【コラム:ロボットよもやま話(上)】
ロボットを工作機械に付属してワーク(加工対象物)を取り付け・取り外しする作業について、業界では「マシンテンディング」と呼んでいます。このマシンテンディングは主流なロボット活用シーンとして今では日本各地の工場で根付いています。ここでは自動車メーカーにおける工作機械とロボットの歴史について、ひも解いてみましょう。
京都市出身
私が40 年前に商社に入社した時、輸入や国産の工作機械および自動化装置、ロボットなどを担当させていただき、某自動車メーカーに足しげく通い、エンジン、トランスミッション、足回り部品の増産計画に伴う設備投資案件の仕様打ち合わせに日々忙殺しておりました。当時は「枠取り」という言葉がはやったほど、各自動車メーカーは工作機械メーカーの納期を確保するために、他社よりも先がけて“枠取り書”を発行し、生産計画を具現化していた懐かしい時代です。
その頃の生産体制は少品種・大量生産が主流。工作機械は、トランスファーマシン(各工程専用の自動機械を加工順に配し、自動搬送装置で結んだ設備)利用の生産が主体で、ロボットの活用といえば、他工程での自動車ボディー向けスポット溶接やアーク溶接、または重量物搬送や塗装ラインなどで活躍していました。
その後、世のニーズにより車種が徐々に増え始め、対象ワークが追加され、少品種生産から中品種生産へと移行。昨今では景気動向に影響されるため、「変種・変量生産」が求められ、自動車メーカーの生産技術者にとっては、難易度の高い時代が到来しています。
その難しさの中から工作機械もロボットも、要素技術が進歩向上し、高能率で高精度な製品が世にデビューし、その結果、素晴らしい車づくりの担い手として自動車メーカーに大いに貢献してきたことは間違いありません。
変種・変量生産の現場では、対象ワークの種類や生産量に増減があるため、工作機械も対象ワークの搬送装置もフレキシブル性が求められます。よって、工作機械は専用機のトラスファーマシンから、単体の汎用機が多く採用されはじめ、対象ワークの搬送装置も門型ローダーや自動化装置のマニピュレーターからロボットでの搬送も選択肢の一つとなり、1992年頃から工作機械とロボットの新たな幕開けの時代が到来したのを記憶しています。
特に最近では日本の抱えている課題として、少子化、高齢社会、労働人口減少化などが指摘され、工作機械の作業者を募集しても難航することが多く、かつてのような状況とは一変しております。
また、工作機械で加工する対象ワークの部品精度が格段にアップしているので、マシンテンディング作業では、ロボットに求められるいくつかの要素技術として、ロボットハンドなど繊細なトルク制御が求められるアプリケーションがあります。このため、ロボットがワークをつかんでいる状態の推測や負荷状況、より安全性を高めるための標準仕様として、ロボット先端部(手首)にトルクセンサーを内蔵しているロボットメーカーも現れています。
まさに人間の手首のような繊細でフレキシブルな動きに、ロボットが近づきつつあります。これからの時代は工作機械とロボットと3Dカメラなどのアプリケーションに加えて、人工知能(AI) 機能が搭載され、センサーが重要なキーとなっています。ますます業界人はもとより、多くの人々をワクワクさせるモノづくりの幕開けにロボットの活躍は欠かせないものになるはずだと大いに期待しています。工作機械メーカーとロボットメーカーにエール!
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