第51回「環境賞」(国立環境研究所・日刊工業新聞社共催、環境省後援)の受賞者が決まった。
生物多様性の保全や脱炭素化、循環型社会の形成につながる技術や製品など、過去最多の72件の応募があり、ヒアリング審査などを経て、環境大臣賞1件、優秀賞1件、優良賞3件の計5件が選ばれた。受賞したテーマ、企業・団体、概要は以下の通り。
第51回「環境賞」受賞者
日本工営株式会社 株式会社日健総本社 東京農業大学 |
土壌藻類を土木資材として土砂災害跡地などに活用し、環境条件に合った自然な植生形成を促進する。土壌藻類を土木資材として活用する例はこれまでなく、従来の自然侵入促進工と比べて安価で容易に実施できることが特徴。
土壌表面に生育する藻類を、日健総本社が水中で培養して土木資材化することに成功。土木研究所と日本工営の共同開発である侵食防止工法に採用し、社会実装を実現した。
株式会社industria |
サイクロンフィルター「FILSTAR(フィルター)」は、3層構造により下部にたまったゴミが浮き上がることを防ぎ、最小で1マイクロメ-トル(マイクロは100万分の1)サイズ、10マイクロメ-トル以上の微粒子は98%以上回収できる高精度濾過が特徴。下部から液を排出しないため、フィルターに入る液体の全量を処理できる。液体処理量のロスを防ぎ、ゴミを回収できる。自動車ボディー塗装前の洗浄工程では多くの国内工場が導入している。
積水ハウス株式会社 琉球大学 株式会社シンク・ネイチャー |
積水ハウスは都市部での住宅を通じた生物多様性保全、生態系に配慮した造園緑化事業「5本の樹」計画を推進している。「3本は鳥のため、2本はチョウのために、地域の在来樹種を」という思いを込め、その地域の気候風土と相性の良い在来樹種を中心とした植栽に取り組んできた。2019年から琉球大学、シンク・ネイチャーと共同でネットワーク型の緑化が都市の生物多様性にどの程度貢献できているか定量評価を進めている。
株式会社トロムソ |
造船技術を生かし、もみ殻の有効活用に貢献するもみ殻固形燃料装置「グラインドミル」を製品化した。もみ殻をすりつぶし、圧縮形成することで薪炭に代わる固形燃料を製造する。もみ殻を棒状、らせん状の固形燃料、パウダー状にすることができる。バイオマスであるもみ殻を原料としているため、カーボンニュートラルな燃料。シンプル構造で専用オペレーターも不要。販売実績は国内約160台、海外約30台。
日榮新化株式会社 東洋紡株式会社 シオノギファーマ株式会社 株式会社トッパンインフォメディア 三井物産ケミカル株式会社 ヤマトボックスチャーター株式会社 |
ラベル台紙には、紙と樹脂の複合材料である「剥離紙」が使用されている。「剥離紙」は古紙回収が困難なため、ほとんどが廃棄・焼却されている。この「剥離紙」をマテリアルリサイクル可能なPET合成紙製の「リサイクル専用台紙」に置き換える。ユーザー使用後のラベル台紙を有価回収・マテリアルリサイクルし、再びラベル台紙の原料に使用する。CO2排出量を削減し、「ラベル台紙の廃棄ゼロな社会」を実現する。