【コラム:ロボットよもやま話(特別編)】
未開の宇宙産業で事業創出するには、多様な人材の“巻き込み”がカギとなる。初開催の国際宇宙産業展にはベンチャーだけでなく、クリエイターなど多くのユニークな人材が集まっていた。
一般社団法人ABLab(東京都中央区、伊藤真之代表理事)のブースで出迎えてくれたのが、ヴォーターズ・サワさん(写真左)。AB Labは、宇宙ビジネスのコミュニティーで、製造、通信、物流、建設といった分野だけでなく、医療、観光、デザイン、エンタメなど、多様な職種から「宇宙ビジネス」をテーマに各種のプロジェクトを作っている。
これまでもJAXA認定ベンチャーなどが生まれているが、最近では一般社団法人Space Medical Acceleratorが宇宙医療分野のコーディネートを行う組織として発足し、注目されている。「宇宙に挑戦する人によるコミュニティーとして、本当に多様な分野から集っていて、お互いに影響しあっている」(サワさん)という。
そのサワさん自身は、帽子デザイナーの傍ら、幼い頃からあった航空や宇宙分野への夢と融合させるべく、ロケットが打ち上げられたあと空にできる軌跡を元にデザインしたキャップ普及プロジェクトを手がけている。宇宙航空関連で働く方々が、刺繍されているロゴは違っていても、同じデザインのキャップをかぶっていれば距離感が縮まる、というのが狙いだ。「国や企業を超えて、ともに宇宙開拓のゴールを目指す仲間としてチームワーク活性化を図りたい」と宇宙航空分野でのパートナーシップづくりへの貢献を目指す。
筑波大学理工学群応用理工学類4年生の 阿依ダニシさん(写真)は、火星探査向けの飛行ロボット(ドローン)を展示。鉱物学者だった親の影響で自然と身近になったという宇宙開発分野への夢から、火星について調べていくうちに、その探査方法における「飛行」の重要性に関心を持った。現在、NASAなどが火星で実際に使っているのは、主流の六輪で走るローバータイプや、人工衛星を使った画像ベースのセンシングによるタイプなどが上げられる。しかし今後、火星の構造や内部をより詳細に調べていくには、「火星の大地の複数拠点を効率よく、ドローンが飛びながら探査していく方法が求められるはず」(ダニシさん)という。考案したのは、2つのローターを交差させる「交差反転方式」を採用したもので、林業や災害時などに使われている。制御が難しい反面、揚力の大きさが特徴だ。NASAも飛行型の検証は行っているが、開発されているのは「二重反転方式」で、ダニシさんの考案したものとは正反対の特徴を持つ。ダニシさんはクリエイター支援のクマ財団などの支援を得ながら、部材は3Dプリンターを使って制作、小型モーターなどと組み合わせて、コンセプト機を完成させた。4月からは東北大学大学院に進み、このコンセプトを元に、実証試験を繰り返していくほか、海外の大会にも出場を目指す。
最後にダニシさんに日本における宇宙開発の可能性について聞いたところ、「一部で盛り上がっているとは思うが、海外の学会などで見ていると、教育分野含めて日本勢のプレゼンスの低下を感じる。だからこそ挑戦していきたい」と厳しい目線で、先を見据えていた。新しいアイデアと地道な研究の積み重ねで、火星探査の道を開いていく考えだ。
シュンク・ジャパン株式会社
Standard Robots Co., Ltd.
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ドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)
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