【特集】高精度加工に応える チャック技術

 チャックは工作機械による加工で、加工対象物(ワーク)の固定・保持に用いられる治具。加工の精度や高速化、作業効率の向上に関わる重要な役割を担っている。チャックに携わるメーカーでは高精度の追求とともに、製造現場の省力化や自動化に応えるモノづくりを強めている。

高精度・省力化を追求

工作物保持具の販売額

工作物保持具の販売額

需要回復傾向

 チャックはワークをしっかりとつかみ、保持し続けるのがその役目。加工精度を左右し、併せて把握力が弱まればワークが外れる危険性もあり、作業時の安全確保の面でも高い品質が求められる。

 チャックの市場環境は2017年、18年と好調に推移してきたが、その後は米中貿易摩擦の拡大が影響し低迷。日本工作機器工業会のまとめによると、19年のチャックを中心とする工作物保持具(ハンドチャック、パワーチャック、特殊チャック、アクチュエーター、回転センター、その他保持具で集計)の販売額(暦年)は前年比5%減の176億5200万円で、3年ぶりに前年実績を割った。

 20年に入ると新型コロナウイルスの世界的流行に伴う活動制限も影響。同年上半期の販売額は前年同期比33%減の63億1500万円と大幅に落ち込んだ。

 ただ、自動車向けが主力のメーカーでは「7、8月を底に回復傾向にある」とし、日本工作機械工業会がまとめた工作機械受注でも6月以降は持ち直しの傾向を示す。9月単月の受注額では外需が前年同月比1・7%増と24カ月ぶりに前年を上回った。

多様な種類

 チャックには手動式で爪を開閉するハンドチャック、油空圧を利用したパワーチャック、特殊パワーチャックなど多様な種類がある。このうちハンドチャックは多品種少量向けの円筒ワーク用のスクロールチャックや、四角形・大型ワーク向けの四つ爪単動チャック、小物量産加工に適したコレットチャックなどがある。

 四つ爪単動チャックには、チャックの爪をそれぞれが独立して動かすことができるため、異形物の把握に効果を発揮する。コレットチャックはスクロールチャックが爪で把握するのに対し、加工物を包むようにつかむ。ワークが傷つきにくいメリットがある。パワーチャックは油空圧を利用し、爪を自動開閉してワークをつかむ。手動式に比べて手間が省けるため、生産性向上に貢献してきた。

ロボ活用で多品種少量

高精度チャック「BRシリーズ」(北川鉄工所提供)

高精度チャック「BRシリーズ」(北川鉄工所提供)

IoTに注目

 多様なチャックを提供してきた中で、メーカーではさらなる高精度化や生産効率化、製造現場の省力化に応えるモノづくりを推し進めている。

 北川鉄工所は高精度パワーチャック「BRシリーズ」を提供している。把握精度0・01ミリメートルT.I.R(読みの最大差)を実現した。ジョーの浮き上がりを軽減し、安定した加工品質を提供する。

 同社チャックの「B―200」「BB200」シリーズとの取り付け互換性があるため、現在使用中の回転油圧シリンダーを継続して使用でき、最小の導入コストで最高の性能を導入することができる。オプションの「Tナット―プラス」の使用で、ジョーを脱着しても把握精度0・01ミリメートルT.I.Rを実現。旋盤用チャックでは当たり前とされていた段取り替え時のジョー再成形が不要となり、段取り替え時間を大幅に短縮できる。成形に伴うツールの摩耗や工数、経費の削減にも貢献する。

 また、産業ロボットと連携による効率化や自動化の取り組みも進む。爪の自動交換を汎用ロボットやローダーでできる旋盤用チャックも提供されており、爪の交換時間を従来に比べ半減させたメーカーもある。こうした産業ロボットとの連携は多品種少量生産でメリットがあり、量産向けのメーカーではオーダーメードで最適化を図っている。

 一方で多品種少量、量産の用途を問わず、メーカー側で関心が高いのがIoT(モノのインターネット)の活用。把握力の常時確認をはじめチャックのメンテナンスに有効として、IoTをめぐる動向に注目している。

(日刊工業新聞 2020年12月2日付 12面)

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