発明が新たな時代を創造する

 新しい時代が始まり、新たな歴史が刻まれようとしています。
元号は「平成」から「令和」になり、来年は2020年という節目の年になります。東京オリンピック・パラリンピックも開かれます。元号や年代が変わることが、個々の社会現象や世界の動きに直接影響を与えることはないでしょう。それでも、時代の変わり目と奇しくも一致することは、まれではありません。平成元年は、偶然にも東西冷戦終結の年と重なりました。21世紀の最初の年となる2001年には,アメリカで同時多発テロ事件が起こりました。いずれも、その後の世界の歴史に大きな影響を及ぼしています。


 時代の進展は、われわれの社会生活にも劇的な変化をもたらしています。平成が始まった1989年前後には、これほど携帯電話が個人に普及するとは、誰も想像できていませんでした。肩にかけて使うほどの大きさの携帯電話は、まだ特別な用途にしか使われていませんでした。平成は「携帯電話の急激な進化の時代」でもありました。パーソナルコンピューター(PC)も、卓上に設置するものは使われていましたが、日本メーカー製のノートパソコンが一般的に普及したのは、90年代半ばです。ただ、これも机に置いたまま使う大きさで、カバンに入り持ち歩けるサイズになるまでには、さらに年月が必要でした。時代の変遷は、技術の進化の歴史そのものと言うことができます。

 では、今年始まった「令和」、来年から始まる2020年代は、どのような時代が訪れることになるのでしょうか。情報化、国際化、スピード化がさらに加速することは、ほぼ確実だと考えられています。例えば、「5G」と呼ばれる第5世代移動通信システムが始動します。通信速度は現在の20倍以上の1秒当たり20ギガビット。これが情報の世界を画期的に変革するだろうと期待されています。それまでは個人の携帯電話で使われるのがほとんどだった高速移動通信システムの技術が、自動車に搭載されて「自動運転」の重要な技術の核となることが見込まれています。自動運転は、自動車業界だけでなく、人間が移動する概念そのもの、社会全体を大きく変える可能性を秘めています。その自動運転にも欠かせず、あらゆる産業分野や社会への浸透が予想されるのが「人工知能」(AI)です。今やAIは人間の能力をサポートするだけでなく、人間の能力を凌駕する領域にまで踏み込もうとしており、メリットだけでなく課題やリスクも議論され始めています。「ロボット」や「ビッグデータ」(大容量データ)、「IoT」(モノのインターネット)、「iPS細胞」(人工多能性細胞)などをはじめとする「再生医療」や「ゲノム編集」の技術も、令和や2020年代になっても、キーテクノロジーとしてさらに発展していくことでしょう。

そうした新たな時代を創造する力の源泉となるのが、発明です。

 発明の歴史は、時代の変遷そのものです。発明が時代を切り開いてきたといっても過言ではありません。技術革新の基盤には必ず発明があります。発明は人間の進歩そのものの証(あかし)でもあります。技術を押し進めるだけでなく、環境との調和にも発明は貢献しています。多くの発明が特許となり、地球環境の保全にも役立っています。生み出された発明は、社会を動かす原動力になっています。

「発明大賞」も創設から45回目となり、新たな節目、新たな時代を迎えます。この賞は優秀な発明考案を生み出して成果をあげた企業や個人を表彰するもので、中堅・中小企業、研究者や個人の発明家らを対象としています。さらに、歴代受賞者をはじめとする幅広い企業・個人のネットワークが、「発明を生み出す環境」を育成している点も特筆されます。発明を重要視する企業、発明の大切さを認識している個人が集まることで、新たな発明が生み出されるきっかけになると期待されています。発明を通じて、時代を築いていく人々の輪に加わって下さい。発明大賞が、その礎(いしずえ)になればと考えています。

応募を心からお待ちしています。

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【概要】優秀な発明や研究を通じて産業の発展、国民の生活向上に寄与した中堅・中小企業、個人を表彰

【応募案件】特許・実用新案を登録済み、または公開された発明考案

【応募資格】中堅・中小企業(資本金10億円以下)および個人、またはグループ

【審査】学識経験者らによる審査委員会(菅野卓雄審査委員長=東大名誉教授)で、発明考案の革新性や社会的意義などを厳正に審査

公益財団法人日本発明振興協会はわが国の中堅・中小企業の発明の振興と普及啓発のために活動しております。この表彰事業は公益財団法人日本発明振興協会の事業に対する各位からのご寄付による資金により実施するものです。

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