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第37回 受賞者

発明大賞本賞
光硬化型整形外科用固定材
アルケア株式会社
【受賞者】
開発部 フラクチャーグループリーダー 松本 義和(まつもと よしかず)
所在地:東京都墨田区 TEL.03-3611-1101
開発部
フラクチャーグループ
リーダー
松本 義和 氏
可視光で硬化する材料開発で医療に貢献
 当社は昭和30年に国内で初めて石膏ギプスの量産技術を確立しました。それまでは、看護師が包帯に石膏をまぶしてギプスを作っていましたが、当社が製品化したことで、その労から解放されました。それ以降、自社開発した医療用消耗材料としての包帯、サポーター類など、整形外科の領域を中心に医療現場に供給してきました。
 今回受賞した「オプティキュア」の特徴は3つあり、1つ目は水を使わない安心・簡便な固定が可能ということ。昨年発生した東日本大震災において、水の使用ができない環境下でも、十分に安定した治療ができる材料として、非常に優位性が高いと評価されました。2つ目は、処置時間を医療従事者が自由にコントロールできるということ。3つ目に優れたフィット性と快適性です。従来の水硬化では得られなかった「濡れない」快適性を実現しました。
 栄誉ある発明大賞を通じて、この技術をより多くの人に知っていただき、お役に立てていただけたらと思います。

光の当て方次第で硬さ調整
 骨折や捻挫などの治療の際に、患部を安定するための固定材で、可視光を当て るだけで数十秒で固化する。従来は水硬化材や熱可塑性樹脂を使っており、水や お湯を使って固化させる方法がほとんどだった。
 材料のベースとなる樹脂の構成単位を独自に分子設計し、構成単位を反応させて 樹脂を合成する際の材料を適切に選んだことで実現した。日光や屋内灯、スタン ド、ヘッドライトなどさまざまな光源で固化できる。手術室や診察室、病棟など で、汚染を避けるためにできるだけ水を使いたくない場面や、水が不足する災害 時にも利用できる。
 光を当てるまでは固化しないため、時間をかけて確実な成形作業ができることもメ リット。光の当て方次第で、目的に応じた硬さにできるため、さまざまな分野に 波及していく可能性もある。
 商品名「オプティキュアスプリント」は2010年に発売してから、大学病院 や、地域の機関病院、診療所への販売実績を持つ。今後、高齢化が進み、骨折患 者など利用者の増加が予想されていることを考えれば、市場性も期待できる。

外側は光の透過性、肌側は吸湿性に優れた材質を採用。中心部は「可視光」に照らされると硬化する樹脂とガラス繊維を組み合わせた。

無影灯や処置灯、太陽光などの「光」で硬化する。写真は高照度白色LEDを当てている。




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第38回発明大賞 日刊工業新聞社 日本発明振興協会