「オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」はオゾン層保護対策と地球温暖化防止対策の促進を目的として日刊工業新聞社が毎年実施している表彰制度です。国内外におけるオゾン層破壊物質や温室効果ガス(二酸化炭素を除く)の排出削減、回収、処理等の着実な実施及び、これらに関する調査、研究の進展に資すべく、オゾン層保護と地球温暖化防止の両面で不断の努力を重ね、顕著な功績をあげた産業界その他団体もしくは個人に対し、「経済産業大臣賞」「環境大臣賞」等を贈呈しています。

 第21回
オゾン層保護・地球温暖化防止大賞 贈賞式
「第21回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」(日刊工業新聞社主催、経済産業省・環境省後援、日本冷媒・環境保全機構協力)の贈賞式が2018年9月13日、東京・霞が関の霞山会館で行われた。2019年1月に代替フロン削減への転換点となるモントリオール議定書キガリ改正の発効を控え、前回を上回る応募のなかから、経済産業大臣賞や環境大臣賞など5賞が授与された。受賞者は日頃の研さんや創意工夫が報われ、喜びもひとしおのようだった。
 贈賞式で来賓としてあいさつした武藤容治経済産業副大臣は「キガリ改正による厳しいフロン削減義務は、日本にとって大きな挑戦である一方、国際競争力を高め、新たな市場を獲得するチャンスでもある」と述べたうえで、フロン冷媒回収装置の小型・軽量化を実現したイチネンTASCO(大阪府東大阪市)の功績をたたえた。また、とかしきなおみ環境副大臣は、フロン再生処理センターを全国展開している中京フロン(名古屋市中川区)に「フロン対応のフロントランナーとして世界で活躍してほしい」とエールを送った。

第19回 オゾン層保護・地球温暖化防止大賞贈賞式

経済産業大臣賞
「現場作業性を向上させた軽量冷媒回収装置」
株式会社イチネンTASCO
高さ345_×横幅380_×奥行255_b、10.9`cと、小型・軽量化を実現した冷媒回収装置。「回収能力」を保ちながら「使いやすさ」や「持ち運びやすさ」の向上に重点を置いて開発した。熟練度の高い作業者でなくても確実に作業を進めることができるため、フロンの回収率向上に期待が持てそうだ。回収能力はR410A(気体)を回収する場合、業界トップレベルの毎分260cを実現した。冷却コンデンサーをボディー形状に沿うようラウンド型に配置し、小型で高回転のDCモーターを採用したことによる。
岩田全弘イチネンTASCO社長(右)と武藤容治経済産業副大臣

環境大臣賞
「フロン再生処理センター網の構築」
中京フロン株式会社
廃家電プラントの内部や近隣にフロン再生処理センターを設置し、フロン冷媒の回収から、再生原料の受け入れ、分析、簡易蒸留再生、再生冷媒の販売まで一気通貫で対応できる体制づくりを全国各地で進めている。こうした地域密着型のビジネスモデルにより、輸送費を削減し、輸送中のフロン漏れを低減。また同社の簡易再生装置は蒸留再生装置に比べ二酸化炭素(CO2)排出量を約4割に抑えられるため、フロンを破壊処理して同量のフロンを製造する場合と比べ、この5年間で約3300dのCO2削減効果があったことになる。
太等浩二中京フロン社長(右)と、とかしきなおみ環境副大臣

優秀賞
「HFO冷媒を用いた内蔵型ショーケース」
富士電機株式会社
地球温暖化係数が極めて低いHFO(ハイドロフルオロオレフィン)-1234yf冷媒を業界で初めて採用したショーケース。ケースの上部に冷凍機を内蔵したことで、配管経路をケース内で完結・極小化し、冷媒封入量の大幅削減と漏洩リスクの大幅低減を可能にした。また独自技術として、ケースの上部から棚前面に吹き下ろすエアカーテンと各棚から横に吹き出すエアカーテンの二重エアカーテン構造を開発した。これにより外気の巻き込み量を大幅に抑制し、庫内の熱負荷を従来機に比べ約20%低減できた。
高橋康宏富士電機執行役員食品流通事業本部長(右)と井水治博日刊工業新聞社社長

審査委員会特別賞
「HFO冷媒を用いた高効率ターボ冷凍機」
荏原冷熱システム株式会社
地球温暖化係数(GWP)が1以下の新冷媒HFO(ハイドロフルオロオレフィン)-R1224yd(Z)を採用したノンフロン高効率ターボ冷凍機。低GWPかつ不燃性、低毒性のため、環境負荷低減と従来通りの安全・安心を両立する。なかでもGWPは従来のHFC(ハイドロフルオロカーボン)-R245faに比べ1000分の1以下で二酸化炭素より小さい。低GWP冷媒を採用しながら、冷凍機の効率を表す成績係数はシリーズ最高で6.4と高効率を達成。容量範囲は220〜1250冷凍dと幅広い用途に対応できる。
天野俊輔荏原冷熱システムプロジェクトリーダー(右)と関屋章審査委員長(産業技術総合研究所名誉リサーチャー)

審査委員会特別賞
「CO2冷媒を用いた工作機械向け液温自動調整機」
関東精機株式会社
業界で初めて二酸化炭素(CO2)冷媒を採用した工作機械・産業機械向けの液温自動調整機を開発した。CO2冷媒の長所を生かし、HFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒より成績係数を大きくするため、冷凍サイクルに種々のセンサーを設置。そこから得たデータをもとに、運転状況を監視し、成績係数が最大になるよう、冷凍サイクルを自己補正する機能を設けた。従来型のHFC冷却システムに比べ、消費電力と冷却水量を最大で約50%削減可能。また定期点検や整備記録の作成が不要なため、管理工数を削減できる。
籵V剛史関東精機社長(右)




第21回「オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」受賞受賞業績成果一覧 冊子

 過去の受賞者一覧




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