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希少資源を再生に導くレアメタルリサイクル

8月28日(金曜日)付 日刊工業新聞 16面

 レアメタル(希少金属)は自動車やパソコン、携帯電話などの性能向上や軽量・小型化に欠かせない。ただ、その希少性から問われるのが安定供給。レアメタルを使った廃製品、部材を回収し、再利用へと導くリサイクルの果たす役割が一段と重みを増している。

■電気分解、選別など進化する回収技術

 レアメタルはニッケルやコバルト、タングステンなど計31鉱種が対象。希少資源だけに、各方面で回収促進への活動が行われている。

 例えばJBRCでは小型充電式電池の回収、リサイクルを実施。タングステンを主成分とする超硬工具では業界団体がユーザーに対し、リサイクル拡大につながる推奨事項などをまとめ、意識啓発にあたってきた。

 電気通信事業者協会(TCA)では、使わなくなった携帯電話やPHS本体、充電器などの自主回収にあたっている。ただ、携帯電話などの回収では、課題も見られる。TCAが集計した2014年度の携帯電話・PHS本体の回収台数は前年度比7.3%減に。スマートフォンが普及するなか、使わなくなった機器でも愛着からユーザーが手元においたり、売却などが回収のネックともなっている。

 一方、リサイクル技術では技術開発や開発促進への取り組みが進む。小型の電子機器からのレアメタル回収では、電気分解による技術が開発されている。

 液晶ディスプレーなどの小型電子機器を粉砕、溶解した後、電気分解して金属を個別に回収する。溶解する特殊な溶液に電気を流して電気分解すると電極に金属が付着して回収できる。別の研究では自動車の排ガス浄化触媒に含まれるレアメタルのリサイクル効率を高める選別技術の開発も進められている。

 また、開発促進の取り組みでは、研究機関と各企業が加わって経済性を備えた回収技術の開発を目指す活動も見られる。これに関連しては、コスト対応で地域や自治体、事業者の連携による回収方法などのシステム構築も求められるところだ。

 

有力企業の技術とサービス(順不同)

■JBRC

 一般社団法人のJBRCは「資源有効利用促進法」に基づき、小型充電式電池の回収・リサイクルを推進している。会員企業は電池メーカー、使用機器メーカー、輸入事業者など、約300社。

 回収拠点は全国で協力事業者が約1万2000拠点、協力店が約2万1000拠点、協力自治体が約200拠点。

 回収したニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池から、希少金属であるカドミウム、ニッケル、コバルトなどを再利用している。

■大八化学工業

 大八化学工業はエステル製造技術を基盤に各種可塑剤や金属抽出剤、樹脂改質剤などの特徴ある製品を展開している。金属抽出剤は携帯電話のリチウム電池や回路基板などに含まれるレアメタルの効率的な分離・抽出に使用する。陽イオン交換型抽出剤「PC−88A」はインジウムの抽出、コバルトとニッケルの分離、希土類金属の分離に最適。廃酸から硝酸を抽出する中性リン化合物「TBP」、白金族のパラジウムと白金を分離する「SFI−6R」などもそろえている。

■新興化学工業

新興化学工業は先駆的な独自技術で廃棄物などから貴重な各種レアメタルを回収・精製し提供、産業界に貢献し続けている。同社は1958年、重油火力発電所から排出される灰やスラグからバナジウムを回収し、製品化した。また、バナジウムは最近では大型蓄電池であるレドックスフローバッテリーの原料としても脚光を浴びている。セレンのリサイクルにも他社に先駆けて成功し、テルルも製品化している。ガリウムの再利用技術も確立し、太陽電池向けなどに供給する。

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