【コラム:ロボットよもやま話(特別編)】

初開催の国際宇宙産業展、見て歩きレポート(上)

 西3・4ホールでは国際宇宙産業展(ISIEX)が初開催された。宇宙開発事業に特化した企業と関係者が集結。月面や火星探査、人工衛星など宇宙研究・調査を促進するさまざまなロボット・技術などの提案に、多くの来場者と活発な交流が行われた。(主催:日刊工業新聞社、後援:日本航空宇宙学会、駐日英国大使館 国際通商部、ルクセンブルグ貿易投資事務所、協力:宇宙航空研究開発機構(JAXA) ほか)

PICK UPブースレポート

2022年、小型探査機が月へ行く

W-01ダイモン

 ダイモン(東京都大田区)は片手で持てる小さなロボット月面探査機「YAOKI」を展示。2輪と1点で支える3点構造で確実に走行ができ、転んでも起き上がる「七転び八起き」からYAOKIという名前をとった。498gの軽量ながらも高強度に製造されている。月への輸送は1kg=1億円と莫大なコストがかかるため、ロボットの軽量化が欠かせない。ロボットの前方にはカメラが搭載されており、月面の撮影や月の地下空洞探査に期待が高まる。

 三菱ケミカルによる最先端の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)素材提供・技術支援などをはじめ、さまざまな企業と連携し、チームとしてプロジェクトを進めている。年内に民間として世界初の月面探査実現を目指している。

月の縦孔 科学的課題の解明、研究基地として期待高まる

W-02 UZUME(月火星の縦孔・地下空洞探査)計画/W-03 春山純一研究室(JAXA/宇宙科学研究所)

 月面には隕石衝突によってできた凹み(クレーター)があることが知られているが、縦孔もあいている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2009年に日本の月周回衛星「かぐや」で縦孔の存在を確認した。また2017年10月、かぐやのカメラデータを解析し、月の下に全長約50kmの地下空洞の存在を発表した。縦孔はいくつか確認されており、深さ・直径ともに数10mから100mほどと推定される。

 今回のブース名のUZUME計画とは、Unprecedented Zipangu Underworld of the Moon Exploration(古今未曾有の日本の月地下世界探査)の略称で、日本神話「古事記」に出てくる天宇受売命(アメノウズメノミコト)からとった。まだ誰も見たことがない月の縦孔、地下空洞を探索するプロジェクトである。ブースでは、JAXA月惑星探査グループで月惑星探査を行っている春山純一先生から直接、研究内容についてお話を聞くことができた。

 月には溶岩が流れた際に地下にできた空洞(溶岩チューブ)があり、縦孔の下には、横方向に巨大な地下空間が広がっているとされる。この地下空間を月面調査の基地として利用する構想がされている。。地下空間を利用する理由としては、主に月面の気温差、隕石衝突や紫外線などのリスク回避があげられる。

 満月や三日月のかたちに変化するように、月は地球を1カ月かけて1周している。地球にはずっと同じ面を向けて回っているため、太陽が当たる時期(昼)と当たらない時期(夜)が約2週間ずつある。太陽が当たると月面の気温はおおよそ120℃となる一方、当たらないとおおよそ-170℃となり、気温の変化が非常に激しい。しかし縦孔の地下空間は、月面から距離があるので気温が-20℃と比較的安定しており、探索拠点にしやすいとされている。

 次に地下空間では微隕石衝突の回避ができ、有機物を破壊するような強い紫外線や放射線も届かないとされる。そのため生命前駆体の何らかの形をとった化石が残っている可能性や、また水が流れていた可能性もあり、地下空間の調査は新たな発見をもたらす大変意味のあるミッションとされている。火星にも縦孔があいていることが発見されているため、月の地下空洞探査計画が、将来的にほかの惑星の謎を解明していくことへとつながっていくだろう。

宇宙研究・事業に関心のある来場者が多く来場した

国際宇宙産業展だけの体験コーナー

月面探査体験VR

 国際宇宙産業展のクリエイティブサポーターのクレッセント(東京都江東区)によるVR体験コーナー。コントローラーを使って前進・後進・旋回を操作し、コースを走る。MotionBaseの座席が映像と連動し、凸凹した月面をまるで走行しているようなリアルな感覚を体感できる。探索の最後には無重力状態のような不思議な体験が待っていた。

宇宙ビジョン2050モニター

 今回クレッセントをはじめ、多くの国内外企業・団体が連携しながら、月面調査や将来の宇宙活動における映像・シミュレーションの制作を行った。

 国際宇宙産業展入口横に設置されたモニターでは、日本航空宇宙学会が策定した『宇宙ビジョン2050』を基に、2050年の宇宙の姿、宇宙活動の様子の3Dシミュレーションが公開されていた。ゲームのように宇宙空間を操作でき、月で発見された縦孔を、研究基地として利用した場合にどのような活動が想定されているかを細かく見ることができる。月には酸化チタンや酸化鉄が存在するため、地球から水素を持っていき還元させることで、水とチタン、鉄を作成することができるなど、月での自給自足生活がシミュレーションできる。

アバターによるセミナーコーナー

 国際宇宙産業展のセミナーコーナーでは、プレゼンターにモーションキャプチャーの装置をつけ、後ろのスクリーンに映された月面に、プレゼンターと同じ動きをする宇宙服を着たアバターが現れるユニークなプレゼン演出を行っていた。まばたきなど顔の動きまで連動する。

 宇宙用ロボット、ロボット関連技術の閲覧・体感のほかに、高度な映像技術を掛け合わせて月面探査を疑似体験できた国際宇宙産業展。今回の展示物が月や宇宙開発に貢献していく未来に期待が高まる。

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