光触媒を用いて高い脱臭効果を得る空気清浄機
我々の発明は光触媒を使った空気清浄機です。光触媒は粉に紫外線が当たると脱臭殺菌効果が得られるという優れた特性があります。ところが、粉を製品にくっつけることが難しい。例えば、有機物の塗料に粉を混ぜると、有機物が分解されてしまいます。TOTO製のトイレや壁材に使われているものは、無機物である陶器の釉薬(ゆうやく)に混ぜています。ところが、粉が釉薬の中に埋もれ、わずかしか表面に出ないという問題がありました。
そこで我々は光触媒には酸化チタンが用いられていることに着眼しました。海綿構造を持っている柔軟な多孔質チタン箔に、酸化チタンの粒子を付けることを考えました。チタン箔を陽極酸化させると、酸化チタンの厚さに応じて色が変化(光の干渉)します。
従来の光触媒は、表面に汚れがつくことを防ぐ超親水特性を利用した建物の外壁、テント、自動車のミラーなどに多く使われている一方、脱臭効果を得るための穴が空気の漏れに繋がってしまうことが難点でした。そこで、エッチングして穴の構造をずらしてみたところ、針の穴のような複雑な構造ができ、そこに空気が当たると乱流が起き、光が当たると光散乱現象の反応が起こることを発見しました。
今回の発明がベースとなって、冷蔵庫の中の脱臭や機械の組み込み、さらには大手オフィスビルの空気清浄機などにも採用されています。オゾンや活性炭フィルターなど、既存の脱臭効果と組み合わせて使われている例もたくさんあります。大型から小型まで製品化され、事業として成功を収めていると言えます。
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