心地よい明るさと光色変化を再現するLED
私どもの会社は照明機器メーカーで、主に建築照明などを製作してきました。昨今はエネルギー事情が変化しつつあり、エコロジーな観点が注目されるようになりました。そのため、当社の商品も効率の良いLED化が進んでいます。そのような中で、大きな案件を手掛けるデザイナーさんから、こんな要望がありました。LEDを使って、人が心地よいと感じるろうそくの炎の色合いで、白熱球の明るさを調節したときに色が変化していく現象を演出したいということです。その要望にこたえるべく製作したものが、今回賞をいただいた「白熱電球の明るさと光色変化を再現するLED点灯回路」の基となっています。
開発をはじめると、おおむね要求を満たすものを作ることはできましたが、特許申請の段階で大手企業に先を越されてしまいました。しかも、その技術が同じ方式で製作されていたことがショックでした。一度は落ち込みましたが、それをバネにハングリー精神を持ち、機能的に上回るものを別のアプローチで開発しようと決意しました。その努力の成果が、今回の受賞に繋がったと考えています。
再度の特許申請に至った際も、実は前回の失敗があったので少しナーバスでした。ところが、独創性が評価され、弁理士さんも驚くほどスムーズに特許申請ができました。まさに技術者冥利に尽きる出来事でした。
今回の発明を応用して作った発明を、会場に持ってきました。これは従来の白熱球なのですが、小さな電球の中に、人が気持ちよいと感じるように制御できるLED点灯回路を入れてあります。ひとえに、支えていただいた同僚や家族なしではできなかった発明だと思います。これに満足せずに、より良いものを作っていきたいと思っています。
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