2019国際ロボット展の歩き方
人にとって作業しやすい環境を整えるため、危険な作業や悪環境の作業などに専用機やロボットを使う。また専用機やロボットは、決められた作業を決められた時間内で正確に繰り返す能力を持っているので、そういった仕事でも活躍する。したがって、プレス、溶接、塗装の工程では専用機やロボットが多い。組立や検査などの複雑な判断がいる作業やカンやコツのいる仕事は人が中心に行っている。このように、ロボット、専用機、人それぞれの長所を活かすことで、高品質の製品を作り上げることができる(図1)。
では、専用機とロボットの違いは何かを記す。
・ロボットは、多品種対応で、汎用性が高い。専用機は、複雑な機械構成になりやすく段取り替えも多くなってしまう
・ロボットは、新品種対応や他作業転用が容易。専用機は、新設計、製作部品が多い
・ロボットは、システム立ち上げが早い
しかし、必ずしも自動化にロボットが必要というわけではない。ロボットは非常に汎用性が高いが、場合によってはオーバースペックになってしまう。そのため作業内容が、ロボット、専用機、人のいずれが向いているかを、よく検討する必要がある(図2)。
ロボットは専用機に比べるとパワーやスピード、精度で劣る場合もあるが、多くは専用機より低価格で導入が可能であり、耐久性や信頼性も高く、作業変更への対応も一定程度可能である。さらに、ロボットは加工条件や溶接条件を含むティーチングデータを蓄積することができるので、他のロボットへの2次利用が可能になる点が人手よりも優れている。
向いている(費用対効果が高い) 作業の観点からも、ロボットは、人と専用機の中間に位置づけられる。ロボットは、ある程度の変更には柔軟に対応し、繰返しや大量の作業にも対応できる。ロボットが得意とする領域を正確に見定めることができれば、大きな成果を上げることが期待できる。
専用機は、画一的で単純な繰返し作業や大量作業に向いている。作業量が継続的に一定規模以上あり、初期投資回収の見込みが十分である場合には、専用機のほうが費用対効果の高い場合が多い。
特定用途に特化させることで、パワー、スピード、精度など高い性能を追求できるが、一般に特注品となるため、高額であり、スペースも取り、作業変更への対応が難しい。そして、専用機は自由度が少ないため、調整に時間を多く費やしてしまう。
人は柔軟さが持ち味なので、複雑な作業や作業変更にも柔軟に対応できるが、ランニングコストがかかり、過酷な作業は厳しい。また、人手不足を背景として新規採用は難しい一方で、人員削減が必要になった場合も人員調整が容易ではない。
それでは、適応を判断するための具体的な手段を考えてみる。
ロボットに何をさせるのか。自社におけるロボットの役割を正確に見定めることが重要である。的確な役割を与えて使いこなせば、大きな成果を上げることが期待できる。そのためには、人や専用機とロボットの違いを知る必要がある。もちろん、業種や業態、製品品目の違いによって、ロボットに何をさせるかは異なるが、ロボットが得意なことを見つけることが重要である。
ただし、作業量が多くとも、作業の複雑さや変動の度合いによっては、段取り替えや調整作業に時間がかかるため、ロボットの活用が専用機以上の費用対効果を生む場合がある。
品種が毎回変わるような組立工程、柔軟物を含む高度な組立工程などは、ロボット化による費用対効果が十分に得られない場合が多い。しかし、たとえ作業が複雑であっても、ロボット技術をうまく導入することで、自動化あるいは作業の簡易化(省力化・省スキル化)が実現できる場合がある。たとえば、作業内容があまり頻繁に変わる場合には、人の作業習熟が追いつかず、ロボット化のメリットが出てくる場合がある。
このように、自社の事情に合わせて大きな成果を上げるためには、十分な検討が必要である。
ロボットは、据え付ければすぐに使えるという機械ではないので、ロボット導入の効果を高めるためには、ロボットに任せることが有効な作業の洗い出しを行うロボットメーカーやロボット導入を支援する専門事業者(ロボットシステムインテグレーター)に、自社のニーズを正確に理解させて協力してもらうことも有効である。
工場管理とは・・・品質・コスト・納期要求に応えるモノづくりを、ムダなく効率的に行うための工場実務雑誌(毎月20日発売)
アイ・ディー・エス株式会社
株式会社ゼネテック
NOK株式会社/日本メクトロン株式会社
株式会社ミツトヨ
カワダロボティクス株式会社
ユニバーサルロボット
THK株式会社
世界最大級のロボット見本市「2019国際ロボット展」(日本ロボット工業会、日刊工業新聞社主催)が21日閉幕した。会期4日間の入場者は14万1133人と、17年開催の前回を1万653人上回った... <続きを読む>
50数年前に誕生した産業用ロボット。現在は1本の腕のような形をしたロボットが最も多く使われている。2008年には、人の安全を守るため柵で囲わずに導入できる協働ロボットが誕生。人とロボットが一... <続きを読む>
介護や清掃、警備、外食、物流などあらゆる場面で利用されるサービスロボット。半導体不況や米中貿易摩擦などを背景に、世界の製造業向けロボット投資が冷え込む中でも、サービスロボットは安定成長ぶり... <続きを読む>