日本ロボット工業会&日刊工業新聞社 アンケート調査
ロボット需要が世界で拡大している。日本ロボット工業会と日刊工業新聞社が米国・中国・韓国・台湾の4カ国・地域のロボット関連団体に対し実施したアンケートによると、2022年(暦年)の各国・地域のロボット市場見通し(金額ベース)について、すべての団体が上向くとの見解を示した。労働力不足への対応や、新型コロナウイルス感染防止策としての非接触対応もロボットの需要を後押ししているようだ。
22年の市場見通しについて、中国ロボット産業連盟(CRIA)は「拡大」と回答した。米国の先端自動化協会(A3)と韓国ロボット産業協会(KAR)、台湾スマート自動化とロボット協会(TAIROA)の3団体は「緩やかに拡大」とした。
米A3は「(新型コロナの)パンデミックの影響で当初はロボットの受注が低迷していたが、経済が強化されるにつれ、21年には北米企業からこれまで以上に多くのロボットが発注されるようになった」と説明。「ロボットは今や多くの産業で、生産を維持し、労働力不足によって生じるギャップを埋めるために不可欠なものとみなされている」とし、一層の市場拡大に期待を寄せる。国際ロボット連盟(IFR)は産業用ロボットの全世界の新規設置台数について、22年は前年比約4%増の45万3000台と予想する。
コロナ禍がロボット業界にもたらした変化について、中国のCRIAは「人と人との接触を少なくするために、サービスロボットの導入が進んでいる」と指摘する。台湾のTAIROAは、デジタル技術を組み合わせて一元化した指揮統制を可能にする「デジタルボードルーム」や、従業員の教育・研修において「複合現実(MR)・仮想現実(VR)統合システム」の適用が進んでいる状況を例に挙げる。
ただ、新たな変異株の登場など、コロナ禍の収束は依然不透明だ。韓国のKARは「国内のロボットメーカーのほぼ半数が海外市場で製品を販売している」とした上で「渡航の禁止、世界的な物流危機、バリューチェーンの混乱に悩まされているメーカーも少なくない」と現状を吐露する。中国のCRIAも「部品の納期が延びたり、価格が上がったりするなどの問題が発生している」と指摘。生産や調達戦略の見直しを迫られるメーカーも出てきているとする。
コロナ禍は大規模展示会のあり方にも一石を投じた。感染拡大防止の観点から展示会の中止・延期や入場人数制限といった対応を余儀なくされる中、代替策としてデジタル技術を活用した「オンライン展示会」の開催が増えた。
一方で大規模展示会のオンライン化は日がまだ浅く、オンラインならではの価値構築は道半ばの状況にある。各国・地域の団体の回答からも、オンライン展示会について「ないよりはましだが、その効果は満足いくものではない」(中国CRIA)、「ライブイベントと比べると、どうしても価値が下がってしまう」(米A3)など苦労の跡がうかがえる。
時間的・距離的な理由で従来のリアル展示会に足を運べなかった人にとって、時間や場所の制約がないオンライン展示会は、最先端の技術に手軽に触れられる機会として重要な役割を果たしているのも事実だ。産業用ロボットと関連の深い工作機械の業界では、リアルの展示会場に持ち込めない大型機械の細部をオンライン展示会で紹介する、といった差別化の取り組みも少しずつ進んでいる。リアルとオンラインを組み合わせ、展示会に出展するロボットメーカー、来場するユーザーの双方にとっての満足度をどう最大化するかが業界共通の課題となりそうだ。
米国:Association for Advancing Automation (A3)
先端自動化協会
中国:China Robot Industry Alliance (CRIA)
中国ロボット産業連盟
http://cria.mei.net.cn/English/home.asp
韓国:Korea Association of Robot Industry(KAR)
韓国ロボット産業協会
http://www.korearobot.or.kr/eng/?ckattempt=1
台湾:Taiwan Automation Intelligence and Robotics Association(TAIROA)
台湾スマート自動化とロボット協会
シュンク・ジャパン株式会社
Standard Robots Co., Ltd.
iCOM技研株式会社
ドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)
NTNテクニカルサービス株式会社
IDEC株式会社
NTN株式会社
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