特集:電子版を使いこなしてビジネスを成功させよう―電子版アンケート結果から

 日刊工業新聞電子版は2012年4月に国内販売を開始し、もうすぐ3年になります。そこで日刊工業新聞社では読者アンケートを実施し、皆様のご利用状況や要望を伺いました。他の読者の方がどのように利用しているかを参考に、皆さまのビジネスにさらに有効活用してください。
 アンケートは9―10月に無作為に選んだ500人を対象にメールで実施しました。有効回答は175人、このうち電子版のさまざまな機能を使いこなして成果を上げている3人にインタビューしました。

(1)私の電子版利用方法

【ケース1】
「過去情報」や「カラー写真」が武器に
 ―日立金属アドメット 高機能材料部 営業部長 石川興一氏

電子版に載った相手の話題を振ると、一気に距離が縮まる、と石川さん
電子版に載った相手の話題を振ると、一気に距離が縮まる、と石川さん

 私の担当する業界は航空機や発電プラントなどのエネルギー分野など。どれも“足の長い”業界だ。このため昨日、今日のニュースだけでなく、何年か前の情報も必要になる。そんな時、電子版の検索機能を使い、その材料がいつ開発されたのかや、どのような製品で使われているか、技術トレンドの変遷、時には合併などで無くなってしまった企業の当時の記事も調べられる。担当企業の過去の情報を知っているのといないのでは大違いだ。
 毎日、役立っているのが「人」の情報。電子版には多くの人が取り上げられているので、毎朝、会う人の名前を検索し情報を仕入れる。かつて新聞に取り上げられたことを話題にすると、相手に驚かれたり感心されたり、そして一気に距離が縮まる。
 意外に役立つのが電子版に載っている鮮明なカラー写真だ。私のもうひとつの仕事は「銅」を扱っている、どんな写真を見ても、まず色を見て銅が使われていないかを確かめる習慣がある。電子版の写真で「こんな製品にも銅が使われている」という気付きがあり、営業に直結することも珍しくない。新聞の白黒写真ではこうはいかない。
 また、自分の仕事以外に部下や新入社員の教育にも使っている。月一回のグループミーティングではテーマを決めて発表させている。ここでも電子版を利用し、担当企業が大きな意思決定をした際の歴史や状況などを調べさせている。また、新人には業界や技術、顧客企業などの記事を自ら探させて、自分の知識となるように仕向けている。電子版の記事は専門紙のように過度に専門的過ぎないので、新人が自ら勉強しつつ読みこなすことで必要な知識が身に付いてくる。
 電子版に対する要望は使い勝手の向上だ。マイニュースやマイクリップが貯まる一方で整理しづらい。キーワード登録したニュースがある日には、メールで知らせてくれるとさらに便利なのだが・・・。最後に、動画ニュースも興味深い。日立金属が米社を買収した際の社長ほか幹部の会見動画にはちょっと驚きしっかり見ました。

【ケース2】
マイニュースで“法規制”や人事情報をチェック
 ―東亜ディーケーケー 企画総務部企画・IR課 滝澤沙織さん

「今日の閲覧ランキング」を見ると他業界の勉強になる、と滝澤さん
「今日の閲覧ランキング」を見ると他業界の勉強になる、と滝澤さん

 環境機器メーカーで管理本部に所属しています。毎朝、日刊工業新聞電子版をチェックすることから一日の仕事が始まります。まず、自社はもちろん同業他社や取引先のニュースが載っていないか調べます。次に業界の動き、特に環境関連のニュースや法規制に関する新たな情報が出ていないかを確認します。気になるニュースがあると、過去記事検索で以前の情報も調べます。必要なのは大体過去3年くらいの記事なので、2008年から検索できる電子版で十分に足りています。
 毎日、スマホではなくパソコン版で見ています。まず総合面をざっと見て、次に「マイニュース」をクリックし、登録している単語でヒットした記事を見ます。その次に「環境面」と「エレクトロニクス面」、そして「人・会社面」の順番です。とてもすべての面は読めませんが、各ページとも面の表示にマウスオーバーするだけで、そのページに載っている記事見出しが読めるので、助かります。
 人や組織に関する情報もチェックします。特に人事異動の情報は旧職まで載っているので助かります。それから、右側にある「今日の閲覧ランキング」をみて、3位までの記事はできるだけ見るようにしています。どんな記事が読まれているのか興味もあるし、他業界の勉強にもなりますから。
 他にチェックする新聞は、産業紙1紙と業界専門紙3紙です。紙の新聞は、記事を探すのに時間がかかっています。日刊工業新聞は電子版になったおかげで時間が短縮でき、記事の見落としも減りました。紙の日刊工業新聞も取っていますが、新聞の一覧性と必要な記事を瞬時に探せる電子版のよいところを、うまく使い分けています。

【ケース3】
いつでもどこでも、チャンス逃さず
 ―ワゴジャパン 営業部仙台営業所長 村松修一郎氏

仙台市のJRあおば通駅で同僚と電子版をチェックする村松さん(右)
仙台市のJRあおば通駅で同僚と電子版をチェックする村松さん(右)

 私は、ドイツの電子部品メーカーの営業として仙台を拠点に福島・山形・北海道地方を担当しています。そのため、直行直帰がほとんどです。以前は事務所で紙の日刊工業新聞を購読し新規企業の発掘に使っていましたが、数日ぶりに事務所に戻ると山積みになっていて読み切れず、時には「しまった。こんないいニュースが載ってたのに」ということもありました。そんな時、電子版の存在を知り、すぐに切り替えましました。
 電子版は、パソコンではなくスマホ版で見ています。毎日、駅のホームや電車の中でちょっと開いてインデックスの上から順番に見出しをチェックし、興味ある記事を開いて見ています。見出しが分野別に一覧できる機能がとても便利です。
 マイニュースには、得意先企業名と「半導体」「北海道」「東北」と言う単語を登録しています。見落としがないかの確認のほか、「こんな地域にこんなことをやっている会社があるんだ」と新たな気づきがあります。時間のある時は、読まれた記事ランキングやカレンダー機能で過去の紙面を見ます。他の地域を担当している営業マンとも「あの記事、チェックした?」と電子版を通じていつでもどこにいてもニュースを共有できるため、情報交換が早くなりビジネスチャンスが増えました。
 営業の場では、既存顧客に対して、事前に電子版で調べた新製品や技術の情報を話題にします。お客様は噂レベルで新製品の話などをすると嫌がるのですが、新聞で発表されているものだと気軽に話してくれます。設計部門などでは、そもそも新聞に載ったかどうかを知らない方もいて、逆に聞かれたり驚かれたりします。
 要望としては電子版と日刊工業新聞のホームページ(ビジネスライン)の連動性を高めてほしいということ。ホームページの記事から電子版に移るとトップ画面に行くため、ログインしてすぐその記事の全文が読めるようなれば便利です。また、文章ではわかりにくい技術や製品については、もっと動画ニュースで取り上げてくれると助かります。

【特集:電子版を使いこなしてビジネスを成功させよう】

→(2)アンケート結果・自由回答

→(3)読者特性


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