鋼・アルミなどのバリ取りや面取り、表面研削などハードな研削作業には最適。超高速度用の「ハイスーパーレッド」もラインアップしている。

マキタ

 マキタの100ミリメートル、125ミリメートル充電式ディスクグラインダー「GA403DRT/同404DRT/同504DRT」は、充電式の常識を覆す交流100ボルト機並みの圧倒的なパワーを備えた新シリーズ。14.4ボルト、18ボルトクラス初のコンクリート切り込み深さ20ミリメートルを実現している。

 大型・高トルクタイプのブラシレスモーター採用によるハイパワー実現に加え、自動変速の搭載、高容量5アンぺアリチウムイオンバッテリー搭載による圧倒的な作業量などの特徴を持つ。
同社14.4ボルト従来機比で一充電当たりの作業量で75%、切断速度で30%、18ボルト機比で作業量70%、切断速度で24%も性能が向上。

リョービ

 リョービのプロ用「充電式ディスクグラインダBG−1410/1810」は、100ボルトモデル並みのパワーを備える。プロの使いやすさを追求し、握り部は直径58ミリメートルと充電式では最も細く、グリップ形状も後部を絞り込んでいるので手になじんで握りやすく、長時間使用しても疲れにくい。

 また「狭い所にヘッド部が入りやすい」「切断時に切り込み深さが変わらない」などと評価が高い独自設計の“?丸形スリムギアヘッド”を採用。ヘッド高さを63ミリメートルと従来より低く抑え、作業性がさらに向上している。

 防じん性に優れたラビリンス構造のベアリング部や操作性のよいスライドスイッチなどが特徴だ。

ユニカ

 ユニカの「Qビット」の最大の特徴は集塵機と接続して使用すること。穿孔(せんこう)の際に発生する切りくずをその発生場所であるドリル先端で吸い込み、ドリル内部からアダプターを経て吸塵ホースを通じ集塵機まで吸引。外部へ逃さないことにある。 

 このため従来のドリルのように、排出された切りくずによって床や周辺が汚れることがなくなる。特に狭い屋内での作業では作業中に切りくずが飛散し、著しく作業環境が悪くなるといったことがなくなる。

 また天井などの上向き穿孔においても切りくずをほとんど孔の外に逃がさないため、頭から切りくずをかぶりながらの作業を避けることができる。

TONE

 TONEはトルクコントロール機能付きコードレスレンチ「コードレスナットランナー」を発売した。持ち運びや取り回しが手軽。簡単なトルク設定で自動停止するため、均一な締め付けや正確なトルク制御締結が可能だ。左右両回転対応(トルク制御器内蔵)で、繰り返し締め付け精度はプラスマイナス5%と安定している。トルク制御範囲は40〜200ニュートンメートル。ブラシレスモーターを搭載し、1回のフル充電による作業量は200ニュートンメートル(約400本のボルト締結本数)と大幅な省力化を実現した。

 また、締め付け異常やレンチ故障の通知機能を採用。

 打撃機構もないため低騒音・低振動で安全作業をサポートする。

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