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業界展望台

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精密フィルターと関連機器

9月3日(木曜日)付 日刊工業新聞 12面

 フィルターは製品の品質ならびに生産・処理効率の向上を目的に電子・半導体、自動車、食品、医薬品、化学、石油、航空・宇宙などの製造工程で幅広く利用されている。フィルターメーカーはユーザーのさまざまなニーズに応えながら、フィルターの経済性、長寿命化、高い濾過精度の実現などに向けて技術改良を続けている。

長寿命化、高い精度実現−広い分野で需要拡大

 モノを分ける分離技術は生産プロセス、環境プロセスなどで幅広く活用されている。分離技術には蒸留、晶析、抽出、吸着など各種あるが、その一つに膜分離法がある。膜分離法は分離機能を持つフィルターを利用するのが特徴。フィルターは流体中から懸濁物質の粒子状物質(PM)を分離するための多孔質の濾材または装置のこと。いろいろな種類のフィルターを使用することによって、分子レベルから粒子レベルの大きさまで幅広い物質分離が可能となる。

 対象になる流体は空気やガスなどの気体、水や薬液などの液体で、対象になる物質は微粒子や微生物、高分子、ミスト、エアロゾルなどである。フィルターの主な機能として分離・除去の他、濃縮やPMをその粒子径によって分ける分級、試料溶液を構成成分に分ける分画がある。フィルターを使用することで製品の品質向上をはじめ、生産・処理の向上を図ることができる。主に圧力によって物質を分離するので、熱を利用する蒸留法などと比べ省エネ性に優れ、環境保全にも貢献する。

 富士経済(東京都中央区)の「高機能分離膜・フィルター市場調査」によると、2013年度の国内市場と日系メーカーの海外売上は4842億円。内訳は水環境分野が1378億円、大気・空質浄化分野が1736億円、工業用プロセス・その他分野が1728億円となっている。そして、20年度には13年度比23.7%増の5988億円を見込む。

 今後の市場動向は水処理用フィルターなどを対象にした水環境分野では、精密濾過(MF)フィルター/限外濾過(UF)フィルターは北米が最大の市場だが、最近は産業用水、排水処理向けで中国や中東の需要が高まっている。逆浸透(RO)膜は中東の海水淡水化や中国の工業用脱塩用で需要が増加し市場が拡大。液体濾過用カートリッジフィルターは半導体などの電子産業向けが順調で、医薬品・バイオ産業向けに拡大している。20年度は13年度比48.5%増の2047億円を見込む。

 大気・空質浄化分野では、ディーゼル排ガスフィルター(DPF)は欧州が主な需要地であったが、日本や北米でディーゼル車のラインアップが増加しているため、欧州以外の地域での需要拡大が期待される。20年度は13年度比13.8%増の1975億円。工業用プロセス・その他分野ではイオン交換膜(フッ素系)や透析膜(ダイアライザー)が市場の中心となっている。20年度は13年度比13.8%増の1966億円が見込まれる。


有力企業の製品・技術<順不同>

■エフ・エス・ティー

 エフ・エス・ティーは精密濾過・分離膜装置、乾燥酵母(SIHA)などの輸入販売および機械設計製造が主力の企業。食品・飲料をはじめ醸造、製薬・バイオ、化学工業、半導体、発電などの分野で生産性と品質向上で貢献。中でも、ピュアセルロース・デプスフィルター「BECOPAD」はミネラルフリーでワイン・ビールなど酒類製造および製薬・バイオで評価が高い。発酵液の清澄化では劇的にセル密度が向上する「バイオSD」や完全性試験器・ガス用フィルターなどバイオ・製剤分野にも注力。半導体プロセス用オールフッ素樹脂のメンブランフィルターとカプセルフィルターも販売し、好評を得ている。

富士フィルター工業

 富士フィルター工業は「ものの流れるところには必ずフィルターが必要になる。宇宙から海底まで!」を掲げ、1966年の設立から49年間、さまざまな産業や分野からのニーズに応じた工業用フィルターを提供してきた。同社の製品は金属の多孔質の特性を生かし、フィルターとしての用途にとどまらず、清流効果や消音、流動床、発泡、熱交換、吸引などの用途としても幅広く使用されている。

 同社では「出来ない理由より、出来る工夫」を目指し、社員それぞれが世界をわくわくさせる仕掛け人になれるような環境に優しい技術や高品質な製品、新たな用途の開発に取り組んでいくことで、今後も多くの顧客からの要望に応えていく。

ダイワボウプログレス

 ダイワボウプログレスはカートリッジフィルターの総合メーカーとして拡販を進めている。フィルターはダイワボウの独自技術であるポリプロピレンとポリエチレンの複合繊維「NBF」を使用。原料から製品まで一貫生産している。

 「セキソウ」は1989年の発売以来、産業界の幅広い分野で使用されるベストセラー製品。商品開発にも意欲的で、2012年2月発売の「セキソウーG」は塗料やインキ、ポリマーメーカーに好評だ。同年9月発売の「トレンネン」はメルトブロー不織布の多層巻きで高精度・長寿命を実現。ファインケミカルや食品などに使用されている。今後も技術開発に注力し、自社の存在を高めていく。

アサヒ繊維工業

 アサヒ繊維工業は繊維製特殊加工品の企画開発メーカー。同社の「MFフィルター」はオレフィン系熱接着繊維を主原料とし、高精度で長寿命、機械的強度や耐薬品性に優れた高性能フィルターだ。濾過層の途中に異なる不織布や濾紙、活性炭不織布などを挟み込み成形することができ、不織布の機能性を持たせ、密度勾配を付けたフィルターが成形できる。

 また、同社はマーカーの中綿・ペン先・吸い上げ芯・水耕栽培用培地・メディカル用部材など、さまざまな製品の機能部品を製造している。これらのノウハウを活用し、今後もさらに付加価値の高い独自製品の開発を続けて行く方針だ。

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