需要開拓に応える　線材加工機と関連機器

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需要開拓に応える　線材加工機と関連機器

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8月4日（火曜日）付日刊工業新聞　14面～15面

　線材加工機は線材に塑性加工を行い、さまざまな形に導く機械。加工された部品は自動車や建築、産業機械など幅広い分野へ提供されている。近年は加工機の高度化が進み、以前にも増して高精度・高品質な線材製品が製造可能となっている。これら質の高い加工品は医療分野など、これまで中心となっていた産業分野以外にも用途を広げている。

　線材加工機には線材をダイスと呼ばれる金型に通して引き伸ばす伸線機や、回転するロールの間に通して加工を施す圧延ロール機、製造した鋼線をよる撚線機、線材を任意の長さに切る直線切断機、曲げ加工を行うワイヤフォーミングマシンなどさまざまな種類がある。

　これらの加工機でつくり出された線材製品が多く使われているのは自動車である。エンジンや駆動系、足まわり、座席シートのフレームなど、自動車部品の多くが線材をベースにつくられている。そのため、線材製品の生産量は新車の販売台数に影響される。

■需要回復へ

　日本自動車販売協会連合会などによると、2015年1～6月の国内の自動車販売台数（登録車＋軽自動車）総合計は約268万台で前年同期比89％。しかし新車登録車合計は1―3月は前年同期に比べマイナスであったものの、4～6月は3カ月連続でプラスとなり、消費増税後に落ち込んだ需要も回復傾向にあるといえる。こうした市場の動きから15年1～6月の線材製品の生産状況は、前年同期とほぼ横ばいになるとみられる。

■ゴムのような

　近年、線材製品は産業分野にとどまらず、医療分野にも用途が拡大している。ネジ製造が主力の丸ヱム製作所（大阪府大東市、松元收社長）は歯列矯正に使うワイヤ「GUMMETAL（ゴムメタル）」を製造している。同製品は「GUMMETAL（ゴムメタル）」の名称で豊通マテリアル（名古屋市中村区）が商標登録するチタン合金素材を使用したものだ。金属でありながらゴムのような特性があり、治療時間の短縮など患者の負担を軽減する製品である。10年に国内で発売し、14年には前年比7％増の約7万5000本を製造。商社を通じて販売を促進している。

　歯列矯正ワイヤ市場は米国を筆頭に関心が高く、欧州でも需要は増えている。先行して実施した海外での講演会も好評。米国や欧州での販売に伴う認証を経て、丸ヱム製作所では今秋をめどに供給していく予定だ。海外展開を本格的に進める考えである。

　同製品の開発にあたっては、ゴムメタルの材料特性を引き出す加工技術が下支えしている。加工に関わる熱加減、よじれないように真っすぐに製造する技術、矯正器具のブラケット内で滑るように表面を加工する必要性など形状を均一化するという大きなハードルがあった。だが、丸ヱム製作所では独自のノウハウでこれらをクリア。設備設計も同社で行い、純国産の歯列矯正ワイヤを市場に展開している。
高度化と進化を続けるモノづくりに、線材加工機が担う役割も今後は増えそうだ。

主要各社の製品・技術（順不同）

■吉田記念

　吉田記念は各種圧延機、スエージングマシン、カセットローラーダイス、タークスヘッドなど、切削しないで成形加工ができる製造機のメーカー。
カセットローラーダイスは、穴ダイスと比較して、ローラーに加工形状の溝をつくり引き抜き加工する機械。

　異形状加工が容易なほか、ローラー回転のため抵抗も少ない。これにより1成形ごとの作業時間削減が多く図れる。

　カセット本体の積層組み合わせもでき、ローラー間が接近した構造のため、加工材の転倒が少ないなどの利点を兼ね備えた成形機である。

■石橋鉄工

　石橋鉄工の「四方ロール機」は、トラックや乗用車のスターターベルトに使用されるリングギアの成形機にも利用されている。

　ロール径は500ミリメートル、400ミリメートルの2種類。成形サイズにより変わる四方ロールなので、HV（上下、左右）同時に加工される製品精度が安定している。圧延スタンドは閉鎖式高剛性鋳型を使用しており、加工精度がよい。駆動は速度安定制御のためベクトルインバーターを採用。各ロール間はダンサーロールによるたるみ制御を行っている。ロールは容易に引き出せる構造で、交換時間が大幅に短縮できる。

■アサヒ精機鉄工

　アサヒ精機鉄工の異形線圧延機は圧延精度や直線度に優れている。圧延加工スピードは最大毎分150メートルを誇り、しかも高い加工精度を維持している。

　独自技術の超硬ロールとタークスロールの組み合わせでH割れ（高速精密圧延時に起きるH状のひび割れ）を少なく抑える。安定した精度を維持しながら異形線の高速加工も可能にした。同社の圧延機には、高速タンデム圧延工程が欠かせない制御機器「アサヒミルコントローラーAMCシリーズ」を搭載。製造線材の正確な幅・厚みを管理・制御し、高速圧延工程の連続管理を実現。

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