日本の科学技術は、今あらためて世界から注目を集めています。2025年のノーベル賞では、生理学・医学賞に「制御性T細胞」を発見した大阪大学の坂口志文氏、化学賞に「金属有機構造体(MOF)」を開発した京都大学の北川進氏が選ばれ、2部門での受賞という快挙に日本中が喜びました。坂口氏と長年研究に取り組んできた妻の教子さんが「新しくて面白いデータが出るとワクワクした。その積み重ねでここまで来た」と語ったように、探究の原点には、未知への純粋な興味と喜びがあります。
また、大阪・関西万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、最先端技術と人間中心の発想が融合した未来像が示されました。開幕前にはさまざまな課題も指摘されましたが、結果として多くの来場者を集め、未来社会への期待を広く共有する場となりました。展示された技術の数々は、すぐに実用化されるものばかりではありませんが、その一つひとつが、これからの社会の可能性を感じさせるものでした。
その一方で、国際情勢の不確実性や地政学的リスクの高まり、AI(人工知能)の普及、エネルギーの転換、少子高齢化など、社会や産業を取り巻く環境は大きな変化の渦中にあります。このような時代だからこそ、現実の課題に向き合い、着実に解決へと導く発明の力がこれまで以上に重要となっています。
発明大賞が大切にしているのは、まさにその原点です。現場の課題に根差し、それを実用的に解決する力―。製造現場の効率化や省エネルギー化、医療・福祉の向上、安全性の確保など、日々の仕事や暮らしの中から生まれた発明は、社会を着実に支える力となっています。そして、そこには、技術としての確かさとともに、新たな価値を生み出す喜びが息づいています。
「発明大賞」は創設から52回を迎えます。中堅・中小企業、研究者や個人の発明家を対象に、優秀な発明考案を生み出し、成果をあげた企業や個人をこれまで表彰してきました。
さらに2026年度からは、時代の要請に対応して、新たな分野への挑戦や多様なキャリアパスの開拓に向けて、意欲あふれる優れた研究者・技術者の活躍を後押しする橋渡し機能を強化していきたいと考えております。このため、新たに文部科学大臣賞を創設し、社会的な認知度がより高い表彰事業へと装いを新たにするとともに、大学・高等専門学校等発の起業を促進するためのスタートアップ賞を創設し、若手の挑戦によるスタートアップを生み育てるエコシステムの実現に貢献することを目指していきます。
ぜひ、より多くの方々に、発明を通じて未来を切り拓く人々の輪に加わっていただければと願っています。
皆様の応募を心よりお待ちしております。