第20回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞/受賞者一覧

主催：日刊工業新聞社
後援：経済産業省／環境省
協力：日本冷媒・環境保全機構

　「オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」はオゾン層保護対策と地球温暖化防止対策の促進を目的として日刊工業新聞社が毎年実施している表彰制度です。国内外におけるオゾン層破壊物質や温室効果ガス（二酸化炭素を除く）の排出削減、回収、処理等の着実な実施及び、これらに関する調査、研究の進展に資すべく、オゾン層保護と地球温暖化防止に対して不断の努力を重ね、顕著な功績をあげた産業界その他団体もしくは個人に対し、「経済産業大臣賞」「環境大臣賞」等を贈呈しています。

　第20回
オゾン層保護・地球温暖化防止大賞　贈賞式

　「第２０回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」の贈賞式が、東京・霞が関の霞山会館で９月１３日に開かれた。経済産業大臣賞、環境大臣賞、優秀賞、審査委員会特別賞の計４件で、受賞者は表彰状と記念盾を手にして誇らしげに胸を張っていた。
　贈賞式には受賞企業の代表、審査委員らが参列した。来賓の武藤容治経済産業副大臣は「それぞれが独創的な技術や創意工夫によりフロン類対策に貢献した」と祝辞を述べた。とかしきなおみ環境副大臣は「環境問題に取り組むのは正義だと思っている。これからも積極的に活動してほしい」と強調した。
　同賞は１９９８年に「オゾン層保護大賞」としてスタートした。代替フロンなどの温室効果による地球温暖化への悪影響が問題視されたことを受け、０３年に現行制度に見直し、毎年実施している。この間、世界に先駆けて開発した技術、製品・システムなどを数多く表彰し、広く情報発信して環境意識の啓発につなげている。

経済産業大臣賞
「ＰＦＣ等の新型大気圧プラズマ除害装置」

カンケンテクノ株式会社

　電子デバイス製造の化学気相成長装置（ＣＶＤ装置）は、特殊材料ガスやＰＦＣ（パーフルオロコンパウンド）ガスが用いられる。カンケンテクノは、大気圧プラズマ式の排ガス除害装置に独自の水壁反応器を採用し、１台で数種類のガスの同時処理を可能にした。
　水壁反応器は内壁に常時、水が流れる構造で、除害の副生物である粉じんが付着しにくく、腐食も生じにくい。反応器の下に設置したタンクの水を循環させて節水している。除害されたガスは出口のスクラバー（スプレー洗浄塔）で冷却後、排気ファンで大気に放出される。ＰＦＣ除害率は９０％以上を保証する。メンテナンスが容易で、短時間で立ち上げ、立ち下げられる。

今村啓志カンケンテクノ社長（右）と武藤容治経済産業副大臣

環境大臣賞
「－３０℃で検知可能なフロンリークディテクタ」

アサダ株式会社

　アサダはマイナス３０度Cの氷点下で使える赤外線式フロンリークディテクタ（フロン漏えい検知器）を開発した。冷凍倉庫の冷却器や圧縮機からの微量な漏れを検知し、漏えい箇所を特定できる。マイナス３０度C対応のリークディテクタはなく、高精度の測定が困難だった。
　製品名は「リークディテクタＬＤ３１６Ｃ」。各種電子部品に低温対応型を採用した。リチウムイオン電池も改良した。氷点下でも電池が消耗せず、２時間連続使用できる。感度は年３グラムで、フロン全般に対応。新冷媒であるＨＦＯ（ハイドロフルオロオレフィン）も検知できる。ピークホールド機能と自動感度切替モードと併用し、継ぎ手が多数ある場合でも漏えい箇所を素早く特定できる。

浅田吉アサダ社長（右）と、とかしきなおみ環境副大臣

優秀賞
「ＣＯ₂冷媒機器の普及拡大」

株式会社ローソン

　ローソンは新規オープン店舗の標準仕様として二酸化炭素（ＣＯ₂）冷媒の冷蔵・冷凍システムを採用し、２０１７年２月末時点で２０００店超に導入した。温室効果ガス削減量は年間約６万５０００トンに達する。導入店舗は２０年２月末に４０００店を超える見込み。ＣＯ₂冷媒機器の省エネ性の向上を目指し、ショーケースにガラス製の扉を取り付ける実験も実施。１店舗当たり年間約５０００キロワット時の電力量を削減できることを確認した。

千尋俊彦ローソン理事執行役員開発本部長（右）と井水治博日刊工業新聞社社長

審査委員会特別賞
「ＨＦＯ－１２３４ｙｆを使用した制御盤用クーラ」

オーム電機株式会社

　オーム電機は業界に先駆け、低ＧＷＰ（地球温暖化係数）の新冷媒であるＨＦＯ（ハイドロフルオロオレフィン）－１２３４ｙｆを採用した制御盤用クーラー「ＣＯＯＬＣＡＢＩ」（クールキャビ）を製品化した。２０１６年７月に市場投入し、冷却能力に応じて全２５機種を品ぞろえした。この間、累計販売台数は全体の約３分の１を占め、最近は従来機種を上回っている。低ＧＷＰの技術成果を制御盤用クーラー以外の冷凍サイクル応用製品にも展開する方針だ。